No.102 シリーズ "NSRIは何をしている会社?" 第12回

2016年04月28日

VIEW NSRIの組織体制と取り組み

NSRIは、以下の7つのグループ制でサービスを行っています。

  • ZEB(低炭素建築) グループ
  • スマートシティ グループ
  • モビリティデザイン グループ
  • エネルギーマネジメント グループ
  • 都市政策 グループ
  • 都市開発 グループ
  • 海外・戦略 グループ

VIEWでは、88号から各グループの取り組み・サービスについてシリーズで紹介しています。
第12回は、ZEB(低炭素建築) グループの取り組み・サービスの紹介Vol.2です。

ZEB(低炭素建築) グループのご紹介 Vol.2

グループ紹介 ZEB(低炭素建築)グループ

ZEB(低炭素建築)グループには、次の建築、地域、都市レベルの3つの重点取り組みテーマがあります。

① 建築のZEB化提案と実現支援
② 省CO2まちづくりにおけるベストプラクティスの実践と評価
③ 都市のビッグデータ活用と防災・レジリエンス評価

第1回目は、このうち、①の建築のZEB化提案と実現支援に関する取り組みについて紹介しました。第2回目となる今回は、②の省CO2まちづくりにおけるベストプラクティスの実践と評価、③の都市のビッグデータ活用と防災・レジリエンス評価について、これまでの取り組みを紹介します。
 

これまでの取り組み紹介(その2)
省CO2まちづくりにおけるベストプラクティスの実践と評価

① エネルギー面的利用に関する事業の進め方やスキームの提案

省CO2まちづくりには、建物単体としてのZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化だけでなく、周辺の既存建物も含めて建物間でエネルギー融通を行うなどのエネルギー面的利用が有効です。また、地震などの大規模災害時でも業務や生活を継続するために、自立的なエネルギー供給源の確保に資するエネルギー面的利用ネットワークの構築が望まれます。一方で、これらの整備のためには多大なコストがかかることが、エネルギー面的利用を事業化するための大きな障害となっています。そこで、NSRIでは、某自治体の業務において、事業者や需要家のコスト負担が少ない形でスタートし段階的にエネルギーネットワークを形成していく手法、地域PPSなどを活用した地域エネルギー会社による事業スキームなどを提案しました。 

エネルギー面的利用に関する事業の進め方の例

エネルギー面的利用に関する事業の進め方の例

② エネルギー面的利用システムの計画と検証・評価

エネルギー面的利用システムとは、分散型電源、未利用エネルギー・再生可能エネルギー、蓄電・蓄熱設備、エネルギーマネジメントなど様々な技術の組み合わせと考えられます。対象となる建物や街区のエネルギー特性、周辺の未利用エネルギー等の賦存状況、そして最終的な目的であるCO排出量の削減やエネルギー自立度の向上などにあわせて、最適なエネルギー面的利用システムを計画することが重要です。またこれらは、事業者や需要家を考慮した適切な評価指標を設定することで、事業化に際しての検証・評価が可能となります。NSRIでは、建築・都市デザインの専門知識とエネルギー計画のノウハウを活用することで、エネルギー面的利用システムの計画や検証・評価を行っています。なかでも、大阪の中之島三丁目地区においては、国内唯一の100%未利用エネルギー(河川水熱)利用による地域熱供給システムの計画から検証・評価までを継続的に実践し、空気調和・衛生工学会の学会賞技術賞、特別賞十年賞を受賞しています。

エネルギー面的利用システムの基本的な考え方の例

エネルギー面的利用システムの基本的な考え方の例

③ キャンパスエネルギーマネジメントの実践

大学等のキャンパスは、講義棟、研究・実験棟、事務棟、食堂、病院、寮、エネルギーセンターなど様々な用途の建物の集まりであり、築年数の古い既築・改修建物から新築建物まで存在するため、ひとつの「まち」を形成しているといえます。このようなキャンパスでは、中長期的な視点に立って計画的に省エネルギー対策を実施すること、対策実施のための持続可能な予算の確保やESCO事業などの活用、外部委託も含めたエネルギーマネジメント体制の整備が有効です。NSRIでは、某大学において8年間、継続的にエネルギーマネジメント支援を実施しており、累計のCO排出削減量は1万t-CO2を超える実績をあげています。

某大学における建物別一次エネルギー消費量およびエネルギー判定の例

某大学における建物別一次エネルギー消費量およびエネルギー判定の例

これまでの取り組み紹介(その3)
都市のビッグデータ活用と防災・レジリエンス評価

① 都市構造の可視化:コンパクトシティ・立地適正化計画への活用

我が国では今後、人口減少・高齢化の進展が見込まれ、持続的でコンパクトなまちづくりの必要性が高まっています。コンパクトなまちづくり推進に向けては、市民をはじめ多くのステークホルダーとの合意形成が必要であり、都市の現状や現在の状態のまま推移した場合の課題を的確に把握し、将来の都市構造変化の効果を客観的かつ定量的に評価・可視化等することが重要です。弊社では、国土交通省都市局業務において、最新オープンデータ並びにGIS等を活用し、上記に資する「都市構造の評価に関するハンドブック(平成26年8月)」の策定支援を実施しています。

都市構造の評価に関するハンドブック

都市構造の評価に関するハンドブック

② 大規模災害時防災への活用

首都直下地震や南海トラフ地震等の大規模災害時には、膨大な避難者・帰宅困難者等の発生が予測されています。一方、その滞留状況や行動パターンは、現状十分に把握されていません。そのため、災害に強いまちづくりに資する取り組みとして、先進都市情報であるビッグデータを活用し、避難誘導計画や避難スペースの計画、帰宅困難者対策等を検討することが考えられます。弊社では一例として、国土交通省都市局業務にて、ビッグデータ(携帯GPSデータ)を活用し、主要交通結節点(東京駅・池袋駅・仙台駅)周辺を例とした、東日本大震災当時の避難行動と避難所の関係性分析等を実施しています。

東日本大震災時の滞在者数の推移(携帯GPSデータ推計値:250mメッシュ)【東京駅周辺】(出典)(出典)ビッグデータを活用した都市防災対策検討調査(H25,3)国土交通省都市局都市安全課

東日本大震災時の滞在者数の推移(携帯GPSデータ推計値:250mメッシュ)【東京駅周辺】(出典)ビッグデータを活用した都市防災対策検討調査(H25,3)国土交通省都市局都市安全課

③ 鉄道経営戦略、沿線計画への活用

我が国の都市開発は、他の先進国に比べ、鉄道整備と沿線まちづくりが一体となり進展した経緯が特徴的です。鉄道沿線(始発から終着駅)の人口は、沿線にもよりますが一つの自治体に匹敵する規模を有する場合もあり、今後、鉄道沿線を軸としたまちづくりマネジメントを推進して行くことは重要です。さらに、地域の拠点となる特急・快速等停車駅周辺(TOD街区)のマネジメントも重要です。弊社では、これらのエリアの平常時と災害時の両面からのマネジメント高度化に資するよう、先進の都市情報並びにビッグデータ(ICデータ、携帯GPSデータ、Wi-Fiデータ等)を活用した取り組みを進めています。

ビッグデータを活用した鉄道沿線・TOD街区(主要拠点駅周辺)マネジメント【展開イメージ】NSRI作成​

ビッグデータを活用した鉄道沿線・TOD街区(主要拠点駅周辺)マネジメント【展開イメージ】NSRI作成​