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第125回都市経営フォーラム

金融ビッグ・バンと不動産市場構造の変化

講師:吉村 慎治 氏
三井不動産投資顧問株式会社・専務取締役


日付:1998年5月20日(水)
場所:後楽国際ビルディング・大ホール

 

1.バブルの発生と崩壊

2.金融ビック゛バンと不動産投資市場

3.不動産関連サービス業務

フリーディスカッション





1.バブルの発生と崩壊

 御紹介いただきました三井不動産投資顧問の吉村でございます。
 きょうは、御紹介いただいたような演題で、既にお手元の方にレジュメみたいなものがお配りしてあるかと思います。いわゆる金融ビッグバンというのは、橋本首相の6大改革の中で、2001年に向けての金融システム大改革ということです。それとちょうど時期を同じくして、いわゆるバブル経済の発生と崩壊、そして現在日本は資産デフレから、さらに昨今では、いわゆる経済全般のデフレにスパイラルに陥るのではないかということまで心配されていて、経済全般の諸施策が行われているわけです。この間のいわゆる不動産マーケットを、マーケットというのが結局物とお金との相対関係で価格が決まってくるということでございますので、そういったバブルの発生と崩壊というところから、不動産市場、それから不動産資本市場、要するに不動産の物とそこへ流れ込んでくるお金の両方の側面からざっと見ながら、戦後の高度経済成長の中で日本の不動産市場は極めて特殊な状況にあったものが、俗によく言われておりますグローバルスタンダードといいますか、そういうものにだんだん変わりつつあるんじゃないかといった流れのお話をさせていただきたいと思っております。

 〔OHP1:1983(S58)年を 100とした場合の地価公示とGDPの推移〕
 今出ておりますのは、1983年を100として見たときの首都圏の不動産価格で、特にこの大きな山になっておりますのが、首都圏の商業地の不動産価格の指標でございます。87年から始まりました超金融緩和、これは85年のプラザ合意の後の世界経済を支えるということで、ブラックマンデー以降さらに各国が若干引き締めに転じた中で、日本が引き続きずっと低金利政策を続けた。その間に不動産に対する信用が非常に膨張いたしまして、ここにあります東京圏の商業地価格でいきますと、ごらんのとおり、ピークの91年に340ぐらいまで達しました。その後不動産融資規制、これは数次にわたる公定歩合の引き上げから、選別融資規制、当時総量規制といわれたことで、非常にきつい引き締めが不動産価格が下落してくる中で行われまして、その後金融の方は、このままではまずいということで、緩和に転じて現在の超低金利に至っているわけですが、不動産価格の方は引き続き下げ続けて、97年でいきますと、ピークの341から128と、大ざっぱに3分の1強というぐらいの下落を示しているわけです。

 〔OHP2:三大都市の新規実質賃料(ビル協)〕
 こういう復習的なお話をしているのですが、こういう中で、今申し上げました商業地の不動産価格の根底にありますのは、いわゆるオフィス需要でございます。それが最終的な有効活用の最も中心になる部分なのですが、そのオフィスの賃料が「三大都市の新規実質賃料」ということでここに出ております。これは少し長いタームで表が出ておりますが、83年のところをちょうど100といたしますと、このとき平米単価で6541円ということですけれども、オフィス賃料の方はピークが1年ずれておりまして、東京のビル協関連の新規賃料の統計ですが、92年に266まで達して、これが140まで落ちているというプロセスで、これはピーク時から比べると、2分の1強という落ち方でございます。
 この間にどういうことが起きてきたかということですが、バブルの発生と崩壊のプロセスというのは、いわゆる過剰供給といいますか、オフィス面積の供給がこの10年間ぐらいで倍増に近いような形で増加した時期でございまして、それの過剰供給が一気に出てきて、賃料の下落等に結びついてきたわけですけれども、その間地価の下落は3分の1強、それから賃料の下落は2分の1強ということで、83年を100としても、地価の方は130まで落ちていて、賃料の方は140ぐらいまでしか落ちていない。

 〔OHP3:大規模な土地売買事例および入札予定地〕
 相対的に、いわゆる資産の利回りがだんだん上昇してきている。よく言われる収益還元価格という形に近づいてきて、それがバブルの発生から崩壊のプロセスで起きてきた一番大きなキーになることじゃないかと思います。
 きょう私はこのお話の中で、何度か同じ言葉を繰り返させていただくかと思いますが、収益還元価格ということが1つです。それは要するに、皆さんお詳しいとは思いますが、不動産の価格のベースになる、そこから上がる賃料、特に商業地で言えば、オフィス賃料を基準にして不動産の価格が決まってくる。それが不動産の利回りということで、これがいわゆる金融市場の余剰に不動産のリスクプレミアム等を加えたものに等しくなってくる。そういった関係に賃料と不動産の価格、それから金融市場の資金調達コストがリンクしてくる。そういうプロセスが今実現しようとしているわけです。特に不動産価格の激しい下落の中で、実際に不動産の売買、いわゆる不動産投資の動きというものが、バブルの崩壊してくるプロセスの中で結構起きてきているのです。
 ここにありますのは、去年の7月の「週刊ダイヤモンド」の記事の中の切り抜きなのですが、この絵は大きな取引だけを挙げたものですけれども、1つこの間のバブルの崩壊のプロセスの中での不動産投資が実際問題として結構出てきているということをこれから少し申し上げたいわけです。
 その中で、区切りを1つつけてみますと、年号を追っていただきたいのですが、左側の方に、95年あるいは96年あたりの年号と、右側の方の汐留、八重洲、品川は97年です。汐留の入札がございました97年というのは、不動産投資の動向については、1つの転機だったのではないかと私どもは思っているわけでございます。

 〔OHP4:氷山の一角! これが不動産取引の実態だ!〕
 これは非常に細かい表で少し複雑ですが、皆さんのお手元にございますので、後ほど参考にしていただければと思いますが、同じ97年の7月の「週刊ダイヤモンド」の記事からとったものです。下の方から見ていただきたいのですけれども、バブルのプロセスで、不動産価格がずっと下落し始めて、そろそろ底だという感じのことが言われ始めた。つまり、91年から94年ぐらいまでのプロセスで、非常に急速に不動産価格そのものが下落して、一方賃料そのものは、先ほど申し上げましたように、それほど下落していない。不動産の価格はところによりましては、大ざっぱに3分の1と申し上げたのですが、実際問題といたしましては、3分の1から5分の1ぐらい。あるいは、いわゆる担保に入っております小さな土地なんかは、その当時実際売買されていた価格の10分の1といった土地の値段も珍しくないわけです。
 これは若干特殊な例ですが、どうして10分の1になってしまうかということは、不良債権の方で後ほど申し上げるかもしれませんが、要するに、例えば、もともと渋谷とか恵比寿とか、駅近のところでも、これを1区画にまとめて開発して、例えば6種建てれば、地価はこれだけの価値がありますねということで、間口2間か3間の30坪ぐらいの土地を買うわけです。その土地が結局まとまらないと、元来駅前からちょっと入った恵比寿ですとか、目黒ですとか、そういうところの土地は1階で八百屋さんやいわゆるパパママヌードルショップをやりまして、2階にその方々が住んでいる。せいぜい200%ぐらいが最有効利用というところを600%で買ってしまう。3倍の容積で見て買ってしまっているわけです。それがさらに実際買っている価格がピークで3倍になっていますから、非常に簡単な掛け算で3×3で約10倍になっている。逆に、今処分しようとすると10分の1でしか売れない。そういうこともざらにあるわけです。
 一方、賃料そのものはそういうばかげたことは起きません。そういった意味で94〜95年のバブルの崩壊のプロセスの中で、今まで専らオフィスを借りているだけで、いわゆる新しい自社ビルが持てないような新興の企業、あるいは新規上場企業、あるいは地方でずっといて東京へ出てきて、少しずつ元気が出てきて、ぜひ東京に本社を持ちたいといった企業、こういった自社ビルニーズがございます。95年ぐらいから、朝日ソーラーさんですとか、ニチメンさんなんかは大きいですけれども、下から5行目、95年8月の渋谷の清算事業団の土地、新日鉄が幹事をやりまして、高島屋の土地のちょっと前だったわけですが、これは村田製作所ほかの、あるいは商品先物の会社とか、新規上場したような、アイデア企業、元気会社ですね。デサントですとか、ヨドバシカメラさんですとか、そういう自社ビル取得の動きがずっと出てきたわけです。
 これは先ほど申し上げました、きょうは恐らく何度も言うと思うのですが、不動産の価格が収益還元価格になってきたということで、そこから上がる賃料と資金の調達コストと不動産の価格の関係が均衡化してきたということだと申し上げたのですけれども、逆読みしますと、借りて家賃を払っているのと、自分で資金調達をして買ってしまうのと同じになる。もちろんその人々の都合によりまして違うわけですけれども、そういった場合に、やはり自社ビルを持ちたいんだ、自分の本拠を持ちたいんだと渋谷の清算事業団の土地を7社連合で買いましたような新規上場企業ですとか、あるいはここのところ非常に伸びておりますNTTドコモのような関連企業とか、商品販売のヨドバシとか、そういうところにとっては、そういう強いニーズがあったわけです。

