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左 |湯澤上席研究員 右 |小池研究員インタビュー2高齢者施設の調査を多くされています関わらず、多くの高齢者施設で室内環境に問題がある可能性が高いことがわかりました。小池 私たちも将来お世話になる可能性を考えると自分たちの問題でもありますね。高齢者施設の室内環境に関する規制はないのですか? 湯澤 オフィスでは建築物における衛生的環境の確保に関する法律(通称 ビル衛生管理法)がありますが、高齢者施設には適用されません。高齢者施設は、特定の方が入居し、施設側が衛生的環境を確保していることを前提としていることが背景にあるようです。しかし、衛生設備等の管理者が不在で、室内環境の届出義務がないということは、もし環境衛生上の問題点が生じても、その危険性を把握できない可能性があります。そこで、施設の室内環境の状態を定量的に示すことが必要と考えました。平成30年度高齢社会白書によると、我が国は平成29年10月1日現在、65歳以上の高齢者人口は3,515万人となり、高齢化率は27.7%と過去最高、今後も更に高まることが予想されています。高齢者社会への対応として、日建設計総合研究所では高齢者施設の室内環境について調査しています。今回は、施設健康度指標の開発についてご紹介します。高齢者施設の室内環境小池 が、きっかけは何だったのでしょうか?湯澤 私は主に建物のエネルギー性能や建物の付加価値を定量的に評価するコンサルティングをしています。その中で、某空調機メーカーからある高齢者施設の室内環境の計測依頼をいただき、高齢者施設の調査を始めるようになったのがきっかけです。最初に計測をした施設は、約100室程度の規模でした。冬の建物内の湿度が低く、加湿能力や換気性能などに問題がありました。施設側でも、ケアスタッフが室内の温湿度を定期的に手書きで記録していましたが、状態を改善する方法がわからないとお困りとのことでした。高齢者施設の室内環境に関する文献を調べ、学識経験者の方々から話を伺いました。そうすると、室内環境が高齢者の身体に与える影響が大きいにも高齢者が健康的に暮らすために、室内環境から考える。Interview

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