No.90 シリーズ "NSRIは何をしている会社?" 第3回

2014年10月03日

VIEW NSRIの組織体制と取り組み

本年1月より組織体制が再編され、以下の5つのグループ制となりました。

  • ZEB(低炭素建築) グループ
  • スマートシティ グループ
  • モビリティデザイン グループ
  • エネルギーマネジメント グループ
  • 都市開発 グループ

VIEWでは、88号から各グループの取り組み・サービスについてシリーズで紹介しています。
第3回は、モビリティデザイン グループの取り組み・サービスの紹介Vol.1です。

モビリティデザイングループのご紹介 Vol.1 


ーNSRIの考える“モビリティデザイン”とは?ー

超高齢化と人口減少社会の到来、地球温暖化対策等の問題は、都市交通ネットワークや土地利用、及び街区形成と密接な関係があります。“モビリティ”とは、“移動”を表す言葉ですが、その移動を支える自転車、自動車、鉄道、バスなどの交通手段、道路、鉄道、駅施設等の都市基盤、そしてその周辺の都市機能整備など、どれも都市を成長させるために不可欠なものです。

NSRIの「モビリティデザイングループ」は、従来の都市交通ネットワークの整備計画の概念に留まらず、鉄道沿線エリアのリノベーション等、都市・交通政策を包含した総合的観点から都市モビリティの方向性を提案します。
国内では、激変する社会環境(例:高齢化、人口減少等)にあわせ、既存交通インフラの有効活用策を、都市空間の付加価値最大化の視点から提案します。提言内容は、交通インフラ領域に留まらず、沿線土地利用、都市構造等、複合的視点から最適な都市交通計画を提言します。
海外では、日本が誇る公共交通指向型開発(TOD:Transit Oriented Development)のノウハウを活かし、対象国の状況にあわせた交通システムとまちづくりを一体的にご提案します。
また交通に係る先端技術は日進月歩であり、常にそれらにタイムリーに対応していくことが必要となります。当グループは、交通計画の最先端の理論・技術に秀でた学識経験者とのコラボレーションに基づき提案を行っています。


ー4つのピラー・プロジェクトー

モビリティデザイングループの携わるプロジェクトは、以下の4つの柱で表現されます。

① 交通まちづくりビジョン策定
② 鉄道沿線エリアの街づくり(TOD)
③ 交通需要マネジメント
④ 次世代型「Mobility + 1」の街づくり

今回、次回と2回に分けてモビリティデザイングループの取り組みをご紹介します。今回は、①交通まちづくりビジョン策定と国内外の②鉄道沿線エリアの街づくり(TOD)を題材として取り上げます。また次回は、③交通需要マネジメント、④先端ICT技術を活用した次世代型「Mobility + 1」の街づくりを題材として取り上げる予定です。

図-1 モビリティデザインの4つの柱

ー交通まちづくりビジョンの策定ー

上述のように、少子高齢化等の社会問題、地球温暖化に代表される環境問題を踏まえつつ、自治体として活力あるまちづくりを実現していくために、特に交通の面からのソリューションを含めた交通まちづくりビジョンを策定します。

NSRIは、名古屋市において中心市街地における賑わいあるまちづくりの維持・向上を実現していくために、「なごや新交通戦略推進プラン」のリーディング・プロジェクト“みちまちづくり”と、そのパッケージ施策を具体化する交通まちづくりプランの策定に関して検討を行いました。策定に際しては、ワークショップ、インタビュー等市民との対話の場を設け、参加型のプラン作成を行いました。

図-2 名古屋交通まちづくりプランの概要

ー鉄道沿線エリアの街づくり-1ー
■ 国内大都市圏における沿線価値向上のためのビジョン策定
 

東京、大阪などの国内大都市圏においては、既にJR、私鉄による鉄道網が発達しており日本型の大都市圏TODとも呼べるモデルが出来上がっていると言えます。しかしながら、今後の人口減少社会を背景として大都市圏におけるエリア間競争が激しくなる中、今後も「選ばれる鉄道沿線」であり続けるために、魅力ある持続可能な鉄道沿線を形成するためのビジョン構築が必要です。

NSRIは、大都市圏における鉄道沿線を対象として、沿線における人口分布、商業施設等の規模別立地状況等における現況分析、先進事例分析、沿線住民へのアンケート等を実施します。更にこれらの分析結果を踏まえたブランディング戦略、ゾーン別機能分担および駅周辺における具体的なモデルプラン等を含む包括的なビジョン策定を行っています。

また駅周辺に都市機能を集積するというビジョンを活かして、現在各自治体で策定を進めている「立地適正化計画」と連携したプランとすることも可能です。

図-3 都心部某鉄道の沿線人口の現況と予測                 図-4 沿線におけるゾーン別機能分担およびターゲットの設定

図-5 主要拠点施設の集約化および駅周辺への立地のイメージ

ー鉄道沿線エリアの街づくり-2ー
■ 海外新興国におけるTOD戦略の策定支援
 

海外新興国においては、その爆発的な都市人口の増加に伴い、環境問題や交通渋滞問題が深刻化しています。いくつかの大都市においては、交通渋滞解決を目的として公共交通が導入、または計画されており、沿線の都市開発を含むTODをコンセプトとして掲げているケースも多くみられます。しかしながらその実現に向けては各国独自の様々な課題があり、一足飛びには進まないというが現状です。

NSRIは、TODを志向する海外の都市圏を対象として、現地の都市計画・土地関連制度、開発の現況等を踏まえ、なぜTODが進まないのかという課題を抽出し、その解決策も含んだTOD戦略策定支援を行っています。日本の大都市圏におけるTODの経験・ノウハウに基づき、法制度などのシステム面だけでなく技術面からの提案も行っています。

図-6 日本の技術を生かしたソリューションのイメージ     図-7 現地計画への反映イメージ