 〔OHP5:外資系企業が、日本のビルや土地を買っている!〕
 この動きは、実は日本国内の企業と同時に、ちょうど同じころ韓国など海外勢の不動産の取得にもあります。これも同じく去年の7月の「週刊ダイヤモンド」に出ていたところから切り抜いてきたのですが、下の方から見ていただきますと、眞露、浦項製鉄所、ハンファ、これは韓国火薬です。それから、三星ジャパン、その上のSKグループ、これは鮮京グループという油公という石油会社なんかを中心にした中国の大きな財閥ですけれども、こういった一連の韓国勢の自社ビルニーズといったものがございまして、この間そういった不動産投資が実は徐々に動き出してきた。
 こういう不動産投資が少しずつ動き出してきた中で、先ほど申し上げた1つのターニングポイントになったのではないかと申し上げました汐留、品川の97年2月の入札が行われたわけです。このときに、今まで200億〜300億といったオーダーの自社ビルニーズのようなものが中心になって、非常に大きなものでは、ちょっと突出していたものは、先ほどのニチメンさん、丸紅さんの本社ビル取得だったわけですが、そのほか新規上場企業ですとか、韓国企業の100億単位、せいぜい200億〜300億といったオーダーのものが中心だったところへ、汐留のABC街区、それぞれ4000坪から6000坪、投資額にしまして土地代だけで1200億〜1500億ぐらいといった大型入札がなされたわけです。
 実は三井不動産投資顧問の前身でございました三井不動産資産情報運用部の私どもの課で、このときシンガポール政府投資公社が中心になって汐留B街区を1380億で落札したときのお世話をさせていただいたわけです。
 いよいよそういうことで、不動産投資等を世界的にグローバルに、単にアジアだけでなく、アメリカ、ヨーロッパで行ってきている世界の投資家の中で、例えば、これはアメリカの年金では有名なカルパーとか、オランダのロベコグループとか、そういう非常に大きなインスティチューショナルインベスターの間で一目置かれているシンガポール政府投資公社が不動産投資をやった。これも1380億の土地の7割方をシンガポール政府投資公社で出したわけですが、非常に衝撃的な出来事だったのだと思います。
 その後、ある意味で、華僑級中心に、過熱したというと大げさですけれども、これは今買い時なのではないかということで、同時に汐留のときは、ご記憶の方もあるかと思いますが、A街区は電通さんが競り勝ってとったわけですが、これは香港のパシフィックセンチュリーグループ、リー・カーシンの次男の率いる会社が最後までぎりぎりの価格で競り合いました。ちょっと地図がないのですが、浜離宮に近いところがA街区、昭和通りに面した駅に一番近い銀座側がB街区、そしてこちら側がC街区という感じで、ABCとなっているのですが、駅から見ると若干遠いA街区が、結局パシフィックセンチュリーグループと電通さんが競り合って、一番高い価格がついたわけです。落とせなかったのですが、そういう大きな金額の札が入れられた。これもやはり香港の名だたる華僑、リー・カーシンの息子でございますので、大変衝撃的な出来事だったわけです。
 引き続きまして、品川の入札がございました。これは御承知のように、三菱商事さんが中心になりまして三菱グループが落札したわけでございます。それから、その後、パシフィックセンチュリーは、買えなかった分を若干小ぶりの八重洲南にお金を向けまして、この土地を買うために坪6000万弱というお金を出しました。
 ちなみに、汐留が大体2000万〜2500万ぐらい、ABC街区だったわけです。品川は、坪1400万ぐらいです。それに対して、八重洲南で、これは土地もちょっと小ぶりだったのですが、坪6000万ぐらいの価格を出されたということで、非常に注目を浴びたわけです。
 その後大きな変化としましては、今申し上げた「週刊ダイヤモンド」の特集記事は、97年7月に出たのですが、折しもこのころから韓国から始まりまして、東南アジアの通貨危機ということが起こってきたわけでございます。まだ依然として、きょうもインドネシアで大規模なデモが計画されていて、私、どういう状況になっているか、出がけにチェックしてくるのを忘れてしまったのですが、ルピアの動揺なんかは相変わらずおさまらないわけですが、と申しましても、経済の実権を握っておりますのは華僑でございますので、華僑資本の動きというのは、秋口から非常になくなってきているわけです。
 そういった中で、ことし2月に旧国鉄本社跡地、それから反対側の東京駅の八重洲北口それぞれ4000坪の土地の入札がございまして、三菱地所さんと日本生命さんの連合が丸の内、森ビルさんが八重洲北口を落札されたわけです。それぞれ坪8000万、坪4000万ぐらいで落札されたわけです。
 このときの日本生命さん、あるいは三菱地所さんが丸の内をかなり高く指されたのは、1つには、パシフィックセンチュリーグループが入札するといううわさが巷でかなりあり、あるいは先ほどのシンガポール政府投資公社も一応札は入れたのですが、こういう方々が高値で指してくるんじゃないかという話もあって高くなったということも巷間言われているわけですが、実際はふたを開けてみれば、御承知のような結果で、これらのいわゆる華僑系の資本はほとんど本格的な差し方をしてこなかったわけでございます。
 そういうことで、今まで不動産価格が収益還元価格になった。これは最初申し上げたのは、いわゆる借りているのが得か、持ってしまった方が得かということがどちらも割に合う。それぞれの事情によって、借りるのもいいし、買ってしまうのもいい。あるいは、いよいよ本格的な機関投資家が出てきた。これは資金の運用の対象としての不動産。日本の不動産というものが、今まで資金の運用対象として純粋に見られてくるということは余りなかったのです。不動産投資というのはもちろんあるわけですが、ずっと持っていて、これも含み益狙いということとは異なって、資金の運用対象としての不動産ということを申し上げるときに、いつも並列して、「株、債券、不動産、株、債券、不動産」と繰り返し申し上げます。新聞や雑誌の方なんかに取材のお話に応じるときは、資金運用対象として不動産が見られるということを、株や債券を買って、そこから配当をもらい、あるいは利息をもらう、そして、できるだけ安いときに買って、高いときに売る。できればキャピタルゲインも得ていく。もともと利息のつかない現金を持っているよりも、あるいは低い利息の預金を持っているよりも、株や債券に投資して、資金を運用するという観点でこれを持つわけです。
 諸外国では、資金を運用する代表的な機関は年金です。今も皆さんは給料の中から年金に積み立てたり、あるいは会社に納めているわけで、年金改革ということは非常に難しい課題で、今のいわゆる確定給付から確定拠出型への変更ということで、大騒ぎされておりますし、実際これは大変重要な問題なわけです。
 日本の年金は、厚生年金あるいは国民年金の公的年金の運用対象、あるいは簡易保険にしても、株や債券どまりです。不動産までいっていないです。これが諸外国であれば、もちろん不動産は株や債券と全く並んで、30:30:30の割合で投資されているかというと、そういうことはございませんが、例えば、50:40:10とか、40:40:20とかいうことです。要するに、資金の運用対象としての不動産という見方は、海外ではごく当たり前なわけです。
 これがどうして日本では戦後そういうことにならなかったか。特にこれだけ発展してきた首都圏のテナントさんがいっぱい入っているオフィスビルがどうして資金の運用対象として売買されることがなかったかという疑問があるわけです。これが先ほど来申し上げております、1つには、不動産価格の収益還元というのは、広い意味で言いますと、将来の値上がりもキャピタルゲインも含めて収益還元ということになるので、究極的に見れば、予想収益還元みたいなことではあったわけですが、常に将来の不動産の値上がりを見込んだ価格ということで、現時点で不動産から上がっている収益と、その不動産の売買される価格を見たとき、利回り的にこれが資金の運用対象として耐え得るような利回りでなかった。1%台とか2%とか、特にもう1つそこにございます右肩上がりの価格の上昇期待ということであれば、それでも持っていて、また売るときに高く売れればいいわけですけれども、やはりそれが1つ耐えられない原因になっていたのが借家法でございます。
 御承知のように、日本のオフィスの賃料契約は、典型的には2年、3年契約でされているわけですけれども、借家法では、期限が来ても、契約更改の時期に、更新拒絶が正当な事由なくしてはできない。正当な事由というのは、日本の不動産の話を諸外国の投資家の方にすると、皆さん飛び上がらんばかりにして驚かれるのです。そういういわゆるレント・コントロールとかテナント・プロテクションとか、そういうことは日本では居住用の不動産と商業用の不動産と全く同じ法律で、全く同じ判断基準で行われているということを聞きますと、飛び上がらんばかりに驚かれるのですが、その結果、1つには、家賃相場は更新拒絶の理由にならないのです。今の契約の家賃は安いから出ていってくれというのは正当事由ではないのです。今貸している家はどうしても私が住まなければならないから返してくれとか、こういうのは正当事由になるらしいです。
 その結果、現に2つビルがありまして、片一方のビルは、10年前から安定したテナントさんが入っている。これこそまさに資金の運用対象として格好なビルなわけです。ところが、隣は更地で、これからビルを建てなくてはいけない用地だったとします。これはリスクがあります。テナントがいっぱいになるかどうかもわかりません。建つまでに許認可あるいはまず近隣問題が上がるかもしれません。商業用地はないですけれども。
 そういった中で、どっちを選ぶかというと、こちらは10年前からのテナントが入っていて、家賃が2年に1回、例えば普通の相場が2割、3割あるいは1割上がっても、その半分ぐらいずつとか、あるいはずっとコンスタントにせいぜい1割どまりぐらいしか上げてこれない中で、隣に新しくビルを建てれば、坪5万円で貸せるときに、隣に10年前からあって安定したテナントがあって、本当は資金の運用対象として格好の対象のはずのビルが、平均すると、実に半分の2万5000円の賃料しか取れていない。いわゆる継続賃料と新規賃料ということですが、こういう現象がございまして、そういった継続賃料というものから見ていくと、不動産価格の収益還元ということにははるかにほど遠い。
 これが不動産が投資対象として、資金の運用対象として見られることが戦後ずっとなかったということの原因で、日本でただ1つ本格的な不動産投資をしておられる機関投資家は生保さんですが、これも御承知のように、生保さんがやってこられたことは、ここにあります5年、10年たって安定的なテナントのいるビルを買うのではないです。買うのでしたら、このビルを買うんです。できるだけ安いときに買って、5年、10年持って売る。そうすれば、5年間の家賃、利回り6%、7%取れて、キャピタルゲインがまた5年間で1.5倍になった。そうすれば、総合利回りで10%取れた。こういうふうに不動産運用なさるわけです。
 ところが、日本の生保さんは、買ったときにいきなり5%ではないのです。今の例で言えば、少なくとも半分のキャッシュ利回りしかないわけです。それから、日本のそういう借家法制限のもとですから、テナントさんとの安定的な関係重視ということで、いわゆる居抜きのビルを買うということは、結構リスキーなことと思われていたわけです。ですから、結局生保さんが選んだのは、更地でみずから開発するということで、テナントを自分の努力で埋めて、満杯になったら、初めのうちはそこそこの利回りで回って、そのうち利回りが下がってきても、含みがあるからいいやということでずっと持ってこられたわけです。
 今生命保険の個人積立額は200兆ぐらいあるかと思いますが、その約1割弱の金がそういう不動産投資に回ってきたわけですが、そのやり方というのは、今申し上げたような既存のビルを資金運用の対象として買うということではなくて、新たな開発をして、その中でやっていく。
 実際問題として生保さんというのは、ここにおられる方々は皆さん不動産関係の方が多うございますので、御承知のとおり、巨大なディロッパーで、お客様だったわけでございます。

