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第156回都市経営フォーラム

プロジェクトファイナンスの動向と課題
−21世紀の都市づくりのために

講師:野口 秀行 氏
日本インテリジェントトラスト
開発総合研究所長


日付:2000年12月14日(木)
場所:後楽国際ビルディング大ホール

 

1.21世紀の日本経済と金融ビックバン

2.都市づくりに関わるファイナンス

3.欧米におけるプロジェクトファイナンスの動向

4.プロジェクトファイナンスの今後の動向と課題

5.補論

フリーディスカッション



 

 皆さん、こんにちは。今ご紹介いただきました日本インテリジェントトラストの野口と申します。
 きょうは「プロジェクトファイナンスの動向と課題」ということでお話をさせていただこうと思います。きょうが20世紀の最後のフォーラムということで、21世紀に向けて、新しい金融、新しい日本経済の動向といったことを踏まえながらお話をさせていただこうと思います。
 先ほどゴアが敗北宣言をいたしました。アメリカの大統領がブッシュということになります。先々週、CNNの方で、ブッシュ政権で経済担当補佐官を多分やるだろうといわれているリンゼーというのがいまして、アメリカのFRBの理事をやっているんですが、彼のインタビューをテレビで放送しておりました。その中で、私の英語の聞き取り能力が正しければ、リンゼーはこういうことをいっておりました。
 今までのクリントン政権下では、日本経済、特に日本の景気拡大を要求してきた。その結果として、きょうお手元のレジュメにありますように、実は我が国、日本の抱えている借金は、国と地方を合わせますと、約645兆円、これに財投などの隠れ借金を入れますと、1000兆円近いといわれていますが、日本経済は、財政が破綻寸前、がけっ縁にあるといってもよろしいかと思います。
 リンゼーはどういう言い方をしているかといいますと、新しいブッシュ政権のもとでは、日本政府に求めるものは日本の財政再建だ。これを第一義的に求めていくという言い方をしているわけです。日本の財政赤字がこれ以上拡大いたしますと、世界経済に与える影響が甚大であるという認識であります。日本経済が極めて不安定になる。特に為替レートにつきましては、極めて不安定になっていくという見通しでございます。
 我が国の経済は、世界経済に対しまして、GDPでいきますと14%を占めております。大変大きなプレゼンスを持っております。その経済が弱体化するということに関しては、アメリカにとっても看過し得ないことであるということであると思います。
 財政再建をやるということであれば、それは国民に痛みを伴うものである。したがって、アメリカは当分の間、日米貿易摩擦については目をつぶるという言い方をしております。これは何を意味するかといいますと、新しいブッシュ大統領のもとで、アメリカは日本に対して、多分、ある年限を切って、財政再建の目標を設定させるということになろうかと思います。その間日本は貿易で金を稼いで財政再建をやっていくということになろうかと思います。
 これは、我が国の経済のあり方が変わるということになってまいります。日本経済を再生するということは、財政再建をすることに等しいということになってきます。そうしますと、我々の今の経済の構造を変えていくことになってまいります。増税をすることになりましょうし、少なくとも、我々の今の実力からいきますと、国の年間の予算規模は50兆円というところが適正規模であります。それを上回った分については、国債を出してきたわけであります。
 IMFの統計を見ていきますと、財政のところだけ日本はブランクになっています。なぜならば、財政を考えていくと、日本だけが異質だからです。例えば、教育を考えますと、教育予算は欧米では投資予算、投資というふうにみなします。日本の場合はどうなのかというと、事業、経費というふうに押さえられてしまいます。
 そういった財政を含めたスタンダードというところから、我々はそっちへ近づけていく努力をこれから要求されることになってきます。対日政策の変更ということだけではなくて、我々自身が財政改革を本格的に本気でやっていくということになっていきます。
 そうしますと、問題になってきますのは、まちづくりをやっていく、あるいは都市開発をやっていく、インフラの整備をしていくといったときに、従来と同じような、国庫の公的な資金を当てにするということはもはや期待できないことになってまいります。そのプロセスの中で、PFI、あるいは不動産の証券化が出てきているとお考えいただければと思います。そういう背景があって初めて、このプロジェクトファイナンスとかPFI、あるいは土地の証券化ということがきちっと把握できるだろうと思っております。
 その財政再建のありようですが、きょうお手元にお配りをしましたレジュメの表の1というところをごらんいただきたいと思います。これは、99年度予算におきます地方交付税特別会計の構造でございます。何でこんなものが必要かといいますと、実はさっき申し上げました財政再建をしていくといったときに、西暦2006年に地方債については原則協議制に移行するといっております。
 地方債というものについてこういうふうにお考えいただくとよろしいんですが、この間長野県で田中知事が誕生いたしました。田中知事を引っ張ってきたといいますか、田中知事を支援したのが八十二銀行の茅野さんという頭取でございました。なぜ、八十二銀行が田中知事を推したのか。うがった見方になりますが、今まで長野県が地方債を出す、県債を出すといったときに、従来のやり方でありますと、これは縁故債という形で、市場で発行するのではなくて、八十二銀行が引き受けをするという形をとってきました。ノー文句で引き受けをいたします。今市場で評価されていない、格付を取得されてない債券を持つということは、銀行にとってみればリスクを抱え込むということになるわけです。そうすると、八十二銀行の格付が落ちてくる。落ちてくると、市場で到達する資金コストが当然高くなってくる。それは銀行の経営が破綻するということに等しいというわけであります。
 従来型の公共工事主導型で、国から補助金をもらってきて、公共工事を主導していくという県政のあり方に対して、八十二銀行が危機感を持った。そのために田中知事を持ってきて、田中さんに長野県の財政改革をやらせよう、そういうことではないかなと私は考えているわけです。
 実は、そういうことがこれから幾つか出てまいります。今北海道では「時のアセス」というのをやり始めました。公共工事、あるいは従来道のプロジェクトとしてやってきた戦略プロジェクトの総合的な見直しをしていく。亀井さんがやっている公共工事の見直しもその一連の流れにあるとお考えいただければよろしいかと思います。
 要は、今645兆円の財政赤字を抱えているんですが、その645兆円はどういうふうに生まれてきたかといいますと、基本的にはこの10年間GDPがほとんど成長していない。10年前のGDPが500兆円、今日も500兆円です。この間にほとんど経済成長しなかったわけです。



