No.103 シリーズ "NSRIは何をしている会社?" 第13回

2016年05月26日

VIEW NSRIの組織体制と取り組み

NSRIは、以下の7つのグループ制でサービスを行っています。

  • ZEB(低炭素建築) グループ
  • スマートシティ グループ
  • モビリティデザイン グループ
  • エネルギーマネジメント グループ
  • 都市政策 グループ
  • 都市開発 グループ
  • 海外・戦略 グループ

VIEWでは、88号から各グループの取り組み・サービスについてシリーズで紹介しています。
第13回は、都市政策グループの取り組み・サービスの紹介Vol.1です。

都市政策 グループのご紹介 Vol.1

都市政策グループの概要

急激に進む人口減少と少子高齢化により、2040年までに多くの自治体の消滅可能性を警告するレポートが耳目を集めるなど、これからの都市政策は、少子化と超高齢社会の影響を抜きには検討できません。

全国の都市では、人口減・超高齢社会に対応する都市づくりを進めるために「立地適正化計画」の策定により、集約型の都市構造への転換や都市機能の集約誘導が進められるなど、コンパクトシティ化の取り組みが行われています。また、地方都市などでは、市街地の郊外化とシャッター商店街に代表される中心市街地の空洞化が深刻な問題となっています。

さらに、人口減・超高齢社会では、社会資本整備に費やされる余力も限られてくることから、効率的・効果的な公共施設整備や公共サービス提供、公民連携の取り組みが必要となっています。

都市政策グループでは、これらの都市政策の課題を解決し、今後も持続可能でクオリティの高い都市・まちづくりの促進のため、コンパクトシティ、地域活性化、公民連携、安全・安心のまちづくりなどをテーマとして、主として、つぎのような都市政策立案コンサルティング、事業化支援などを行っています。 
 

①持続可能都市構築に向けた新たな都市課題への対応

●コンパクトシティ、少子高齢化対応等をテーマとした政策立案、都市マスタープラン等策定
●中心市街地活性化に係る施策立案
●駅周辺まちづくり立案

②公民連携による効果的な都市経営支援や魅力づくり

●自治体のPFI・PPPアドバイザリー・導入可能性調査
●エリアマネジメント支援
●魅力ある都市空間づくり支援

③安全・安心の都市づくり

●密集市街地等の改善方策立案
●ターミナル駅のエリア防災計画立案

これまでの取り組み紹介 その1

都市政策グループでは、自治体の都市計画マスタープランや立地適正化計画といったコンパクトシティ化を目指す施策の策定支援を行っています。計画策定は、その都市の特性や課題に即し、クライアントである行政だけでなく「エンドユーザー」である市民にも理解していただけるような計画策定を心がけています。策定に関わった八王子市の都市計画マスタープラン(都市づくりビジョン八王子)をご紹介します。

【八王子市都市計画マスタープラン(都市づくりビジョン八王子)】

都心から約40kmに位置する東京の郊外都市(図1)である八王子市は、戦後の高度経済成長期以降、宅地開発が進み、人口は一貫して増加し多摩地域における最大の拠点都市として成長してきました。しかし、本市においても少子・高齢化の進展は避けられず、平成32年の約59.2万人をピークに人口減少局面に入ると予測されています。(図2)
 

図1 八王子市の位置                 図2 将来人口推計(平成12年を基準に指数化、平成22年までは国勢調査実績値)

図1 八王子市の位置                 図2 将来人口推計(平成12年を基準に指数化、平成22年までは国勢調査実績値)

このような背景を踏まえ、将来の人口減少・高齢化に備えた都市づくりを目指すと共に、地球温暖化への都市における対応、東日本大震災などを教訓とする防災まちづくりを進めるため、八王子市の都市計画の基本的方針である「八王子市都市計画マスタープラン」(平成15年)を全面的に改定し「都市づくりビジョン八王子」として平成27年3月に策定しました。

■計画内容の見直しのポイント

① 都市構造、土地利用の検討に際し、将来の人口減少・高齢化に備える
② 新たな社会的要請(低炭素都市づくりや減災都市づくりなど)に応える
③ 市民の都市づくりの理解と参画を促す

■人口減少・高齢化に対応する20年後の都市ビジョンと都市構造の提示

○20年後の姿を示す都市ビジョン
人口減少・超高齢社会に対応した市街地の再編が必要との課題認識から、「都市ビジョン2」では「都市機能の集積や公共交通等の充実により、暮らしやすいまちが実現している」イメージを示しました。(図3)

図3 20年後の都市ビジョン

図3 20年後の都市ビジョン

○「拠点・沿道ネットワーク型」都市構造
人口減少局面を見据えた超長期的な将来の都市構造を目指すため、歩いて暮らせる身近な生活圏、地域特性に応じた機能集積と連携、低炭素都市づくりなどの考え方を踏まえ、既存の都市基盤ストックを活かしながら災害時においても自立性の高い「拠点・沿道ネットワーク型」都市構造を示しました。(図4)

図4 現状と将来の都市構造

図4 現状と将来の都市構造

■市民等に都市づくりの理解と参画を促す工夫

○「協創」の都市づくり
行政に加えて市民、事業者、大学などの地域の担い手など多様な主体が、「協働」によって都市を「創造」する、「協創(Collaborative Creation)の都市づくり」を推進し、「20年後の都市ビジョン」の実現を目指しました。(図5)

図5 都市づくりの主体と役割

図5 都市づくりの主体と役割

○「目標型・戦略型」の都市づくり方針
従来の都市計画マスタープランの全体構想における方針は、市街地整備、交通、みどり、防災といった施策分野ごとに整理されており、市民にとって都市づくりの方向性や施策間の関連がわかりにくいものでした。このため、都市づくりビジョンでは、都市づくりの方向性やテーマが共有できるよう、「目標型・戦略型」の「都市づくり方針」を示しました。(図6)

図6 都市づくり方針の構成

図6 都市づくり方針の構成

○冊子のデザインの工夫と多様なメディアによる情報発信
都市づくりビジョンを市民に気軽に手に取ってもらい、都市づくりへの理解を促進するために、冊子のデザインを、多摩美術大学との“協創”によるプロジェクトとして、八王子の魅力を発信する新しい都市づくりにふさわしいデザインに仕上げました。(図7)

図7 冊子のデザイン

図7 冊子のデザイン