 〔OHP6:バブル経済と不良債権問題〕
 不動産投資の動向ということ、バブルの発生と崩壊のプロセスで、どういうことが起きてきたかということを申し上げたのですが、その中でもう1つの収益還元価格の実現というところで、御承知のいわゆる不良貸付問題が起きてきたわけです。バブルの発生そのものの起因になりました長期金融緩和の中でどんなことが起きてきたかというのは、これも若干復習めいておりますが、ここにございます表は1987年から1991年までに商業用あるいは住宅用合わせて150兆ぐらいの貸出残高だったものが、270兆ぐらいにふえました。商業用だけで見れば、融資残高が完全に倍に膨れ上がったという事実があるわけです。
 そして、95年9月に初めていわゆる不良債権が一定の基準に基づきまして、延滞債権とか破綻債権という形で公表されたのが、37兆4000億円あります。都銀あるいは長銀、それから住専の不良債権が当時はあったわけで、こういうものに大ざっぱにノンバンクの資金の例えば7割ぐらいを足すと、87年から91年までの間に膨張した信用のうちの半分ぐらいが不良貸付なのではないかなということを4〜5年前に、私どもの亡くなりました会長の坪井なども言っておったわけでございます。これは実際事実だったわけで、この間ずっと10兆、20兆と毎年大銀行は償却をしてきているわけですが、この後出てまいりますけれども、97年3月末現在のいわゆる公表不良債権額がまだ25兆円残っているわけです。そして、98年3月には10兆円ぐらいの償却をするだろうと見込まれているわけです。
 

 〔OHP7:バブル経済と不良債権問題−担保不動産の実態−〕
 こういった不良債権の貸付対象になった担保不動産の実態の一部、これは住専関係の貸付の一部の統計資料をかいつまんだものを見てみますと、特に価格で見ますと、首都圏、東京を中心にした不動産があって、それから商業地に対する貸付が中心です。もう1つ、規模でいきますと、実に1000平米、つまり300坪以下の物件が商業地で87%、先ほどの東京の商業地というくくりで規模を見てみますと、実に95%までが300坪以下の土地ということです。まとまった、例えば500坪の土地でそこに6種で3000坪のビルが建ちますと、延べ300万として、90億とか100億とか、先ほど申し上げたような自社ビルニーズにちょうど合うような規模ぐらいにはなってくるわけですが、そういったものはほとんどないということが、こういう数字の中でおわかりいただけるかと思います。

 〔OHP8:分類債権と公表不良債権〕
 不良債権問題の現状がどうなっているか。きょうは大蔵の方が来ておられるかどうかわからないですが、ちょっとあきれたというか、びっくりしたと思うのですが、大蔵省さんで、第1種、第2種、第3種、第4種ということで、債権の分類を銀行の監査に入ったときになさっている。
 第1種は、問題のない債権。第2種は、いわゆる「回収に支障が出るおそれがある」という書き方をしておりますが、「個別のリスク管理が必要である」という表現になるそうですが、そういう債権。第3種、第4種は、「回収に重大な支障のある」あるいはほとんど回収できないといういわゆる不良債権。第2種、第3種、第4種という分類債権の合計額は昨年になって初めて公表されたわけですが、これがそのとき70兆あった。
 そして、ここに書きましたのは98年1月の一番新しく出てまいりました分類債権の数字ですが、日本の商業銀行の貸出総額は実に600兆あるのです。これ自体が異常に大きいと言われているのは御承知のとおりかと思いますが、このうち12.2%が何らかの回収に支障があるいわゆる分類債権。76兆のうち80%ぐらいが第2種分類ということで、直ちに貸し倒れとか、回収できないとかいうことではないわけですが、さる統計によりますと、第2分類の債権は、3年以内に16%ぐらいは第3分類から第4分類に落ちてきている。第3、第4分類は、回収に重大な支障がある、あるいは回収不能ということでございますので、第2分類も3年ぐらいたつと、15〜16%はそうなってしまうということで、ともかく相当問題がありそうだ。
 一方、決算期で、97年3月期ということで、去年の7月ぐらいに発表された数字で、公表不良債権が25兆円。そして、98年1−3月決算はまだ発表されておりませんが、恐らくこの中で10兆円ぐらいは償却していくだろう。ただし、これは分類債権の中からまた何十兆こっちへ転がり込んでいるのかなといったことで、この3月末の数字はあと1〜2カ月のうちに銀行から発表になるんじゃないかと思います。




2.金融ビッグバンと不動産投資市場

 〔OHP9:橋本ビジョン〕
 こういった不良債権の問題と、次に申し上げます金融ビッグバンの絡みというか、たまたま絡んでしまったといいますか、時期が同じというか、銀行が去年の11月ごろ金融クライシスのときには、遂に金融ビッグバンはちょっと先送りしようとか、やめた方がいいんじゃないかという意見も出たりしたわけです。
 こういうプロセスで、銀行はずっとどういう対処方の問題があったかということでございます。順番としまして、まず銀行の不良債権問題に関しては、いわゆる債権買取共同機構を1993年に設立したわけです。これは金融機関が持ち込んだ不良債権を時価評価、担保資産価値で評価して一たん買い取る。御承知のとおり、実際買い戻し条件つきみたいなことなわけです。買い取って、そこで不良債権の不良部分を償却しようということで、この間に93年からことしの3月に債権買取共同機構の本来の業務は5年間で一応終了するということになっていたわけですが、この間に元本ベースで14兆円の不良債権を5兆円で買い取ったということで、まず最初に銀行がやりましたのは、債権共同買取機構を設立して、そこへ不良債権を売る形でライト・オフする。
 そういったことをやっておりますと、それだけでは担保不動産そのものは片づいていないじゃないかということで、東京三菱銀行さん、当時の東京銀行さんが今からちょうど3年ほど前に、不良担保貸付の担保不動産の流動化、証券化スキームを発表されたわけです。これは不動産担保貸付のバックになっております担保不動産を海外で特別な目的会社を設立して、そこで発行する社債によって集めたお金で、三菱銀行さんの債権者から担保不動産を任意で買い取る。そして、それを順次売却するというスキームだったわけですが、類似のスキームは、さくら銀行さんもこの間やりました。幾つかの銀行さんもその後ずっとやられたわけですが、それらを共同債権買取機構に持ち込むのもお腹いっぱいになっちゃったという現実の中で、少しずつ試みられてきた。ただ、そこには、任意売却というものが日本では余りはかばかしく機能していないで、結構難しい問題に直面しているのが事実だと思います。
 そういった中で、銀行さんは、いよいよグローバルスタンダードのBIS規制、これは早期是正措置がこの4月から始まるということで、これは金融ビッグバンの一環で、この4月から外為市場の自由化と並んで、早期是正措置の発動ということが出てきているわけで、これは昨年暮れの金融クライシスの中で、一部国内基準の銀行については先送りしようということでもあるのですが、そういった動きの中で、どうしてもいわゆる自己資本比率を改善していかなければ行けない。そういう必要に迫られまして、債権共同買取機構に債権を持ち込んでも、結局赤字が出た分は自己資本そのものが減ってしまうわけですから、片一方でバランスシートの資産が減っても、自己資本が減ってしまうので、むしろ悪化しているわけです。
 それを補うために、まず資産そのもの、正常債権をいわゆる流動化する。正常債権の売却ということを一昨年あたりから相当大規模にやられまして、これは10兆円規模で正常債権の流動化をやってこられた。ところが、これもやはり一定の限度がございまして、日本のいわゆる指名債権譲渡要件に「相手に対する通知等」という要件がございますので、こういうものはなかなか厳格に履行されていない。
 例えば、格付けがAの銀行さんがAAAの優良企業に貸している債権を流動化して、アセットバックセキュリティーなり、あるいは債権そのものを譲渡、あるいはいわゆるローン・パティシペーションという形で債権譲渡をするとしても、結局先方に通知が行われていない限りは、もし銀行さんの方に何かあると、裏で債権を買ったことになっている方が直接AAAのところへはいけない。銀行さんのところへ行くしかない。そうすると、銀行さん自体はAで、そこのランクのところへ当然いろんな債権者が来るよという指摘がスタンダード・エンド・プアーズのような格付け機関からなされたりして、これもやはりちょっと行き詰まったような感じになった。
 そして、最後に去年の秋ぐらいから、特に華僑勢等の東南アジアの資本が不動産投資ということで、かなり影をひそめてしまったころから大きく騒がれておりますのは、欧米系のいわゆるハゲタカファンドですとか、オポチュニスティックファンドがそういう機会を求めて、アメリカのRTCの不良資産処分の中で、かなり稼いできたわけで、そういう資金が日本にどっと来たわけです。
 ゴールドマンサックスとかカーギルとかそういうあたりは、かなり早い時期から日本の不良担保貸付を買うということで、これは東京三菱さんからゴールドマンサックスあるいはカーギルさんなどに最初に売られたとき、例えば、250億円の貸付金、表面の貸付額250億円、これを10分の1とか20分の1とかいう価格で買い取ったことは非常に驚異的なこととして発表されました。その後そういう不良債権の売却が大きくいろいろなところで進みまして、去年1年で元本ベースで1兆円以上の不良債権の売却、債権譲渡あるいはローン・パティシペーションが行われたのではないかと思います。
 特に一番大きかったのは、98年3月にさくら銀行さんがメリルリンチさんに対して額面で4000億の債権を売却した。そして、これがさくら銀行さんの相当粘り強い交渉の中で、一定の回収業務をさくら銀行さん自身がやるということで、額面の15%〜16%でこれが売れたのではないか。それ以前も、東京三菱さん等が5%〜10%ぐらいだったのではないかと言われているのと比べると、かなり高い回収率で売却できたわけです。
 いずれも欧米の、特にアメリカのいわゆるファンドと言われるものの投資行動は、先ほどちょっと申し上げました自社ビルニーズ、あるいは若干長期的な投資として不動産投資をしていこうという華僑系の投資等が中長期に不動産投資を考えて、実質で5%とか6%とか、今の超低金利の日本では2〜3%の借り入れを使って、いわゆるレバレッジを効かせれば、相当の高利回りになるということで、中長期の資金運用ということで投資をしてきたのに対して、アメリカのいわゆるファンドのお金は、国内で今非常に景気がいい株式市場等があるわけですから、彼らの場合は、いわゆるIRRベース、内部収益で、お金自身がどれくらいで回っているか、お金がお金を生む率が年率にして15%とか20%とか、そういう率でお金がお金を生まないと、アメリカで株式の売買をやって入ってくるお金の育ち方、効率と競争できないわけです。
 先ほど来申し上げております収益還元価格がだんだん実現して、今まで非常に資金の運用対象、すなわち投資対象として考えづらかった日本の不動産に国内あるいは国外の投資資金が入ってきているということを申し上げたわけですが、こういうプロセスの中でも、そういう欧米系のお金は一部の生保系あるいは年金系のお金のようで、長期的な視野を持った金ももちろんあるのですが、こういうもの以外はほとんど見向きもしなかった。専らずっとRTCの不良債権処理のようなチャンスが訪れるのではないかということを日本で見てきたわけです。こういうお金が一気に動き出したというのが、ことしの3月期末までの状況だったのではないかと思います。
 

