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「水の惑星」と言われる地球でなぜ水不足が生じるのか?水資源が季節的にも地理的にも偏在しているからであり、圧倒的に単価の安い水資源を運ぶことが市場価値に合わないからです。一方、穀物や肉類の生産には多くの水が必要で、それらを輸入することは、水を輸入していることと同ダボス会議で知られる世界経済フォーラムにおけるグローバルリスク報告書2017年度版では、洪水や暴風雨など水に関連する自然災害によるグローバルリスクの影響度や可能性が高いことが示されています。じことになります。このような考え方を仮想水(ヴァーチャルウォーター、以下VW)と呼んでいます。世界の地域間のVW貿易では、北米や豪州地域から輸出し、東アジアや中東地域などで輸入している関係となり、日本は輸入国となります。水資源は、経済的に豊かな国では水ストレスがあってもVW貿易で水不足を解消できますが、貧しい国ではVW貿易ができないため水不足のままとなります。また、2011年のタイの大洪水が世界的な経済活動に波及したことに代表されるように、企業の水リスク管理に対する意識は高まっています。水利用に関する潜在的環境影響を定量化するには、ウォーターフットプリントを利用することができます。こうした環境指標導入の動きは、世界的な広がりを見せつつあり、今後は企業による環境問題への積極的な取組みへの活用が期待されます。国連では、2015年に「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、「持続可能な開発目標(SDGs)」として17の目標が示されました。その内、水関連の目標としては、「水と衛生」や「気候変動」が大きく関係します。今後は、SDGsへの取組みが企業の存続に影響し、それらへの取組みの潮流自体が新たな需要をもたらすことになると考えられます。 エネルギーマネジメントグループ高橋 直樹|たかはし なおき上席研究員今後は、今回の水資源に関する知見を踏まえ、NSRIの得意とするエネルギー分野における調査研究成果と融合して、あらたなエネルギーと水の評価ツールの開発などに役立てていきたいと考えます。グループマネージャーが企画した社内勉強会をご紹介します勉強会6水とグローバルリスクと持続可能性[講師]東京大学総長特別参与・生産技術研究所 教授 沖 大幹氏グローバルリスクと水問題の関係、それらへの取組みによる持続可能な開発への適応について、仮想水やウォーターフットプリントといった評価指標をもとにご講演いただきました。Study Session

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