VIEW123 Jul 2019
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6スポンジ化する都市居住地の維持居住地の低密化勉強会企画者竹村 登|たけむら のぼる上席研究員都市計画では、ともすれば都市構造(交通、拠点)を考えてから土地利用(住まいなど)を検討しがちですが、■庭先生の「住まいをまず考える」というご示唆に瞠目させられました。スポンジの穴民間や市民の取組み公共による都市機能整備の取組みスポンジ化は、ゆっくりと小さな規模であちこち(ランダムな場所)で進行していくのが特徴です。人口減少に対応する都市の理想は、中心に集約されたコンパクト型ですが、現実はスポンジ化が進んでいきます。このようなスポンジの構造を活かした現実的なシナリオを作って、どう都市に介入していくかが課題となります。都市はじわじわとしか変わらないので、民間の建て替え、住み替えの動きを中長期的にコントロールしていくしかありません。通などに関する対策(計画)も重ねていく必要があります。計画の順番は、交通→拠点→住まい、ではなく、住まい→拠点→交通の順で考えます。良い住宅地が、バスが通っていないという理由で捨てられてしまうのでなく、住まいをまず考えて、それを支える拠点をつくり、それをつなぐ交通(バスのルートなど)を変えていくことが重要です。都市は外にいくほど新しく、都市の拡大期には中心から外側にスプロールし都市が拡大しました。一方で都市の縮小は外から中心に向かって縮小するのではなく、ランダムにスポンジ化していきます。都市の縮小のイメージ「拠点」に公共施設や生活利便施設などの都市機能の集約を目指します。拠点の形成に加えて、スポンジの穴を使った民間や市民の取組み(空き家のリノベーションなど)により、その周辺の居住地が維持されていくことになります。都市計画は、時間の感覚をもつことが重要です。計画をつくったら終わりではなく、段階的、重層的に考えていきます。都市機能・居住の誘導を進める計画だけでなく、空き家対策や公共交勉強会現実スポンジ化対応のシナリオ日建設計総合研究所が日建グループ向けに開催する勉強会をご紹介します都市の縮小都市の縮小都市の中心都市の中心都市の中心都市の中心「都市のスポンジ化」時代のまちづくり[講師]首都大学東京 都市環境学部 教授 ■庭 伸(あいば しん)氏人口減少・高齢化により空き家や空き地が無秩序に発生する「都市のスポンジ化」が懸念されています。人口減少時代の都市計画のあり方などを研究され、『都市をたたむ:人口減少時代をデザインする都市計画』の著書である■庭先生にこれからのまちづくり、都市計画についてご講演いただきました。Study Session

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