 〔OHP10:金融ビッグバン(1)〕
 どうしてそういうことになってきたかというのは、大きな全体の不動産、金融マーケットの改革の背景になっているのが、やはり橋本首相が唱えた6大改革の中の金融ビッグバン、2001年を目標とした金融システムの大改革ではないかと思います。橋本首相の金融ビッグバンは、いわゆるフリー、フェアー、グローバルという3大理念、基本方針の中で、1つは、「幅広い競争の実現」。それから、これは業際問題とか、あるいは金融持株会社を認めるとか、資金運用サービスについて、いわゆるラップ・アカウントというものがアメリカにはあるのだそうですけれども、総合口座みたいなものです。これを証券会社にもやらせようとか、そういうことで垣根を設けてきたのをなくしていこうというスタンスを持った。
 それからもう1つは、「資本取引の自由化」。これは資本市場の機能の向上、金融商品の規制の撤廃、それから、この中で外国為替管理制度の抜本的な見直しということが唱えられたわけですが、これはこの4月から始まっているわけです。こういうものと合わせて、これを包括的に、いわゆる事前規制型から事後的にこれを監視していくという検査監視体制を別に整えなければいけないだろうということであったのだと思います。
 

 〔OHP11:金融ビッグバンとわが国の不動産市場〕
 こういったいわゆる金融ビッグバンが不動産にどういう影響を与えるのかといことは、いろいろなところでいろいろなことが言われているわけですけれども、1つには、幅広い競争の実現、あるいは資本取引の自由化ということの中で、金融機関の競争の激化は当然に予想されるわけです。そして、そういう中では、今まで先送りにしてきた担保不動産の処分、あるいは金融機関自身の資産の含みを目的にした、肥大化してきた資産の保有を整理、縮小、こういうことが行われざるを得ないだろう。
 それから、新しい資本取引の自由化の中で、新しい資金の流入。これは運用規制の緩和等々で、年金、信託あるいは保険等の資金、あるいはこれは若干外為とも絡みますが、海外からの不動産投資、こういう新しい資金が不動産市場に流入してくるだろう。そしてまた、そういうものをどういうルートで資金を投じるかといういわゆるビークルですが、アメリカでは典型的に有名なものにREIT(会社型投信)がございますが、そういう不動産投資の制度も新規商品の開発、規制緩和の中で、SPC法、あるいは会社型投信というものが出てくるのですが、これはどこまで不動産を取り込めるのか、どこまで本格的に不動産の流動化に役立つのかという問題はあるわけですが、そういうものは流れとしては必ずあるだろう。
 最後に、最近は私は若干サスピシャスになっているのですが、「金利の上昇」、日本の超低金利は少なくとも「超」はとれるだろうということで、私はこのとき「金利の上昇」と書いてしまっているのですか、もしかしたらそんなにはかばかしい上昇ということではなく、今後は割合世界全体が昔のようなインフレ体質の自由主義経済から、物価が安定して、ときには下がる、ときには上がるという安定した経済体質に変わる可能性もあるなと思います。
 ただ、今のいわゆる「超」がつく低金利は、現時点だけを見ますと、実はまだ下げる余地がありますし、私は本当は短期的には現時点でまだ下げなければいけないと思っています。今現実の中で金利は上がっているのです。クレジット・クランチの中で現に金利は確実に上がっております。これは限界的な調達をするために、銀行の貸し渋りのために若干の高金利のマージンが高いところに借りに行かざるを得なくなっている。
 あるいは、単純に貸し付けていた銀行が、その後困るからCPにしてくれとかいうことで付随のコストがかかるとかいうことで、これだけなら引き受けてやる。しかし、これは若干付随コストがかかるわけです。銀行さんも手数料を取ったりするわけです。そういうことで、金利は確実に上がっております。けれども、それが今のごく短期で見れば、金利は下がるし、上げるべきだと思いますけれども、中期的に見れば、いわゆる「超」はとれてこざるを得ないのではないか。

 〔OHP12:金融ビッグバンとわが国の不動産市場(続)〕
 今申し上げたような金融ビッグバンの流れに伴う金融機関の競争激化、新しい資金の流入、あるいは新規商品の解禁、それから金利の上昇ということ等を考えたときに、これが不動産市場にどう影響してくるかということを、不動産そのもの、つまりこの表の左側の方にあります投資対象としての不動産がマーケットに出てくる。この3月に大和生命さんが本社ビルを500億で売却なさった。「証券化」と書いてありますけれども、あれは単純な売却です。若干の条件、オプション等はついているのかもしれませんが、早い話が売却です。あるいは、大京さんが一千何百戸のマンションを一挙に売却なさった。これはアメリカのモルガン・スタンレーが買いまして、JPモルガンさんがこれにノンリコースのローンをつけた。実は、私ども不動産投資顧問では、そのノンリコースローンをつけるに当たっての物件のいわゆる賃料、あるいは適正な価格の調査業務を請け負いました。
 また、銀行さん自身、あるいは一般企業も保有資産の見直し、保有資産を活用しての単純売却から、この間日産さんが本社をセール・アンド・リースバックで市場に出すのではないかという報道もございましたが、そういうふうに投資対象になる不動産が担保資産に限らず不動産市場に出てくるだろう。そして、そうなりますと、いわゆる金融ビッグバンと不動産市場と、ともかくだんだんそういうふうにして不動産が担保処分や何かをされると、不動産の価格はどんどん下がってしまうのではないかと言われるわけですが、必ずしもそうではない。実は先ほど来申し上げているように、不動産に対するある程度のまとまった、例えば500坪の土地で6種で3000坪のビルが建つ。そこで、100億で自社ビルが持てる。こういうのを欲しくて欲しくてしようがない企業さんはたくさんいるのです。皆さんここにおられる方は御承知だと思います。ところが、それがないのです。なかなかその話に対してお答えできないのです。こういう現実が片一方である。
 そういった背景の中で、先ほど申し上げました汐留のような大型物件に対して、機関投資家が投資するということは、さらに収益還元価格の流れが進んで、不動産が今の日本では、従前の高度成長期と違って、資金の運用対象として魅力を持ち始めているという現実があるわけです。そして、現に一部の生保さん、あるいは海外資金、個人の方は今でもぼつぼつというか、ワンルームマンションは非常に根強い人気があります。そして、これはまさに金融ビッグバンの中で金融システム改革、規制緩和の中で、本格的に年金の資金運用が不動産でなされる時代がもうすぐそこまで来ていると思っております。そして、そういった不動産に対する資金、不動産資本市場の整備、それと不動産そのものの供給ということで、今まで日本になかった不動産投資市場がこれから急速にできてくるだろう。欧米の、あるいはアジアでも香港ですとか、シンガポールですとか、そういったところのいわゆる不動産コンサルタント、リアルエステート・コンサルタントとかプロパティーコンサルタント、そういうところのパンフレット、ブローシャール、マーケット・レポートを見ますと、オフィスビルの賃貸市場、空室率がどうだ、賃料がどうだとか、それから住宅マーケット、ホテルとかと並んでインベストメントマーケットという記述が必ずあるのです。
 そして、ことしは投資対象として、あそこの何丁目にあります高級住宅街の30戸の賃貸用マンションが何十億で売れました、あそこのオフィスビルが何百億で売れました、買われました、ホテルの売買が行われました、こういうこともそれによってどのくらいの価格、どのくらいの利回りで不動産が現在投資目的で資金運用の対象として売買されておりますということが常にウォッチされているわけです。そういった意味でも、株、債券と並んで不動産を資金の運用対象として見る市場ができてくるのではないかというのを大きな流れとして考えております。
 