1.21世紀の日本経済と金融ビックバン

 景気対策、このレジュメには「前門の景気失速、後門の財政破綻」と書いてありますが、要は、当面の景気拡大を図っていこうとしますと、税収が伸びない中で、結局借金に頼らざるを得ないということになってきたんです。特にここ数年は起債充当率100%の措置を行ってきています。
 今予算を執行しようとしますと、大半の自治体は「冗談じゃない。村負担ができない」ということでありますから、ほとんど執行ができない状態になっています。多分、ことしが補正予算は最後の年になるかと思います。補正を組んだとしても執行率はほとんど期待できないという状況にございます。
 そのために、政府は起債充当率を100%にしますよということで、地方を景気対策に巻き込んでいたわけです。その結果として645兆円の借金を抱えるということになったわけです。GDPが500兆円ですから、その約1.3倍という借金を抱えていることになると思います。
 表の2をごらんいただきたいんですが、この10年間でどういうふうに変わってきたかといいますと、91年の財政収支を見ていきますと、イタリアがマイナスの10、アメリカがマイナス5.9、カナダがマイナス7.2となっています。このときの日本のパフォーマンスは非常にすぐれていたということが読み取れるかと思います。
 その後景気が失速をいたします。今日西暦2000年にどうなっているかといいますと、大半の国で財政赤字が縮小もしくは黒字に転換する。日本だけがマイナス8.5、財政収支が急速に悪化しているということが読み取れるかと思います。
 これは理由が2つあります。1つは、ヨーロッパの場合、EUの通貨統合をやっていくために、マーストリヒト条約というのがございました。どういう条約かといいますと、通貨統合するために、それぞれの国の財政赤字を縮小均衡させるということでありました。そのためにGDPの約60%以内におさめる努力をしなさいという目標を定めたわけであります。それに到達しなかったらば、EUの通貨統合には参加できないという仕組みをとったんです。
 皆さん、ご承知かと思いますが、この10年間に大半のヨーロッパの諸国では政権が交代いたしました。当然であります。財政を改革していく、財政赤字を縮減していくということになりますと、当然あちこち財政にメスを入れてまいります。特に福祉関係にメスを入れてまいります。そうしますと、大半の国で総選挙を行いますと、政権は交代するということになるわけであります。
 要するに、コールも、メージャーも、この政策をとろうとすれば、自分は政権の座からおりなければならないということは当然わかっていたはずであります。しかしながら、国家戦略として、1000年の計を図ったときに、ここであえて財政改革を断行する必要がある。国家戦略としてそれを遂行した。その結果として、彼らは政権を野党に渡すということになったわけであります。政権の命だけを考えて先送りしている国とは大変な違いであるということがおわかりいただけるかと思います。
 冒頭申し上げましたように、アメリカは我々に対して財政改革を求めてくるということでありますから、我々自身が新しい経済の仕組みとか財政の構造の中で、これからプロジェクトを考えていく必要があるということであります。あるいは地方財政ということについて考えていかなければならないということになると思います。
 きょうは、地方自治体の方もたくさんお見えになっていますが、当然ながら、さっき長野県のケースで申し上げましたが、地方債については格付を取得する必要が出てまいります。民間企業と同じように格付を取得しなければなりません。そのためには、地方自治体の会計制度を変えていく必要がございます。今の現金主義、単年度主義といったものを変えていく必要があります。発生主義、企業会計規則に基づいた会計処理をしていくということが必要になってまいります。
 それから、情報開示が必要になってまいります。情報開示というのはどこに対して開示するかといいますと、市場に対して開示をするということです。市民に対して開示をしますが、主として金融市場、自分たちが資金を調達してくる先に対して情報を開示する。市場に対して、合理的、適切に説明をする能力が求められてきます。アカウンタビリティーということが必要になってくるわけです。これをやっていかなければ、21世紀初頭について、もはや地方は資金を調達することができないことになると思います。
