No.95 シリーズ "NSRIは何をしている会社?" 第7回

2015年10月20日

VIEW NSRIの組織体制と取り組み

NSRIは、以下の7つのグループ制でサービスを行っています。

  • ZEB(低炭素建築) グループ
  • スマートシティ グループ
  • モビリティデザイン グループ
  • エネルギーマネジメント グループ
  • 都市政策 グループ
  • 都市開発 グループ
  • 海外・戦略 グループ

VIEWでは、88号から各グループの取り組み・サービスについてシリーズで紹介しています。
第7回は、都市開発グループの取り組み・サービスの紹介Vol.1です。

都市開発グループのご紹介

終戦から70年が経ちましたが、我が国の多くの都市では空襲により甚大な被害をうけ、「焼け野原」から戦後の復興が始まりました。多くの都市では戦災復興区画整理事業などによる面的な市街地整備が行われ、今日まで産業・文化・生活の場を担ってきました。
しかし、近年では建物のみならず道路などインフラも含めた市街地全体の老朽化が進み、少子高齢社会や人口減少社会の到来、グローバル化の進展などから都市に求められるニーズに必ずしもマッチしていない市街地も見受けられ、街としての魅力の低下や災害への懸念も高まっています。
また、我が国の経済成長を支えてきた臨海部などに立地する生産や流通機能なども産業構造の変化に伴い、土地利用ニーズが変化しています。
都市開発グループでは、主に以下の4つをテーマにして、まちの将来像・ビジョンづくりから具体の市街地整備計画の立案やまちの維持管理に至るまでの提案を行っています。実際のまちづくりに関わりながら、それらで得た知見や経験を国や自治体の施策検討に反映し、次のまちづくりに展開するなど、都市がこれからの社会・経済活動や人々の自己実現の場としての魅力を持ち続けるための提案に取組んでいます。

1.鉄道駅周辺など中心市街地の再生・再編プログラムの提案
2.工場跡地や臨海部など大規模な土地利用再編プログラムの提案
3.街の魅力向上のためのビジョンやアクションプログラムの提案
4.都市の再生、価値向上のための施策に関する調査・研究

1.鉄道駅周辺など中心市街地の再生・再編プログラムの提案

事例:「蒲田駅周辺再編プロジェクト」

蒲田駅周辺(東京都大田区)は、映画「蒲田行進曲」やNHKの朝ドラ「梅ちゃん先生」の舞台にもなりましたが、空襲による大きな被害を受け、戦後、戦災復興土地区画整理事業によりまちの骨格が形成されました。現在では駅を中心に商業・業務施設や公共施設等が立地し、地域の人々が集い、様々な都市活動を支える拠点となっています。しかしながら、都市基盤や建物の老朽化、都市としての機能不足など、現在の社会・経済情勢への不適合が顕在化しつつあります。一方で、羽田空港の国際化、近隣都市の再開発、交通環境の変化、少子・高齢社会などに対応した、新たなまちづくりが求められています。
NSRIでは、平成22年から大田区からの委託を受け、駅前広場を中心とする駅前空間の将来像と、今後のまちづくりに関わる課題を解決するために必要な施設整備と、実現化に向けた手順、整備の条件などをとりまとめた「蒲田駅周辺再編プロジェクト」の策定に従事しました。

 

図1 「蒲田駅周辺再編プロジェクト」(平成25年12月・大田区)より抜粋

「蒲田駅周辺再編プロジェクト」の策定にあたっては、地元団体や区議会、有識者等が参加する「蒲田都市づくり推進会議」の運営支援を行いました。VR(Virtual Reality)を用いて駅前広場の再整備等による駅前空間の整備イメージを「見える化」し、現状との違いや整備案相互を比較検討するなど、関係者間の合意形成の推進を支援してきました。

図2 「蒲田駅周辺再編プロジェクト」(平成25年12月・大田区)より抜粋

西口駅前広場の再整備にあたって、地元関係者や有識者の意見を集約するなど、周辺まちづくりとの関係を踏まえたデザインの基本的考え方をとりまとめた「蒲田駅西口駅前広場初動期整備デザイン基本プラン」の策定を行いました。

図3 「蒲田駅西口駅前広場初動期整備デザイン基本プラン」(平成27年1月・大田区)より抜粋

駅前広場や地下自転車駐車場等の公共施設整備の検討などでは、日建設計や日建設計シビルなど日建グループ各社と連携し、建築・土木の技術的検討を行いました。さらに、駅前広場周辺の民間開発との連携可能性の検討など、駅前再開発の実プロジェクトで得た知見や経験を活用し、実現化に立脚した提案を行っています。
今後の少子高齢社会や人口減少社会などを踏まえると、交通利便性の高い鉄道駅周辺は、これまで以上に地域の産業や生活などを支える拠点としての役割を担っていくことが求められると考えます。既存のストックを活かしつつ、「〇〇ならでは」の地域の拠りどころとして魅力を持ち続ける街づくりを心がけています。