 〔OHP13CAPITAL SOURCES
 そういった流れの中で、1つ不動産市場そのものも、不動産に関する事業をやっている人間、不動産をだれが持つかということです。これは今まで例えば、三井不動産なども銀行からお金を借りて不動産を自分で買って開発してそれを保有する、賃貸する。あるいは、企業さんなんかも、銀行から借り、あるいは株主の金で不動産を保有していたわけですが、これもアメリカの俗に商業用不動産3兆ドルとか言われるマーケットの所有の3分の1ぐらいが
Institutional Investor(機関投資家)の所有になっているということでございます。
 アメリカの商業用不動産というのは、典型的にはオフィスビルあるいはホテルです。それから、賃貸用住宅も入ります。賃貸の高級アパートといったものを投資目的として保有されるようなものはみんな入るわけです。
Non-Institutional というのは、いわゆる自社で使っているビルディング、あるいは不動産屋さんが持っているビルディングということでございます。
 それに対して、
Institutional というのは、3兆4700億のうち、1兆4500億のエクイティ、つまりエクイティというのは所有権です。所有者の部分が分類が書いてありますが、再三申し上げているように、当然予想されるごとく、一番大きい39%、40%弱を占めているのはPension Funds (年金)です。年金のお金がInstitutional Investorとして商業用の不動産の3分の1のうち40%を持っている。
 それから、今急速に伸びているREITが35%。ただ、このREITがさらに年金によって所有されておりますので、御承知のように、401Kという年金プログラムが一般のアメリカの株と並んでREIT株をバカバカ買っているわけです。ですから、そういう意味では、直接間接年金基金がかなり多くの、恐らく半分以上だと思います、商業用不動産の機関投資家の保有部分を持っているわけです。そして、それに続く生命保険会社。プルーデンシャルとかエクイタブルとか、そういうところが、1つには、長い期間の生命保険のプログラムの引き当てのために投資対象として不動産を持っている。そして、次に出てきますのは、外人投資家あるいは預金銀行とか普通の銀行も一部持っているということでございます。これらの銀行が実際に自分の手持ちみたいに不足分を借り入れるために資金を調達しているのが右側の
Debtです。右側のDebtは、借り主が左側にいるわけです。持ち主は右側です。これは資金調達から見るとそういうことで、当然そういう人たち、例えば、Pension Funds も裸で持つというよりも、いわゆるレバレッジを効かせるということで、不動産自体の利回りが、例えば6%ではある場合、全額Pension Funds のお金よりも、一部4%で年金が借りられれば、これによってさらに自分のお金はもっとほかの不動産の所有をふやすとか株を買うということで、そしてそこのところでさらに利ざやが稼げるわけです。ですから、ネットのエクイティの利回りは高くなりますから、Debtをやれたりするわけですが、当然のことながら、そのDebtの部分は、一番大きいのはコマーシャルバンク(商業銀行)の貸し付けです。それに対して、最近急速に伸びているのは、いわゆるCMBS、コマーシャル・モーゲージ・バックト・セキュリティーという証券化された貸付金が非常に伸びているわけです。
 申し上げたかったことは、基本的にそういうことで、新しい不動産市場は、不動産が資金の運用対象として見られる市場である。そして、株や債券と並んで資金の運用対象、投資対象として見られる不動産市場が初めて出てくるのではないか。そして、そこでの本格的なプレイヤーは、不動産というのは結局だんだんそういう機関投資家、もっと突き詰めていえば、タックス・エグゼンプティッドなインスティテューションが持つ。年金というのは、我々が積み立てております、生保の保険金もそうですけれども、生保さんは私どもが保険料を払って、いつか私が死んだときに金を払ってくれるし、そのために運用をしているわけですが、例えば、ビルを買って、株を買って、配当があって、賃料が上がって、そこで課税されてしまったのでは、私がもらう金が減ってしまうわけです。そこのところでは預かっているお金ということだけで、それだけで運用益も課税されないわけです。年金も同じです。そういういわゆる一次的に課税されないタックス・エグゼンプティッド・マネー、インスティテューションのお金が、究極的に不動産を持つようになってくるのではないか。そういう傾向は大きな流れでして、欧米の株式市場なんかでは、そういう傾向はもっともっと進んでおりまして、日本でもその傾向が今後さらにというか、これからいよいよ出てくるのではないかと思っております。
 




3.不動産関連サービス業務 

 〔OHP14:金融ビッグバンとわが国の不動産市場(続)〕
 今申し上げたような不動産市場、あるいはそれとお金と不動産という関係の中で、特に金融ビッグバン、金融システム改革を背景にして、新しい不動産投資市場が片や市場に対する不動産の供給、片や市場に対するお金の流れということで市場ができてくるだろうということを申し上げたわけです。そして、そういう市場ができてくる中で、当然これはお金と不動産の出会いを仲介する業務という新しい不動産のサービス業務が出てこなければいけない。
 今まで不動産の関連したサービス業務というと、例えば、典型的なのは、農家の方が宅地化してきた土地にアパートを建てて、このアパートの賃貸管理を地場の不動産屋さんがやられます。こういう不動産の賃貸管理とか、あるいはオフィスビルですと、これがハードな管理、維持管理、清掃等のプロパティー・マネジメントと言われる分野です。そういう不動産そのものを対象にしたサービス業務は、それを専門にするということで、三井不動産も自分のビルだけを管理しているのではなく、人様のビルを管理して、リーシングサービスをやって、サービスの対価を得るという不動産サービスの提供がだんだん広がってきております。
 ただし、今までそういう中でなかったのは、繰り返しになりますが、日本では不動産が投資対象、資金の運用対象として考えられることがなかった、資産保全の対象としてしか考えられてこなかったものですから、これを不動産と資金の取り持ちをする。例えば、海外の投資家が日本に不動産の投資をするお手伝いをしよう、あるいは機関投資家のお金を預かって、どこのどういうカテゴリーの不動産に投資したらいいですよということを御案内する。あるいは、実際問題その不動産の管理等々も少なくともそれを統括する業務を請け負って、そしてそのお預かりした年金資金のうちの1割とか2割とかという部分がどういう形で運用され、そして最終的にいい時期を見計らってほかの不動産なり、あるいは資金運用対象である債券なりに移っていく時期までお世話するといった業務。
 あるいは逆に、不動産を使って、今まで自分が持っていた不動産を市場に売却して、それによって資金調達をしよう。だけど、引き続き使いたい。これはセール・アンド・リースバックです。日産さんが本社をそういうことで検討しておられるという記事がこの間載っておりましたが、そういった新しい不動産事業が出てくるのではないか。

 〔OHP15:不動産関連サービス業務〕
 今申し上げたような不動産サービス業務を、左側にいわゆる「資金供給サイドを代理」と言いますか、平たく言えば、投資家のお世話をする。右側は「資金需要サイドを代理」、これは平たく言えば、事業会社など不動産の所有者のそれを使っての資金調達のお世話をする。欧米ではいわゆる不動産専門の投資顧問業者として不動産投資顧問業が確立されております。また、御承知のように、片一方で、資金の需要サイドには、投資銀行の不動産部、投資銀行(インベストメントバンク)が債券発行のお手伝いをし、あるいは株式の引き受けをして、企業の資金調達を手伝うと同じように、現に持っている資産のセール・アンド・リースバックのお世話をしたり、証券化をして、引き続きインベスターをつけて、あなたは30年リースで使いなさい、そうすればこの証券のアセットバック・セキュリティーを買った投資家も安心していられますね。こういうお世話をする投資銀行のインベストメントバンクのリアルエステート部門があるわけです。こういった不動産と金融のはざまに立つサービスが今後出てくるだろう。これを投資顧問について言えば、まず市場を調査し、あるいは物件、そういう中で適切な資金運用対象として、インベストメントワージーな物件を御紹介して投資家のために取得する。そして、事前調査から取得した後の会計管理とか年々の報告とか、こういうことをずっとやっていく。そして、もう少し大きなポートフォリオ管理の中で、そろそろ売り時じゃないですかとか、今度はこちらの新しいファンドを組成しましょうということを御紹介したりする。こういう仕事が行われているわけですが、まだ日本では、これから最後にちょっとだけ私どもの会社の宣伝をさせていただこうと思っておりますが、三井不動産投資顧問は一応不動産投資顧問ということでやっておりまして、そういうものを長期的には目指しておりますが、現実はまだいわばとば口の物件の取得の手伝い、あるいは投資のサービスのうちの取得した後の管理というところまではまだいっておりませんで、取得前の前段階の物件の調査、デューティリデンスと言われるものですが、そういうサービスを提供したり、同時に、アメリカの不動産投資顧問会社でも、一部は出口の方のお世話をしなくてはいけませんから、いわゆるインベストメントバンキング機能はございまして、不動産金融のお手伝いもするわけです。そういうことも一部やらせていただいております。
 この中間にあります「中間部門」と書きましたのが、不動産鑑定あるいは仲介あるいはディベロッパー。これもいわゆるフィー・ディベロッパーということで、純粋なサービス業務として三井不動産が今こういうことをやろうとしておるわけです。仲介あるいは管理会社、こういう実物不動産を扱った不動産サービスです。
 こういうふうに不動産関連サービスを整理してみますと、多岐にわたる、そして日本では両端の部分の不動産と金融を結ぶ機能が欠落していたということが見ていただけるのではないかと思います。