 今、地方の自治体の財政状況を見てまいりますと、ざっと見ただけで格付の取得ができそうなところはほとんどございません。相当な改革をやっていかなければできないということになると思います。
 後ほどご説明いたしますが、アメリカにおける新しい資金調達のスキーム、あるいはイギリスのスキーム、ドイツのスキームが参考になるかと思いますが、少なくとも従来型では21世紀には対応できないということを今覚悟する必要があるということです。
 国につき合っておりますと、地方はそのまま没落をしていくということになってくるわけであります。今、私の方では、仕事の関係で幾つかの自治体のアドバイザーをやっておりますが、我々の助言を聞いていただいた自治体は物すごい勢いで行財政改革に取り組んでおられるということであります。そうでないところはいずれ破綻するということであります。
 表の3に、「我が国の国力の推移」ということがございます。我々は、じゃ世界からどういうふうに評価されているのかということでありますが、これを見ていきますと、「政府」という項目がございます。もともと日本政府に対しては、諸外国は大して評価をいたしておりません。透明性がないということもありますし、政策の決定メカニズムがよくわからないということから、日本国という中央政府に対してはあまり信が置かれていないというのがこの数字でわかります。
 ここ数年で、この順位がどんどん落ちてきたのが何かといいますと、金融、それから企業経営というセクションでございます。特に金融の世界でありますが、その下に「日本の強さと弱み」というのがあります。このランキングがどうだということではありませんが、世界からどういうふうに評価されているかという1つの参考になろうかと思います。
 これでいきますと、大学教育の水準は45番。これは47カ国の47分の45とごらんいただきたいんですが、中間管理職の能力が47分の41ということであります。ずっと見ていきますと、金融商品に関するノウハウというのがございます。これが47分の43。世界水準から見ますと、我が国の金融の水準は非常に低いといわざるを得ないということであります。
 さっき財政再建というお話をさせていただきました。もう1つ、今我々の中で進行していますのが、金融ビッグバンでございます。来年ビッグバンということになりますが、今いろんな意味での規制の緩和が徐々になされています。
 イギリスは80年代にビッグバンをやります。そのときにウィンブルドン化という現象が起こりました。なぜ、ウィンブルドン化という言い方をするかといいますと、全英テニス、全英オープンがございますが、ウィンブルドンのセンターコートでプレーをするイギリスの選手がだれもいないということをもじって、ウィンブルドン化。要するに、イギリスの金融市場でイギリスの民族系の金融機関がほとんど淘汰されてしまったということを評してウィンブルドン化という言い方をいたします。実は、我が国の金融ビッグバンで同じことが起こる可能性がなしとしないということであります。むしろその必然性が非常に高いといった方がよろしいかと思います。
 きょうお話をいたしますプロジェクトファイナンスということについていきますと、ビッグバンをやっていくということになりますと、我々の金融市場が世界の金融市場と同質のものに変わっていくということを意味しているわけです。あしたからそうなるというわけではございません。時間が必要でありますけれども、我々がやっている金融は、世界の金融市場から見ますと、やっぱり異質であるわけです。
 現に、ゼロ金利政策を営々と続けているということ自体も極めて異質でありますけれども、この市場が変わっていくんだということが1つ大きな理由になってくるわけであります。そういったことが背景にあるということをまずお考えいただきたいということであります。
 2点目は何かといいますと、経済の仕組みが変わっていくということであります。21世紀型の経済システムということでありますが、これだけランドコストが高くて、これだけ人件費が高くて、これだけ規制が網の目のように入っている国で、従来と同じような大量生産型の工業システムを維持していくことは困難だということであります。
