VIEW124 Oct 2019
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2建築設備は、どんな時、何のために更坂井 判断する基準はどういうものですか?河野 定期的に行っている建築設備の点検記録データを使って、機器の部品毎の故障傾向を分析しました。今までわからなかった機器の修理費がいつどの程度必要になるかを把握し、これまで判っていた機械の更新費用やエネルギー費なども積み上げて、ライフサイクルコストが一番安くなる時期を更新適齢期とする基準を検討しました。眠っていた点検記録に価値を見出す坂井 一般的に点検記録は定型化されていない気がしますが、分析するにあたって、どのようなデータを取り扱ったのですか?河野 そうですね。一般的に点検記録は、機器メーカーさん毎に独自の記録フォーマットを持っていて、どの部品についてどんな点検をするかなどもバラバラです。また、その記録もデータではなく紙媒体だったりします。今回利用させて頂いたデータは、某クライアントさんが、6年前から統一した記録フォーマットで蓄積されてきたものです。 点検結果の状態に応じた3段階の故障判定レベルを設定していて、部品毎に記録されているものでした。今までは、紙に点検した結果を記録して、点検実今回作成した建築設備の更新適齢期をインタビュー建物には、空調機や照明器具などの「建築設備」と言われる機器がたくさん導入されています。建築設備は、建物よりも寿命が短く、建物のライフサイクルの中で何回も更新時期を迎えます。にもかかわらず、明確な判断基準がないのが現状です。今回は、これまで眠っていたデータを活用して、「建築設備はいつごろ更新するのが良さそうなのか?」を定量的に判断する一つの方法を考え、新しい価値を創出した事例についてご紹介します。建築設備更新に関する新しい評価手法坂井 新する必要があるのですか?河野 一般的に、機械を構成する部品が壊れ始めて単純に動かなくなる場合や、動いているけれどもエネルギー効率(燃費)が悪くなってきた場合などが更新の目安となっています。何年使い続けたら更新という明確な基準がないため、現在は、設備の法定耐用年数(15年)などを目安に人が判断して更新しています。更新にはお金が掛かるので、なるべく長く使い続けたいという声がある一方で、使い続けるといつ故障するかわからない、故障してからでは遅いという声もあり、結果、早め早めの更新になっているのが実態です。建築設備の更新判断はどうしたらよいの?建築設備の適正な更新時期とは?Interview

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