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 第56回NSRI都市・環境フォーラム
デモクラシーの帝都~ 東京が世界第一級と なりえた時代の
都市と建築

2012年9月11日(火)
NSRIホール
講師:松葉一清氏(武蔵野美術大学教授)

松葉一清氏

1. はじめに~帝都復興とは何だったのか
2 . 大正の「現代」~民権論の世相と第1次世界大戦後の世界
3. 景観を誇示する都市~「東京節」が謳歌した帝都
4. 帝都炎上の惨禍~大震災をたどる演歌 
5. 復興の速度感~「コノサイ」こそ民意
6. 燃え落ちた旧社会~純白のキャンバスの出現
7. モダニズムの帝都~復興小学校の奇跡 
8. モダン行進曲~モボ、モガの昭和東京
9. 結び~なにを学び、なにを残すのか 

PDF版はこちらです→

 谷 大変長らくお待たせいたしました。ただいまから第56回NSRI都市・環境フォーラムを開催させていただきます。
本日は、お暑い中、お越しくださいまして、まことにありがとうございます。
 本日のご案内役は、私、広報室の谷礼子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、本日のフォーラムは、ご案内のとおり、武蔵野美術大学教授でいらっしゃる松葉一清先生にお話をいただきます。本日は、『デモクラシーの帝都~東京が世界第一級となりえた時代の都市と建築』と題してご講演をいただきます。松葉先生は、1976年に京都大学建築学科をご卒業され、その後朝日新聞社に入社されました。特別編集委員などを歴任され、2008年から現職についていらっしゃいます。
関東大震災後、東京は帝都復興を果たし、モダン東京へと変身いたしました。今日は、その辺のお話を先生の弾き語りを交えながら伺えるものと大変楽しみにしております。
それでは早速、先生にご講演いただきたいと存じます。どうぞ皆様大きな拍手でお迎えください。(拍手)

 

松葉 松葉でございます。暑い中をありがとうございます。ご案内がありましたように、帝都復興の話をさせていただきます。
去年の夏以降、平凡社と新潮社から2冊、帝都復興に関する本を出しました。平凡社の時には震災があったからニーズがあるのかぐらいに思って作業をしていました。ちょうど去年の今ごろの物すごく暑い7、8月、東京都心と近郊を走り回っていました。帝都復興時代の建築がどれだけ残っているかという現存調査を、85年ぐらいからやっていまして、3回目にあたる作業でした。それは平凡社からムックで刊行しました。そして、東北の復興がどうしてこんなに進まないんだろうということを去年の秋ぐらいから痛感し始めました。
NHKの番組はそれなりに真面目に現地に密着してルポもして、言い方はよくないかもしれませんが、「かわいそうだ、かわいそうだ」みたいなものをずっとやり続けた。そのルポをしているリポーターの後ろを見ると、最初のころは瓦れきがあって、そのうち瓦れきはなくなった。しかし、港のそばでは、堤防が壊れたままで毎日毎日浸水している。復興予算の政府の割り振りが悪いというリポートはたくさんあります。また、その場その場、各地区の復旧計画についての報道はあるけれども、全体像が全然存在しない。3月11日に地震があって、今日で1年半です。復興計画も高台移転の計画も、青図も全然出てこない。福島の原発事故で仕方がないかもしれないけれども、どうもおかしいのではないかと思い始めました。







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