VIEW123 Jul 2019
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2ESG投資は今どのくらい普及しているませんが、2015年に世界最大の年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人が国連の通達であるPRIに署名したことから、大手生命保険会社などが続いて署名し、2018 年6 月時点で、60 以上の機関が署名しています。田 ような貢献ができますか。大久保 これまでの不動産投資では、主に短期的な収益性を重視した投資判断が行われてきましたが、今後はESGの視点を考慮した不動産投資が主流になっていくと思います。不動産を対象にしたESG投資を考える際に、不動産開発により、環境面や社会面にどのようなインパクトがあるのかを客観的に評価していくことが求められ、NSRIがもつ環境分野・社会(まちづくり)分野の様々な評価の知見・ノウハウを活用することができると考えています。例えば、環境面で言えば、不動産の有する基本機能に加え、省エネルギーや環境配慮、快適性や健康、防災・BCP 機能等の付加的機能が重要となっており、これらと不動産の収益性との関係性を客観的に示すことは、投資家にとっても判断基準の一つになるでしょう。また、社会面においても、不動産の収益性や開発効果は、建物単体のみならず立地特性等の周辺環境にも密接に関連します。NSRIでは、これNSRIは、ESG投資推進のためにどのインタビュー短期的な経済指標だけではなく環境・社会への影響も含めて評価し、企業の中長期的な成長・持続性を促すという考えにもとづいた投資(ESG投資※)が欧米で注目を集めています。不動産事業においても、ESG投資を推進することは日本の不動産投資市場全体を活性化させるチャンスになります。日建設計総合研究所(NSRI)では、投資判断のためのデータベース構築に向けた取組み等を行っています。今回は、このような不動産市場においてESG投資を推進するための取組みをご紹介します。日本におけるESG投資推進のために田 のでしょうか。大久保 従来、投資家は投資対象を選ぶ際にキャップレート※等の経済的指標によって判断していました。しかし、欧米の金融機関や投資家を中心に、経済面だけでなく環境配慮(E)社会貢献(S)の視点も含めたサステナビリティを重視した投資が広がっています。2018年の世界のESG 投資運用額は3,000 兆円超となり、世界投資総額の約35%を占めるまでになっています。2006年に国際連合が投資家にESG課題の観点を反映した投資行動を促す「責任投資原則(PRI)」を公表しました。近年、海外投資家が日本を投資対象とするようになってきており、海外からの投資を呼び込むためにも、ESG投資は重要な観点です。日本ではまだ投資規模は大きくあり不動産投資判断のためのデータベース構築と情報発信Interview

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