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勉強会井上 氏井上 氏6連邦政府のこれまでのクリーンエネルギー関連技術への投資額は$900億以上に昇り、2015年までに90 万人以上の新たな雇用を生み出したと言われていますが、この内の50%以上を省エネ、再生可能エネルギー分野が占めています。再生可能エネルギー分野では太陽光発電(PV)設置が堅調で、2016年は前年比から倍増しており、今後もこの流れは続くと見られています。コストもかなり低くなってきており、2020年には多くの州でグリッド・パリティ(再生可能エネルギーによる発電コストが、既存の電力のコストと同等か、それより安価になる)に達するものと見込まれています。トランプ大統領はアメリカ・ファーストのエネルギー政策を打ち出しており、パリ協定からの脱退を宣言していますが、一方でカリフォルニア州、ニューヨーク州、ネバダ州、テキサス州のように環境政策に積極的な州もあります。例えば、カリフォルニア州では、温室効果ガス(GHG)排出について1990年比で2030年に40%削減、2050年に80%削減することを目標にしています。また、米国ではZEV(ゼロ・エナジー・ヴィークル)規制というものがあります。カリフォルニア州では2025年までに自動車におけるZEVの占める割合を22%、電気自動車(EV)を2030年までに500万台にする計画です。スタートアップへの投資については、クリーンテック企業への投資先を見ると、運輸分野が1位、次に省エネ分野が続いています。クリーンテックスタートアップ100選出企業においても、省エネ、スマートグリッド、蓄電池関連が多い状況です。今後の展望としては、分野・業界を超えた事業開発が必須で、消費者ニーズの深掘り、プラットフォーム戦略、データのオープン化がポイントです。自動車関連の大変動の波(電気自動車、ライドシェア、自動運転、データ活用)、電力及び周辺分野のAI活用及び優れたアルゴリズムの提供、CCA*(Community Choice Aggregation)の増加とブロックチェーン技術の適用などにビジネスチャンスにがあると考えています。勉強会企画者鈴木 義康|すずき よしやす上席研究員ご講演の後、講師を交えた参加者によるグループディスカッションを行い、今後の日本での破壊的なイノベーション、新サービスの可能性について活発に議論させていただきました。*地方自治体が非営利の電力会社を設立し、再エネを発電事業者から調達し、地域独占電力会社の送配電網と料金請求システムを使って、コミュニティー(住民)に再エネ比率の高い電力を手ごろな電気料金で供給する制度。日建設計総合研究所が日建グループ向けに開催する勉強会をご紹介します米国におけるエネルギー新ビジネスの最新動向[講師]Eneleap Consulting L.L.C. 代表取締役社長 井上 さやか 氏米国シリコンバレーで起業された経歴をもとに、米国及びカリフォルニア州のエネルギー政策動向をはじめ、クリーンテック分野のスタートアップ企業のトレンドや投資動向などについて、分かりやすくご講演いただきました。Study Session

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