 確かに、物づくりをやるという意味では、日本は世界に対して冠たる文化と技術を持っております。自然科学の分野とか、あるいは産業技術の国際競争力という意味では、我が国はまだ大変優位性を持っている部分があります。ただ、この10年間ぐらいこの優位性はほとんどなくなってきているとお考えください。
 我々の国はどうなっているかといいますと、80%のエネルギーを輸入し、70%の食糧を輸入している国であります。そうなりますと、常に産業競争力を維持して、輸出で金を稼いできて、温かい暖をとり、おいしいものを食べるという仕組みができ上がっているわけです。もはやこれを捨て去ることはできません。
 そうしますと、新しい経済のシステムに変えていかなきゃいけないわけです。それをオールドエコノミーとニューエコノミーという呼び方をいたします。我々は今オールドエコノミーの世界に住んでいる。それをニューエコノミーへ移し変えていくということが必要になってくるわけであります。
 2ページに、オールドエコノミーとニューエコノミーの比較表を書いてございます。今森さんが一生懸命IT革命といっております。堺屋さんも、IT、ITと声高にしております。なぜIT革命なのかといいますと、我が国の経済はどういうふうになっているかといいますと、生産年齢人口が95年でピークアウトしたわけです。経済の成長率は労働投入量と、労働生産性の和ということであらわされるわけですから、そういった意味では労働投入量がどんどん減っていくということをどこかでカバーしないと、経済は成長しない仕組みになっているわけです。その生産性を上げていく仕組みが、実はIT化ということであります。
 ところが、このIT化を進めていくということはどういうことかといいますと、ITというのは中抜きをするわけです。中抜きをしますから、通産省の試算でいきますと、約270万人の職がなくなるといわれているわけです。
 さっきいいましたように、財政は再建しなきゃいけない。それは財政出動を抑制されるということです。今までみたいに必要のない道路をたくさんつくるとか、どうでもいいような公民館をたくさんつくるということもできなくなってくる。要するに、経済を引っ張っていくエンジンの1つがなくなるということです。
 もう1つは、長期的に考えていったときに、日本経済を成長期へ乗せるためにはIT化をしなきゃいけない。だけど、IT化をするということは一時的に270万人ぐらいの職がなくなる。失業率がふえるということです。これが痛みを伴う改革だということであります。
 これを前提にしていかなければ、この国の経済は、多分21世紀にはG7ではなくて、G6になっている。もう先進国ではなくなって、G7からはお声がかからないということになりかねないということであります。
 同じ通産省の産業構造審議会の答申の中に入っていました、もし今改革をしないでこのまま何もしないという放置ケースでいきますと、西暦2025年の日本経済はほとんど成長ができない状態で、財政の借り入れの残高が今の4倍になっているという試算が出ています。国民の負担率は7割ぐらいになってしまっている。要するに、100万円稼ぐと70万円が税金と社会保険で取られていくということになってくるわけです。少なくとも2%とはいわないが、1.5%程度の経済成長を維持していくことが我々にとっては必要だということであります。
 そうしますと、オールドエコノミーからニューエコノミーへ移行させていく作業が必要になってくるわけです。一時的に痛みを伴いますが、これを断行していかなければこの国の経済は破綻をしてしまうということであります。
 そのことを我々はわかっているようで、実はわかってない。何とかなると思っているわけであります。さっき、補正予算はことしが最後になりますよといいましたけれども、ことしやり残したことは来年以降できないということであります。そういった意味でIT化を進めていくということですが、皆様のお仕事であります都市開発のプロジェクトを進めていくために、私が申し上げたことが前提になるということです。それを前提にした上でプロジェクトを進めていくということになっていくわけです。