 〔OHP16:土地・債権流動化トータルプラン〕
 さらに少しだけ証券化の話と、三井不動産の紹介をちょっとさせていただこうと思うのですが、今申し上げたような不動産の、あるいは不動産担保貸付の状況の中で、土地、債権の流動化トータルプランといったことが昨今自民党・政府の方から発表されたりしているわけですが、基本的には、日本の不動産金融市場、あるいは日本の金融そのものが不動産担保金融というもの一本槍で来た。あるいは、工場抵当財団というのがありますが、そういう財団抵当とか、そういうコーポレートの信用をバックにして共同抵当みたいなものをとって、そして貸し付けていく。そういういわゆる間接金融、会社の信用でお金を貸すことを中心にしてきたのに対して、そういう背景があって、今の不動産の値下がりによる担保割れ、貸付の不良化、そしてこの不良化した債権を回収するときの困難さがあらわれているわけです。
 これに対して、例えば、アメリカでRTCで大量にああいう処分が比較的早期に行われたことの背景には、1つは、不動産担保貸付が1物件1抵当で来ている。ファースト・モーゲージだけだ。そして、その人がその物件限り、いわゆるノンリコースを守るということで、その物件をとってしまえば、それ以上に、例えば私が銀行からビルを建てるのに金を借りていても、このビルを銀行に渡してしまえば、私の自宅までは銀行は追っかけてこないという制度でやっておりました。1物件1担保、そしてその物件限りの求償権というシステムであったので、比較的単純な処理ができたのだと思います。
 それに対して日本の場合は、1物件複数担保、そしてこれが競売にかかっても、また銀行さんは当然私の自宅を取りに来るわけです。そういったウィズ・リコース、会社であれば会社にそういうことを追っかけてくるわけです。こういったことが今の不動産担保貸付の制度を非常に困難にしている。そういう状況を少しでも整理するために、不動産の適切な評価をして、権利関係の調整をしようというような案が出ているわけです。
 ただし、今申し上げたような貸し付けの制度みたいなのは、過去に既にその制度に基づいて貸し付けが行われてしまっているわけです。これは今さらどうしようもないです。ですから、基本的には、やはりそういう制度を唯一時間をかけながらでもクリアにしていけるのは競売制度です。そして、競売も、今の担保不動産のようにいろいろな処分が始まった数年前、私どもが今のような投資家に対する不動産の利回り投資あるいは自社ビル投資が、そろそろ不動産価格が収益還元というベースになってきたので、割に合いますよという営業を開始し始めた3年前、このころ今法務省の2階か3階にある競売場で毎週開示を出しているのを「何番のをください」と書いて見るわけですが、物件調査書を裏でコピーさせてくれるのですが、コピー機が1台しかないのです。ですから、全然機能しないわけです。今行きますと、
12台か13台か入っています。それでも結構長い列が並んでおりまして、手なれた方はハンドコピーを持参してきてます。それ1つとっても随分改善されたわけです。
 そういう競売そのものの改善ということをひとつキーにしていく必要があるのだろうなと思いますけれども、それと同時に、ここにございますような物件の評価、あるいはさらにいわゆるサービサー業務、ここに「競売制度の改善」と書いてあります。そして同時に、債権回収の業務に当たるのは弁護士法があって、弁護士さんと債権者本人しかできないのをもう少し整備しようとか、そういうプロセスで、競売あるいは裁判によらないで、調停的なことでそういう権利環境を整理するような調整委員会をつくろう。これは法律の案文もできておるようでございまして、これが機能すれば、早期にこういうものを解決する1つのルートになるのかと思いますが、こういったことがいろいろ提唱されております。
 

 〔OHP17:SPCを活用した資産の流動化のイメージ〕
 こういう中で1つ、SPC(スペシャル・パーパス・カンパニーまたはコーポレーション)が提唱されておるわけです。これはSPCを活用した資産の流動化のイメージ図ということで、今SPC法がこの9月初旬の施行に向けて準備されているようでございますけれども、その中で、骨子は既に全部できておりますし、公表されておりますけれども、一定の資産流動化計画に基づいて資産を保有して、その資産を買い取るために、片一方で有価証券を発行して、そういう器をつくる。これがスペシャル・パーパス・コーポレーション、「特定目的会社」と呼ばれておりますけれども、そういうものを用意する法律だと理解しております。
 そして、この中に、よく言われる不動産の証券化という言葉は、この図で非常にわかりやすく出ておりましたので、これを御紹介したわけでございますけれども、3つの要素です。非常に簡単なことで、皆さん御承知の方も多いかとは思いますが、不動産の証券化には3つの要素がございまして、1つは、対象になる原資産。不動産に限らずそうです。アセット・バック・セキュリティーというときの「アセット」です。原資産がございまして、もう1つは、それを終局的に買うお金、投資家の場合は、証券市場で流通する証券を発行することになっておりますから、それが対象になった証券なりというものがございます。そして、このお金を原資産の保有に流すための器(ビークル)がございまして、ここのプロセスでこの原資産から上がる収益が投資家へいくときに、ここの器の中で生じた費用と収益の差額に、普通であれば、これが会社であれば、約50%の税金がかかってしまうわけです。そして、その残りの2分の1の税引き後の利益の何がしかが配当されるわけです。
 それに対してSPC法の中では、ここの器にいわゆる導管性を持たせる。ここで生じた収益を上げるのにかかった費用を差し引いて、実際ネットで生じた収益はそのまま投資家へ持っていく。そういうことができる新しい株式会社に準じた会社を認めようというのがSPC法の骨子だと理解しております。そういった意味で、これはアメリカにありますREITの概念に非常に似ておるわけで、課税の根本的な仕組みも、不動産に限って申し上げますが、不動産を所有して、ここから上がったネットの収益の90%以上を、その証券を所有している、優先出資ないしは特定出資に出資金を持っている方に配当する場合は非課税になる。そして資産流動化計画の終了時には、出資金を返還する。
 それからもう1つ、ここであります社債やコマーシャルペーパーは借り入れですから、これに対する利払いは当然損金になります。ネットの利益の90%以上を配当する場合は、一切法人税がここではかからない。90%配当する部分には、法人税がかからないということも非常な骨子で、これはREITの場合は95%ということになっていますが、すこぶるREITと同じ仕組みです。配当した金額を損金に算入するテクニックを税金上はとるわけですが、そのほかに今検討されておりますSPCでは、SPCがもともと不良資産を持っている人間から買う、例えば、典型的には、銀行さんの不良担保貸付金をSPCに持たせるというイメージが1つあるわけですけれども、一般の企業でも、自分の企業の持っている不動産を、例えば本社ビルを流動化するために、一たんSPCに持たせる。そして、これを投資家のお金で賄って、何年か投資家に引き続き使わせてもらう間は、賃料を投資家にそのまま配当として享受していただいて、そして何年か後に本社の移転がいわば完了したときには、この資産そのものを売却して、投資家に投資の元本を回収していただく。こういう資産流動化計画を前提にしてSPCを認可していこうというのが、今のところのSPCの概略のようでございます。
 そして、それが発行する証券を有価証券として優先出資権とか社債とかを転々流通させるように市場でできるようにしようということがアイデアなのですが、1つだけ残念ながら制約を申し上げれば、今申し上げた資産流動化計画を背景にして、有期限でやらなければいけないですから、こういうものの株式とか社債とかがどこまで流通するのか。5年か10年で最終的に処理するといったことで、そういったものの二次市場での流通までいくのかなというのは、若干疑問のところかと思います。
 ですから、そういうものが有期の資産流動化計画ということだけではなく、ある意味で、未来永劫不動産だけは外へ出してしまおう。そして、これは持ち主は投資家ですよ。これは先ほど言いましたように、典型的には、非課税主体である機関投資家ということが今あります大きな流れなわけです。そういうことへ向かってもう一歩踏み出していく1つの大きなきっかけにはなるのではないかと思っております。
 

