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7というのが、まさに私たちの試みです。ご指摘の通り今日であっても、ある種の意図が行儀の良い振る舞いとか消費活動を称揚し促す例はいたるところに見られます。海外では、例えば某国のスマートシティプロジェクトは、公共空間における監視を強めるとして人権団体等から批判を受けています。技術を使って、暗に「利口な」選択を人々に迫っていると。藤田私たちは技術的に規範化されていく可能性があると―今回の提案は、技術的にそれに抗おうとしているわけですが―そう考えると、知や技術に対する私たちの態度を考える意義は深そうです。歴史を振り返ると、知や技術に対する人々の態度は、保守と急進の2つに大別できるように思われます。それぞれ、知や技術を制御し道具として扱おうとする態度、自律的に高度化する知や技術を人間の理解を超えた魔術的なものとして扱おうとする態度のことですが、この他に、少数派ながら中道的な態度も存在すると思われます。つまり、知や技術と人間は共に変化しあう主体=「デジタル・人間」であるとして振る舞う態度です。「2084」は、人間とデータのハイブリッドを都市問題として中道的立場から解こうとしているようですね。小松そのように意識してはいませんでしたが、確かに都市に住まう人と技術は、かつてないレベルで不可分になっていると思います。建築や都市に携わる者にとって、技術か人かの二分法を脱した第三のスタンスは、今後重要かもしれませんね。小松 航樹|こまつ こうき 研究員参加型まちづくり・コミュニティデザイン、国際関係・国際協力、都市経済・計量経済、情報システム・アプリケーション開発藤田 朗|ふじた あきら 主任研究員技術・都市・人間の関係についての研究に携わっています。最近は趣味のゲーム開発のノウハウを、ゲーミフィケーションの形で業務に取り入れるべく画策中です。

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