2.都市づくりに関わるファイナンス

 そこで、プロジェクトファイナンスというところに話が移っていくわけであります。ちなみに3ページをごらんいただきますと、上の方に「アジア主要国のインターネット利用状況」というおもしろい表がありましたので、つけておきました。IT化のおくれは、日本は先進国どころではなくて、アジア主要国の中でも一番低いということがこれでおわかりいただけるだろうと思います。まだまだ相当な努力が必要だということであります。
 そこで、プロジェクトファイナンスということであります。冒頭申し上げましたように、SPC法の改正が行われましたし、PFI法もでき上がりました。さっき申し上げましたアメリカとかイギリスの財政再建の中でPFIみたいなものが出てきたわけであります。景気対策でPFIをやったわけではありません。もちろん、それも目的の1つでありましたけれども、最大の眼目は、マーストリヒト条約を達成していくために、目標値を達成していくために、イギリスは小さな政府をつくるということでありました。
 ちなみに、PFIについて申し上げますと、イギリスは3つの方法をとっているわけです。財政再建のために国営企業の民営化をいたしました。それから、独立法人化、エージェンシー化をやります。で、PFIをやる。この3つを柱にしているわけでありますが、目標はあくまでも小さな政府の実現ということであります。特に、バリュー・フォー・マネーということを徹底的にやっていくわけであります。
 財政再建をする中でこのPFIを位置づけていったわけですが、現在イギリスはどうなっているかといいますと、イギリスでもPFIの見直しが始まっています。どういうことかといいますと、バリュー・フォー・マネー。皆さん、ご承知だと思いますが、VFMについて極めて恣意的な計算をしているということで、特に、イギリスの北部、エジンバラのプロジェクトをめぐって訴訟が行われています。BBCも今キャンペーンをやり始めていまして、我々イギリス人はPFIをやって本当に正解だったのかどうかということについて今議論がなされております。
 我が国に今度PFIを移植をするわけでありますが、大変大きな問題があります。1つは、プロジェクトファイナンスという問題があります。もう1つは、従来の補助金制度が全く未整理の状態であるということです。イギリスの場合はどうしたかといいますと、SRBC、あるいはイングリッシュ・パートナーシップという新しいファンド方式、単年度の予算方式からファンド方式に切りかえることによって、PFIがうまく機能するような仕組みを逆につくり上げていったわけです。そうすることでPFIの有用性というのが市場で評価されるということでありましたが、日本の場合は、従来の補助金とか交付税措置はそのまま残しておいて、PFIだけを持ち込んできた。
 簡単にいいますと、大半のプロジェクトは従来方式でやった方が安く上がるんです。今の仕組みからいきますと、補助金をもらってきて、なおかつ地方交付税で交付税措置を行ってもらうと、地方自治体にとってみれば、そっちの方が安く上がるんです。
 そうしますと、唯一PFIが使えそうなのは何かといいますと、庁舎の建てかえぐらいになってしまうということであります。ですから、逆にいいますと、さっき財政再建と申し上げましたが、いろんな縦割りの補助金の体系、あるいは地方交付税会計についての改革がなされなければ、PFIというのは使いでがないということになってくるわけであります。それが第1点であります。
 第2点は、プロがいないということがあります。例えばPFIをやっていこうとするときに、我々みたいなコンサルのノウハウをどういうふうに使うかということについて、日本の地方自治体はまだこなれてないということになります。
 イギリスの場合、どういうことだったかといいますと、PFIで儲けたのは弁護士事務所だけといわれております。要は、こういうファイナンスドバイザーとか、リーガルアドバイザー、テクニカルアドバイザーというアドバイザー業務がたくさん発生してきますが、これについてきちっとやっている人は日本にはあまりいないということになっています。
 もう1つ大きな理由があります。PFIを導入したいといった当時、我々はイギリスの大使館にいろいろヒアリングに行ったわけであります。仕組みを教えてほしい、どういうことになっているんだと行きました。今イギリス大使館が我々にヒアリングをしに来ているわけです。日本のPFIはどうなるんだということであります。なぜ彼らが関心を持つかといいますと、日本の建設土木予算はEU全体よりもでかい、ものすごくマーケットがでかいということであります。したがって、イギリスのゼネコンにとってみれば、日本のPFIは大変大きなマーケットが発生するということに等しいわけであります。
