view132 Oct. 2021
2/8

TOD※エリアや地下街を舞台に、「歩行者空間の新たなプランニング手法」を研究している筧主任研究員と「ICTを活用したエリアマネジメント」を推進している土肥研究員が、二人が目指す「使いたくなる楽しいウォーカブル空間づくり」について対談しました。※TOD(TransitOrientedDevelopment):公共交通機関の利用を前提に組み立てられた駅まち一体の都市開発筧現行のTODエリアの歩行者空間計画では、歩道幅員が歩行者量に対して充足しているかを中心に評価しています。しかし、最近のTOD空間には広場や沿道店舗があったりと多様化が進んでおり、その多様な空間を評価できないか?密度論にとどまらず賑やかさや快適さなどの評価指標を加えられないか?と考え研究を始めました。研究のテーマは2つ。1つは質的評価手法の検討で、渋谷、東京、大手町などの実際の空間について、にぎわいや快適さ、買い物のしやすさなどの主観的で感覚に基づいた評価を行い、通路の幅員や通行量、沿道の店舗種類などとの関係を分析しています。2つ目は、質的評価を踏まえて計画された空間における歩行者の挙動を、シミュレーションを用いて可視化する手法を検討しています。TODエリアの歩行者空間を計画する際の、空間構成や機能配置、計画された空間の評価にこの研究が貢献できると考えています。TODエリアの歩行者空間(渋谷駅、2019年7月撮影)プロジェクターを用いた床面広告インタビュー土肥私は、経済活性化によるエリアの価値向上を図りたいと考えています。例えば地下街を対象に、カメラやセンサで収集した人流・属性データを用いて、人の行動や嗜好性を分析し、店舗集客とテナント売上の向上を実現するための施策検討支援を行っています。ある地下街を対象に、店舗前人流と来店客数の相関性を業種や曜日毎に分析したり、どのくらいの店舗前人流を店舗に取り込めているか(人流キャッチポテンシャル分析)、店舗配置のシミュレーションなどを検討しています。また、プロジェクターを用いて通路床面に動的な店舗案内広告を表示し、歩行者の反応や来店客数の変化を計測する実証実験も行いました。筧案内誘導施策はどのくらいの範囲に表示できますか?近年、特に都内のTODは大きくかつ複雑になってきているため、乗り換えも大変で大きな駅での乗り換えを避ける人もいると聞いています。プロジェクター照射による動線の誘導は、駅の利用のしやすさを助けてくれるのではと思います。2歩行者を知ることから始める 使いたくなる楽しいウォーカブル空間づくりInterview

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る