No.101 シリーズ "NSRIは何をしている会社?" 第11回

2016年04月18日

VIEW NSRIの組織体制と取り組み

NSRIは、以下の7つのグループ制でサービスを行っています。

  • ZEB(低炭素建築) グループ
  • スマートシティ グループ
  • モビリティデザイン グループ
  • エネルギーマネジメント グループ
  • 都市政策 グループ
  • 都市開発 グループ
  • 海外・戦略 グループ

VIEWでは、88号から各グループの取り組み・サービスについてシリーズで紹介しています。
第11回は、ZEB(低炭素建築) グループの取り組み・サービスの紹介Vol.1です。

ZEB(低炭素建築) グループのご紹介 Vol.1 

グループの概要

持続可能な低炭素社会実現のために、ネット・ゼロ・エネルギー化の必要性が認識されてきています。ネット・ゼロ・エネルギー化とは、エネルギー消費量と再生可能エネルギー供給量を概ね等しくすることで、そのような建築を「エネルギー自立型建築」あるいは「ネット・ゼロ・エネルギー建築(ZEB)」と呼びます。都市レベルでも同様にネット・ゼロ・エネルギー化の取り組みが必要になってきています。ZEB(低炭素建築)グループは、それらの早期実現を目指し、ZEBや低炭素建築、省CO2都市の提案、評価、可視化等に取り組んでいます。
日建グループには1970年代から培ってきた省エネルギー建築、環境建築に関する豊富な知見と技術があります。NSRI設立10周年を迎える2016年は、これらを、ZED(ゼロ・エナジー・デザイン)に関するブランドとして国内外へ積極的に発信するとともに、今後期待されるゼロ・エナジー社会の実現に貢献できるメソッドとして再構築し、ベストプラクティスの実践に取り組んでいきたいと考えています。
ZEB(低炭素建築)グループには、次の建築、地域、都市レベルの3つの重点取り組みテーマがあります。

  1. 建築のZEB化提案と実現支援
  2. 省CO2まちづくりにおけるベストプラクティスの実践と評価
  3. 都市のビッグデータ活用と防災・レジリエンス評価
第1回目は、このうち、「1.」の建築のZEB化提案と実現支援に関する取り組みについて紹介したいと思います。

 

日建グループの省エネルギー、環境建築への取り組み

日建グループの省エネルギー、環境建築への取り組み(写真は、「FACT NIKKEN SEKKEI 環境親和2006 まちから建築へ」より)

これまでの取り組み紹介(その1)建築のZEB化提案と実現支援

①NSRI選書「エネルギー自立型建築」の発刊

 2013年10月に、NSRI選書の第1弾として、「エネルギー自立型建築」を発刊し、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の必要性と世界的な動向、実現のためのアプローチ方法、デザインメソッド等を示し、広く社会へ発信しました。2015年3月には英語版を発刊するとともに、(社)空気調和・衛生工学会のZEB定義検討小委員会やAPECのNZEBワークショップ等を通じて、国内外への積極的な発信を試みてきました。
NSRIが考えるZEB実現への道筋は、「まずは省エネルギーを徹底、エネルギー消費量を最小化したうえで、再生可能エネルギーを導入、エネルギー自立をはかる。」というもので、日本の高い省エネルギー技術を十分に発揮でき、かつ日本の気候風土にも適したアプローチ方法を提唱しています。
 

②学校ゼロ・エネルギー化の整備手法の提案

 ZEBの実現可能性が高い建物用として、小学校、中学校があります。空調や照明の負荷が比較的少ないこと、低層建築になることが多く、延床面積に対して確保できる太陽光発電パネルの面積が大きいためです。NSRIでは、これまで、K市の小学校、M市の中学校等の学校施設において、ZEB化の提案と実現の支援を行ってきました。いずれの施設においても、室内環境を適正に維持しつつ、熱負荷抑制→自然エネルギー利用→設備システム高効率化→再生可能エネルギー(太陽光)導入というZEB化の道筋と整備手法を提案、現在、実現に向けての計画・設計支援を行っています。

③研究所におけるZEB化の提案と性能検証

 業務施設の中で比較的ZEB化を実現しやすい建物用途としては研究所があります。これも学校と同様、比較的低層建築であることと人員密度が比較的少ないためです。NSRIでは、これまでに、国内では、D社の研究所においてZEB化を提案、現在運用段階を迎え、その性能検証に取り組んでいます。ここでは、エネルギー消費74%削減(従来機比)のZEB向け超高効率空調機を開発、ビルトインし、その実証試験も合わせて実施しています。また、海外では、中国R市の研究施設プロジェクトにおいて、ゼロ・エナジー研究所を提案、中国初のZEB実現を目指して、これから計画、設計、運用支援を行っていく予定です。

④低炭素建築のライフサイクルエネルギーマネジメント

 真にゼロ・エネルギー化を実現するためには、計画段階から設計、施工、運用段階に至るライフサイクルにわたるエネルギーマネジメントが不可欠です。NSRIでは、低炭素建築のライフサイクルエネルギーマネジメントを実践し、運用段階における性能検証を実施しています。特に、業務施設の中では比較的エネルギー消費量原単位が大きいとされる医療施設をターゲットとし、郊外型のA病院、都心型のK病院のLCEMを実践してきました。そして、いずれの施設においても、計画段階における目標値を上回る省エネルギー率、CO2削減率を確保、A病院については、建築設備士協会/カーボン・ニュートラル大賞を受賞しました。 

NSRI選書1「エネルギー自立型建築」とZEB実現のアプローチ方法の提案

NSRI選書1「エネルギー自立型建築」とZEB実現のアプローチ方法の提案

ZEB実現のためのデザインメソッドの提案

ZEB実現のためのデザインメソッドの提案

M市中学校におけるZEB化の整備手法の提案

M市中学校におけるZEB化の整備手法の提案