3坂井基本的な進め方には大きな違いはありませんが、まずはエネルギー消費を可能な限り減らす(省エネ)ことと、次に再生可能エネルギーをつくる(もしくは調達する)ことの2つの観点から調査・分析を行った上で、将来目標との整合を図っていきます。一つ目の省エネの検討においては、はじめに、現地調査を含むエネルギー消費状況の現状把握を行うと共に、CO2削減ポテンシャルがどこにあるのかを探ります。現状把握のデータ分析には、BEMS(BuildingEnergyManagementSystem)データを用いることが有用ですが、歴史的建造物などの古い建物にはBEMSが整備されていないことがあります。その場合は、短期的計測が実施しやすい無線の計測機器を設置するなど、状況に応じてデータを収集します。また、これらの計測データがない場合でも、月々のエネルギー使用量や、統計データ等を用いた分析を行うことで、エネルギー消費傾向を掴むこともできますね。さらに、把握した情報をさまざまな角度から分析を行った上で、施策の提案を行います。例えば、近年は個別分散空調システムを持つ建物が多いことから、個別のシステムをどのように効率的に更新していくか検討します。その他、研究施設や実験機器のエネルギー消費の効率化については、大学施設の関係者に、実験機器の使い方や利用方法などを確認しながら、改善策を整理します。二つ目の観点である再生可能エネルギーをつくることにおいては、どこまで再生可能エネルギーが供給可能か、現状把握と導入ポテンシャルを調査検討します。その他、外部からの調達方法、オフセットの方法についても検討しています。これらを経て、目標であるカーボンニュートラル化が実現できるのか、実現するには何が足りないのか等、実施すべきことを明確化していきます。范現地調査と分析などの検討結果に基づいてカーボンニュートラル化を提案していますが、全ての設備機器などを一括で高効率化することができないという課題があります。そのため、NSRIでは、各設備機器の更新時期や容量の適正化も考慮し、いつ・なにを・どのように変えていけば効率よく、かつカーボンニュートラルに寄与できるかをロードマップとして提示し、実施すべ
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