 国際競争入札が多分原則になってまいりますから、ある程度イギリスとかヨーロッパのゼネコンたちが大挙して日本に押し寄せてくるということになってまいります。もはや談合なんてできない。仮に談合いたしますと、大変な損害賠償請求を受けるということになってまいります。そういった意味では、PFIを導入することで日本の市場が変わるということはいえるかもしれせまんが、いずれにしろ、PFIについては今私が申し上げたような状況にあるということであります。
 問題は、このプロジェクトファイナンスであります。このプロジェクトファイナンスは何なのかということであります。きょう、谷口さんの方から、金融の細かい話ではなくて、大づかみで話をしてほしいということでしたが、基本的にここだけは見ていただきたいと思います。
 3ページ、一般的な定義がございます。米国の財務会計基準の第47号というところに、「大規模資金プロジェクトへの金融であって、貸し手が原則としてそのプロジェクトの資金繰りおよび収益を返済原資とし、またはプロジェクトの資産(プロジェクトのキャッシュフローを生み出すための事業遂行に必要な契約を含む)を融資の担保として行うものを言う。」ということであります。
 「当該プロジェクトの事業主体の一般的な信用力は通常重要な要素ではない。なぜなら、その事業主体が他に資産を保有しない企業であるか、または当該金融機関が、その事業主体の所有者(親企業)に対して直接遡及できないものであるか、いずれかであるからである。」という、わけのわからない定義をしています。
 翻訳すると、こういうふうになっちゃうわけですが、要するに、どういうことかといいますと、一般的にプロジェクトのキャッシュフローだけで返済をしていくということです。ある特定のプロジェクトですが、そのプロジェクトカンパニーというのをつくります。
 次の5ページを開いていただくと、ストラクチャーが書いてあります。プロジェクトカンパニーというのをつくります。このプロジェクトカンパニーは出資会社があって、そこから出資を受けたある特定のプロジェクトを遂行するためだけの単一の目的の会社であります。この会社は資産を何も持っておりません。その資産を持ってない会社がお金を借りてくるわけでありますから、その遂行するプロジェクトの事業採算性に着目をするわけであります。
 ただし、この会社が真っ当にできるかどうかということについての審査を行います。通常この金融団というのはシンジケーションを組みます。幹事銀行があって、幾つかの金融機関が集まってきて、審査を行って、融資をすることになるわけです。その際に契約というものが重要な要素になります。PFIのときにもPFI契約というのはこんな分厚い契約書になるということがありました。それはPFI契約の中に、これはプロファイの契約だとお考えいただければよろしいんですが、たくさんプロジェクトを遂行していく中で、リスクが発生してきます。ここで新しくリスクという概念が出てくるわけであります。
 日本の金融というのはどういうふうになってきたかといいますと、護送船団方式という言葉を、皆さんご記憶だと思います。なぜ日本が護送船団方式をとってきたかといいますと、戦後すぐ、要するに日本の経済復興をしていくときに資本がなかったんです。資金がなかったわけです。海外資産は全部放棄したわけでありますから、日本国内で何かをやろうとすると金がない。要はお金がなかったわけであります。そうすると、限られた資金を大都市と地方、あるいは大企業と中小零細企業といったところに適正に配分をするときには、大蔵省が全体のコントロールをする必要があったわけです。市場だけに任せてしまいますと、お金は大企業だけしかいきませんし、大都市にしか集中しないということになってくるわけですから、それを適正に配分をさせる。したがって、中小企業も大企業も、そんなに金利差のない、大企業、長期プライムレートと、中小零細が借りるお金の金利はさほど差がない状態でお金を融通することができたわけです。それが護送船団方式です。
 要するに、銀行はつぶさないということを前提にして、リスクを銀行にとらせるという方法をとってきたわけです。これが正式な意味での護送船団方式であります。マスコミがいっているものとはちょっと違います。
 この仕組みを今回金融ビッグバンでやめようということであります。実は、このプロジェクトファイナンスは、従来型の金融とは全く異質なもののように思えるんですが、さほど根本が変わっているわけではありません。それはどういうことかといいますと、リスクというものを、従来金融機関だけがとっていたものを、それぞれ関係者間で分担をしましょうというのがプロジェクトファイナンスの基本的な考え方になってくるわけです。
 今まで、例えば銀行が25年の融資をするといったときに、銀行が資金調達をしてくるのはせいぜい7年物とか15年物であったわけです。そのさや、残存期間の差というものは銀行自身がリスクをとるということでやってきたわけです。したがって徹底的に審査をやるということをやってまいりました。
