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所員が出張で訪れたまちをご紹介しますバルカン半島の南東に位置するコソボ共和国は、90年代から続いたユーゴスラビア紛争から2008年に独立を果たした「ヨーロッパで最も若い国」と呼ばれています。しかし、そんな異名とは裏腹に、古代ローマから続く長い歴史のなかで東西の様々な文明が溶け込むメルティングポットとして独特で魅力的な文化を形成してきました。今回そんなコソボの独特な魅力が詰まったまち、プリズレンに行ってきました。今年6月、コソボ南部の都市プリズレンで開催された国際会議へ参加しました。コソボ≒紛争地域くらいのイメージしかなかった私は、ワクワクと同時に若干の不安を覚えつつ、出国。トルコ・イスタンブル経由で約18時間かけコソボの首都プリシュティナ空港に到着。さらに、車で1時間半ほど離れた開催地プリズレンに向かいました。プリズレンは、古代ローマ、オーストリア、オスマン帝国などを経るなかで、東西の文明と多様な民族が行き交う街として栄えてきました。コソボの郷土料理旅する研究員7今でも、人口の大多数を占めるアルバニア系住民が信じるイスラム教のモスク寺院の尖塔とドームが街中に点在しているなかで、中世のセルビア正教の聖堂・教会がぽつんとあったり、様々な文化が混在した、独特で魅力的な街並みを形成しています。まちの中心、旧市街を流れるビストリカ川の両岸には、まちのシンボルであるシナン・パシャ・モスクと広場を中心におしゃれなカフェ、レストランが並んでいて、昼夜問わず多くの人々でにぎわっています。夜でも、こども連れの家族、ヒジャブをまとった年配の女性と一緒に歩く今どきの服装の10代の女の子、みんなが楽しそうに夜の川で涼んでいる光景がとても印象的でした。今回の出張がなければ、おそらく一生訪れることのなかったであろう国、コソボ。いろんな「うれしい驚きと発見」の連続でしたが、そのなかでも一番印象に残ったのはコソボの人々の温かさと笑顔でした。いつかその笑顔に出会いにもう一度訪れたいと思います。閔 健煕|みん こんひ 主任研究員今回のプリズレンを訪れて感じたことは、人が肌で感じることのできる都市というアナログな感覚の大切さ。デジタル化を進めつつ人間の感覚をどう生かしていくかが重要だと感じました。プリズレンのシンボルであるオスマン帝国時代に建てられたシナン・パシャ・モスク夜も住民たちでにぎわうビストリカ川コソボ・プリズレン ~東西の文明が共存する多様性と笑顔の都市

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