 〔OHP18:REIT〕
 今ちょっと申し上げました証券化ということでは、アメリカでは、御承知のようなカーブの絵でございますが、「不動産投資信託」と訳されておりますが、会社型のREITです。SPC法をゴーイング・コンサーンにしたものです。逆に今SPC法で例記していますから、SPC法をゴーイング・コンサーンにすればこれになるのです。SPC法は資産流動化計画にこだわらなくていいよ、ずっと未来永劫やってもいいよ、株自体を上場してしまいなさいと言えばこれになるのです。そして、片一方のSPCの発行する社債も、もしSPC自体が未来永劫続けば、支援ベースは若干仕組みが違いますけれども、そういうアセットバックの証券化市場がアメリカではここのところ急速に伸びております。これは先ほど申し上げました不動産の所有主体が機関化してきて機関投資家になっている、そして、機関投資家というのは、やはりある時点では、これを移す必要がある。特に年金の運用者等は、一昨年日本の証券で起きたことですが、保険会社さんが年金資金のかなりの額の受託をしていたのですが、運用利回りの約束を下げたのです。そしたら、厚生年金基金を預かっている会社のOBの理事の方は、「これはあかん、おれは責任とれない」。そして、同時に、投資顧問会社の証券投資に関する一任ということが、保険から年金資金の受託ができるようになりましたから、ここは数兆円のお金が流れたわけです。
 そして、アメリカあるいはヨーロッパのような成熟した国では、そういう年金のお金等も常にそういう有利な運用先、きちっと実績の上がっている投資顧問を求めて動くわけです。ですから、不動産投資といえども、やはり不動産投資のある意味でのネックが流動性です。そして、その不動産投資の流動性のネックをある意味で最終的に解決した1つの形だと私は思います。それが今アメリカで発展しているREITです。
 REITもいろいろな問題があることは言われておりまして、1つは、大型化です。なぜ大型化するか。ちょっと考えていただければわかりますが、年金資金というのは、巨額のお金を何千億とか一遍に出すわけです。例えば、仕手株を買ったとします。ボーンと買って、売ろうとしたらボーンと下がって、自由に売り買いできないです。ところが、例えば、日立さんみたいな大きな会社の厚生年金基金がボーンと新日鉄の株を買おうとしても、大型株であれば、やたら乱高下はしないわけです。そういった意味で、REITは機関投資家に買ってもらうためには大型化しなければならなくなっているのです。そういったことで、先ほど申し上げました不動産の所有が、不動産が資金の運用対象として見られることによって、不動産所有の機関化が起きてきて、そして機関投資家のお金が流動性を求めることによって、不動産の証券化のニーズが出てくる。こういう一連の流れがあるわけです。

 〔OHP19:三井不動産グループ〕
 最後に、三井不動産グループの宣伝をさせていただいておしまいにします。
 三井不動産グループでは、先ほど来申し上げておりますように、投資家としての三井不動産は引き続き自分のお金でマンション用地を買ったり、ビル用地を買ったりして物を建てて、これをエンドユーザーに売ったり、あるいは引き続き賃貸したりしております。
 しかしながら、同時に、同じビルの部門でも、半分近くの管理している物件は、人様の物件を管理しております。そういうプロパティーマネジメント業務は賃貸住宅も含めて、地主さんと一緒にレッツ事業でつくったような共同住宅のマンションの賃貸のお手伝い、あるいはビルの賃貸のお手伝い、管理といったものとか、そういうサービス業務、あるいは、開発業務を手数料をいただいてお手伝いをする。あるいは、先ほどもちょっと御紹介いたしました投資顧問的な業務、今これは別会社で分かれております。こういった古典的なといいますか、不動産そのものに対するサービス、あるいは進んで不動産と金融を仲介するようなサービスも幅広く三井不動産グループでは取り組んでおります。
 

 〔OHP20:三井不動産グループ・三井不動産投資顧問(株)〕
 今申し上げました私どもの三井不動産投資顧問は、去年の10月に発足しました。仕事の大きく1つは、当然のことながら、不動産投資顧問業務。これは先ほども申し上げましたように、現状ではまだ安定した不動産投資残高はございません。ですから、不動産投資のとば口、不動産投資を行っていただくためのいろいろなお手伝いをしております。そして、こういうお手伝いは、現に例えばこの間のモルガンスタンレーと大京さんのディールに絡んだお手伝いをしたり、シンガポール政府投資公社の投資のお手伝いをしたり、あるいは同時に、さくら銀行さんがやはり去年の秋に100億の社債を調達して、そのお金で自社の貸し付けの担保になっている不動産を買い取るようなスキームをおやりになっているわけですが、そういうもののお世話なども私どもはさせていただいたわけです。それはちょっと間接の形になりますが、いずれ資産を活用しての資金調達ということで、これは先ほどの日産さんの例を申し上げましたが、セールス・アンド・リースバックのようなことは今後どんどんふえてくるのではないかと思っております。
 

 〔OHP21Mitsui Fudosan Investment Advisors
 大変申しわけございません。お手元でちょっとメモをお願いしたいのですが、三井不動産投資顧問の電話番号は、3246−3332でございます。それから、ファックスが3246−6110でございます。宣伝をさせていただきました。
 陣容はこのとおりで、リアルエステートのインベストメントサービス、冨川は、名前を御存じの方もいるかと思いますけれども、人気者でございまして、多くの投資セミナーに来ております外国人の方が、実は日本のセキュリタイゼーションということで、昨日と一昨日投資セミナーがあったのですけれども、彼はこれの講師もやっておりますけれども、多くの外人の投資家の方々などに幅広いおつき合いがございます。ぜひそういうニーズがあれば、お話をいただければ、いろいろな投資家に紹介できると思います。
 それから、川元の方では、不動産を活用した資金活用ということのお手伝い。そして、そういうものの両方にわたる不動産サービスとしての不動産を投資対象として見て分析するサービスを行うような陣容を我々は持っております。

〔OHP22:三井不動産グループ〕
 そして、三井不動産グループ全体としましては、従前の三井不動産自身が不動産物件の開発から鑑定に至るいろいろな業務と、子会社群を使ったマネジメント、管理業務といった部門を持っています。そういうものを投資家の立場に立てば、こういうものは全部下請業務でございますから、場合によっては、これは住友不動産さんにお願いしたらどうですかというアドバイスをするのが私たちの仕事でございます。
 そういった意味で、私たちは別会社で、できるだけ客観的なアドバイスということでやっておるわけですが、一応今のところは、ある意味でのフルラインの不動産サービスを備えている会社がなかなかないので、三井不動産投資顧問と名乗って、投資をなさっても路頭に迷うことはございません、一応グループでお世話もできますよということで営業をしているわけでございます。
 最後にちょっと宣伝をさせていただきましたが、一応この辺でお話を終わらせていただきます。(拍手)




フリーディスカッション

 司会(谷口)
 
どうもありがとうございました。
 タイムリーな話題について、大変わかりやすくお話しいただいたと思います。それでは、どなたからでも結構ですから、どうぞ御遠慮なく御質問、ご意見をいただきたいと思います。

長塚(弁護士)
 弁護士の長塚と申します。
 不動産の証券化について、どのくらいの規模の大型化が理想的なのか。それと、ビルと土地とバラバラか一体かによって、効用とか効率が違うのでしょうか。その2点お伺いしたい。

吉村氏
 初めに、いわゆる不動産の証券化ということは、いろいろな段階がございまして、現状では本当に市場で流通するような証券を、不動産をバックに直ちに発行する。そして、なおかつその証券を発行する主体が課税されないという仕組みは、残念ながら完全なものはございません。
 一方、それに類似した仕組みとしては、証券化はされておりませんけれども、例えば、この部分を商法上匿名組合という制度がございますが、その制度を用いまして、そこに投資家の方から、匿名組合に対する出資金という形でお金を出していただいて、そしてそのお金で不動産を買い取らせることはできます。そういった幾つかの仕組みがあります。それから、この9月1日以降は、SPC法ができますので、SPC法を使っての証券化ができると思います。
 いずれにいたしましても、そういういわゆる仕組み物というか、直接金融の仕組みをつくるには、そういう器自身を設立したり、それから契約自身をきちっとつくって弁護士にレビューさせたり、投資家にそれを説明したり、そういう税法の関係を調べたりとかということがございますので、いわゆる仕組み物をやるときには、コスト的に見合うのは最低限100億と言われます。
 ただ、不動産特定共同事業のような比較的簡易な仕組みで匿名組合の出資者を募るという本格的な証券化よりも、むしろ特定した不動産を取得に近い形で資金を出してあげようという投資家を募るケースであれば、数十億からやっても割に合うケースもあるかと思います。
 それから、ビルと土地ということですが、基本的にやはりこういう対象になるものは、現に収益の上がっている不動産です。投資家の目的は資金の運用ですから、株を買ったらいいのか、債券を買ったらいいのか、あるいは不動産を買ったらいいのかということで、当然皆さんお考えになるわけですから、そういった意味では、きちっと土地建物一体になって現に収益が上がっているものということだと思います。

上田((株)大林組)
 大林組の上田です。
 9月に施行されると予定されておりますSPC法では、SPCの設立についての税制とかそういうことが決まると聞いていますけれども、証券市場の整備ということについても、どの程度そのあたりが制度化されるのか、教えていただけませんでしょうか。

吉村氏
 大変難しい質問で、私も直接というか、間接というか、お話を聞いたりしているわけでございますけれども、施行令とか通達とか、そういう部分がまだできていないということで、わからないところが非常に多いわけです。先ほど申し上げましたような流通のほう、証券市場のほうについては、御専門の方、証券会社の方ですとか、日本で投資銀行的な活動をなさっている方、そういうストラクチュアド・ファイナンスのようなことをいろいろ考えている方がおりますが、そういう御専門の方のお話、あるいは私どものイメージの中でも、証券発行主体そのものの期限があって組織が存在しない会社で、特定の資産を流動化する目的でつくられた会社の発行した証券がどこまで流通するかということについては、特別の手当てもないようですし、なかなか考えづらいなというのが率直なところです。
 それで今政府で言われておりますのが、この間SPCの最初の段階で、公的資金で株を買う、優先債券を買おうとかいうことです。ただ、こういうことが長期的に見て、SPCみたいなものが期限つきで単なる資産の一時的な流動化ということではなく、長い意味での不動産の証券化ということに結びつくような仕組みに育っていくためには、こういう一時的な市場的評価をしないお金を入れるということは、若干市場を歪める心配があるような気はいたします。
 
