view126 Apr 2020
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旅する研究員“スマートシティ”は、“0から1を生み出す”のR&Dフェーズのプロジェクトと、“1から10に展開する”普及検討フェーズのプロジェクトに分けることができます。後者に焦点を置いた、欧州諸都市での気付きをご紹介します。「あなたの研究対象はウィーンです」大学の研究室に配属後、このテーマを受けて海外の都市計画と向き合う日々が始まりました。当時、親の脛を手羽先のようにかじりながら、ウィーンをはじめ、EU主要都市をバックパッカー的に歩き回った経験が、現在の基盤にもなっています。仕事で彼の地に行くなど思いもしませんでしたが、昨年スマートシティの調査の一環で、ウィーンを含む6か国12都市を訪れる機会に恵まれました。“スマートシティ”は、語る視点によって多様に解釈できる便利な言葉ですが、フェーズの視点に絞った場合、“0から1を生み出す”R&Dフェーズと、“1から10に展開する”普及検討フェーズのプロジェクトに分けることができます。今回の調査は後者に焦点を置いたものでした。普及検討フェーズのプロジェトの多くは、個別の要素技術の目所員が出張で訪れたまちをご紹介します7ウィーン モビリティハブウィーン 老朽地区のリハビリテーションウィーン モットー・アム・フルスドナウ川を見下ろす展望カフェ新しさはありません。しかし、有用なソリューションを地区に埋め込む際のトライ&エラーを国をまたぐ自治体間で共有し、ボトムアップを図る制度的枠組みや、対象地域の市民対話に重きを置いたプロセス設計など、学ぶべきフレームワークが見えてきました。スマートシティの視座から眺めてみると、見知ったつもりのウィーンの街角も複層的に見えてくる、そんな気付きが得られた再訪でした。和田 雅人|わだ まさと研究員日本・海外における沿線開発戦略検討・TOD・ウォーカブルな都市骨格調査検討ウィーンの対象地を視察したのち、旧市街地とドナウ川の接点に設けられた賑わいスポット、モットー・アム・フルスに行きました。船をモチーフとした建造物と展望カフェは歴史的な街並みに景観的なアクセントとなっています。欧州らしいカラッとした晴天も相まって、この時飲んだビールは忘れがたいほど美味でした!欧州スマートシティの街歩き州スマートシティの街歩き

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