融ビッグバンの中で、証券化ということが結構言われるのですけれども、先ほど申し上げたように、いろんな段階があって、不動産に対する直接金融を単につけていくような形だけの匿名組合の出資とか、信託とかというのが現にあるわけですけれども、社債を発行するとか、株式を発行して流通させるという仕組みがこれから提案されている。今はそういう段階だと思います。
 

長谷部(地域振興整備公団)
 地域振興整備公団の長谷部と申します。
 お話の相当大事な部分が、担保金融ではない金融システム、要するに収益なり事業の評価だけに乗っかったノンリコースの金融ができ上がる。ここが相当根底になるような気がするんですけれども、今の金融機関を見ている限り、あるいは証券会社も含めてですけれども、見ている限り、担保とは別に事業をちゃんと評価するような仕組みができ上がっているようには思えないし、そういう動きも余りないのではないかという気がして、要するに、担保金融でなくなるというのは本当に日本で起こるのでしょうか。

吉村氏
 ちょっとお言葉を返すような部分があって恐縮ですが、担保金融でなくなるというのはちょっと語弊があるのではないかと思うんです。ノンリコースの不動産貸付にしても、これは純然たる担保金融でございまして、担保にとっているものが単独の不動産であり、不動産プロジェクトであるわけです。そして、そのプロジェクトから上がる収益を値踏みして貸し付けをするわけです。ですから、その事業をやっている人のもちろん経営能力とかということも最終的には貸し付けの判断材料になるでしょう。誠実じゃない人がやっているとどんなことをやるかわかりませんから。
 ただし、基本的には、その不動産プロジェクトから上がる収益ということを値踏みして、これを担保にとる。そういう意味では、これは物すごく厳しい担保のとり方です。抵当は私のところ以外はつけてはいけません。2番抵当もつけてはいけません。それから、貸付金が滞ったりしたときは、私がすぐに直接にテナントから家賃を受け取るようにしますとか、レシーバーシップですとか、ノンリコースのモーゲージなんかの場合は、いろいろなそういう仕組みを設けるわけです。ですから、そういった意味では、担保金融なんだと思います。おっしゃられた意味では、単なる言葉の行き違いだけだったら勘弁してください。
 いずれにしましても、御質問の主旨は、そういうものの不動産事業の性能を評価するということに至ってないのではないか、価格の値踏みだけじゃないか。転売して幾らになるから、幾らまで貸してやるよというだけじゃないかという御指摘かと思うんですけれども、不動産の価格そのものが、そこから上がる収益に基づいて決まる世の中になりつつあるわけです。ですから、担保に不動産をとるということも、これからは隣で幾らだったから、これは幾らで大丈夫だというわけにはいかないんです。先ほど申し上げたように、600%の土地で6種建つから、1種幾らでといったって、間口2間で、そこだったらペンシルビルを建てたって、2階以上には割に合わないわけですから、200%しかない。ところが500坪まとまっていれば600%で評価して貸しても絶対いいわけです。これは当然に収益から見て物の評価をしなければいけなくなるわけです。1つにはそういうことで、不動産の担保価値そのものが収益から、事業性能から考えなければいけなくなってくる。そして、貸し付ける場合には、そういうことを金融機関はせざるを得ないと思います。
 それからもう1つ、それをやるための器として、ますます会社そのものが分社化傾向といいますか、特別目的会社みたいなものを使ってオフバランス化して資産に対するファイナンスをつけていくとか、そういう傾向は今後どんどん出てくると思います。そういう1つの資産をバックにした、それだけの特別目的会社に対する貸し付けということは、そういう能力を証券化するというのが2番目で、第1番目は、それを評価をして、ノンリコースローンをつける。そして次に、そのローンを証券化するという順序に1つには進んでいくのだと思います。
 さもなければ、いきなり100%その不動産のリスクをとってもいいという人は、100%エクイティで買いに来る。これに投資するわけです。こういう2つの形かと思います。アメリカでもそういうことで、ノンリコースの貸し付けということは、それを証券化していくという流れになっていると思いますし、まずおっしゃるとおり、日本で評価能力というか、不動産の評価そのものが変わってきているわけですから、そういう見方にだんだん変わらざるを得ないと思いますし、一部変わってきていると思います。

長谷部(地域振興整備公団)
 
おっしゃることはよくわかるんですけれども、例えば、不動産鑑定評価理論なんか見ていましても、収益還元だって言っているけれども、では、その収益還元に基づいた評価書を具体的にちゃんと目の前に見たことがおありなら失礼ですけれども、多分ないですよね。要するに、鑑定理論でさえその状況の中で、おっしゃるような収益に基づいた評価のファイナンスが本当なのかな。くどいようですけれども。
 それから、買っていますけれども、大規模な売買事例はいっぱいありますけれども、これだって実は収益に基づいた価格で買っているかどうかは疑問のような気がするんです。だから、その辺が本当に動くということでよろしいんでしょうね。

 吉村氏
 具体的に申し上げれば、例えば、鑑定評価なんかでも、収益還元価格と近隣比準価格、それとあるいは原価の積み上げ、再調達価格、それらの比重みたいなものを考えます。そういった中で、例えば、近隣の比較は今のところほとんどないです。そして、再調達価格と収益還元価格で考えるのだったら、収益還元価格の方を8割ぐらいに考えて、そして再調達価格が2割方ぐらいの加重平均にしなければ、マーケットに合うような数字にならないのかな。そして、その近傍類似はなかなか例がないということが現に鑑定の世界でも一部起こってきているのではないかと思います。
 それから、実際問題としての不動産の取得に関しましては、前段若干省略してしまったのですが、自社ビルニーズ、あるいは初期の韓国資本で買われた不動産の買い方というもの、これはある意味で、100億ぐらい。典型的な例で申し上げましたが、500坪の土地、600%、ちょうど3000坪、延べ300万だと90億、100億弱、こんなような規模。こういうところはぜひとも自社ビルを持ちたいからとか、「おれが死ぬ前に東京本社を」とかいう会長の念願とか、そういう部分で、値段(利回り)でいきますと、3%ですとか、そういうところまで買い上がられているという事実もございます。ですが、ベースにあるのは、1つには、やはり今金利が低い。そして、3.5%まで買い上がっても、会社の業績を悪化させることはないわけです。自社ビルというのは、賃貸ビルに比べて1つだけ明確に有利なところがあります。これは、その事業が発展して、十分有効に使っている限りは、空室万年ゼロです。空室率0%です。ですから、事業が隆盛であれば、これだけとっても1割方ぐらいは高く買えるんです。
 そういった意味で、やはり昔のような、全くそういうエコノミックスを無視したというよりは、ますますエコノミックスが主流になってきていると感じます。まして、特に投資額が1000億を超える方々は完全にエコノミックスです。ただ、ときどきそこでもエゴが入ったり、情報に攪乱されたりというあたりがまだ日本の不動産投資市場の未熟さかなとは思いますが、私どもはそういう意味では、日本の不動産投資市場そのものをより成熟した、よりソフィスティケートされたものにするお手伝いをしたいと思っておるわけでございます。

松原(民間都市開発推進機構)
 民間都市開発推進機構の松原でございます。ちょっとお伺いしたいと思います。
 不動産投資顧問というのは、ある意味では、ノウハウのフィービジネスだということで、不動産の金融商品化ということで、会社として成り立つのは、手数料をもらうのが、はっきり言って大変なのではないか。例えば、いろいろ会員会社みたいなのを募って、年間これぐらいの会費でやって、基礎基盤をつくって、あと1件当たりどれぐらいのフィーでやっているかとか、そういうので多分考えていらっしゃるじゃないかと思うんですけれども、お差し支えなかったら、どういう水準で皆さんからお金を集めて会社が成り立っていらっしゃるのか、そのあたりについて少しお教え願えたらと思います。
 

吉村氏
 率直に申しまして、今不動産投資顧問という名前で仕事をさせていただいているわけですが、日本では、不動産投資市場そのものができようとしているところでございますので、不動産投資残高を相手にする商売は、そういった意味では……。
 〔OHP
15:不動産関連サービス業務〕
 先ほどのさくら銀行さんが外部で社債を発行されたお金を預かって、それで担保不動産を買い取ることのお手伝いをさせていただいていますが、この場合も、どちらかというと、売買業務のお手伝いということで、担保不動産の流動化のお手伝いということですので、お金を預かって何ぼいただくというところまでは、まだ残念ながらいっておりません。
 それから、ファンドも集めて云々かんぬんということ、要するに基金を預けていただく。これは物理的に預かる、預からないというのは、証券投資顧問でも、お金自体は自分の口座で預かってしまうわけではなくて、信託口座にあるものにいろいろな指示を出すわけですけれども、いずれにしましても、そういう形で不動産に投資するので、このお金の差配を任せるよというケースには至っておりません。今のところ、むしろ投資の紹介ですとか、あるいはそういう欧米のディールのお手伝いとかいうことでやらせていただいております。正直申し上げてそんな状況でございます。

司会(谷口)
  きょうのフォーラムはこれで終わりたいと思います。吉村さん、大変ありがとうございました。最後に盛大な拍手をお願いいたします。(拍手)


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