 私も銀行時代に、審査部というところでプロジェクト審査をやらせていただいたんですが、その審査がなければ、とてもじゃないけれども、融資はできないということだったわけですが、そのリスクをどういうふうに評価するかということで、リスクの多さ、リスクの大きさによって金利を変えるのがプロジェクトファイナンスだとお考えいただければよろしいと思います。リスクをそれぞれ分担し、どうしても残るリスクについては、金利というところに上乗せをしていくということであります。
 日本の金融機関が、今幾つか倒産をしたり、国際的な再編の中にあるわけであります。これも大変誤解があるんですけれども、日本の金融機関、銀行のコスト構造、経費率は欧米の金融界に比べて高いわけでありません。むしろ低いんです。機械化も進んでいる。省力化が進んでいます。それでも収益率が低い。なぜ低いのか。売り上げが低いからであります。売り上げというのは金利であります。日本の金利は安過ぎるということであります。
 要するに、大企業に融資をした場合と、中小零細に融資をした場合の金利、さっき、リスクプレミアムが金利に上乗せをされるといいましたが、日本ではプレミアムを乗せるということがまだできてないということであります。それはプロジェクトの質によってそのリスクが異なるはずなんですが、その異なったリスクを金利に反映させるメカニズムが働かない市場になっているということであります。さっきの護送船団方式の流れの中でそういうふうになってしまっていたということであります。それをビッグバンをやって変えてしまおうということです。
 そのリスクはどういうふうに分担をし合うのかというと、言葉でいうと分担でありますが、その分担を形にしたのが契約ということになってくるわけです。したがいまして、プロジェクトのいろんな局面で発生するであろうリスク、「将来不確実性」と翻訳すればよろしいかと思います。
 それが8ページにフローで書いてあります。これだけのリスクが発生するということです。プロジェクトファイナンスにおけるリスクの種類というのがございまして、大きく分けると、フォースマジュールというのとカントリーリスクというのがございます。不可抗力とか政治リスクといわれているものであります。これは天災とか戦争といったものがございます。
 そのほかにコマーシャルリスクということで、工事完成あるいは創業リスク、マーケットリスク、経済性リスクという分け方をされています。これを個々のプロジェクトに即して、このプロジェクトの性格に伴って発生するであろう、いろんなプロジェクトによっては異なったリスクがございます。それをそれぞれきちっと整理をしていって、さっき図にありました関係者間で契約を結ぶことによってそのリスクを消していくということになっていくわけです。
 どういうことかといいますと、日本の場合、今幾つかノンリコースローンとか、プロファイというものが行われております。SPCを使ったり、あるいはほかの手段を使って行われておりますが、どうなっているか。いまだにそのスポンサー企業といわている、あるいは親企業といわれているところが後ろに見え隠れをするというところで金融機関が安堵をしているということでありまして、本当の意味でのプロファイルのスキームは数が非常に少ないというのが現実であります。
 金融機関のサイドから見ますと、まだ非常に恐ろしいといいますか、勇気がないといいますか、それに踏み切るだけの地合いになってないということであります。ただ、さっきいいましたように、時間が経過していって、ある程度周知徹底されていくに従って、というのは借り手側も、まだプロファイということについてなれがないということであります。
 これは両面あります。1つは、親会社にとってみれば、オフバランスにするということ。さっき格付というお話をいたしました。市場で資金を調達していくということになりますと、格付を取得しなきゃいけないわけです。どんな企業でも格付が必要となってきます。そのためにはできるだけ、アセットマネジメントといいますが、財務諸表のバランスシートをきちっと管理をする。マネジメントしていかなければなりません。そうすると、偶発債務といわれているもの、あるいは自分自身が資産をふやして負債がふえていくという両建てになるものを、できるだけ避けていこうとするわけです。
 例えば、こういうふうにお考えください。銀行はどういうことをやるかといいますと、皆様にご融資をいたします。ご融資をして貸付債権が残りますが、その債権は、極端なことをいいますと、契約をした翌日には証券化をして、市場で売っ払ってしまうということです。資産がふえないということが重要になってくるわけです。
 今までの日本の企業のビヘイビアは、資産をふやすということを善としていたわけです。ところが、さっきのニューエコノミーというシステムでいきますと、アセットを小さくしていく。大きくしないということが重要になってくるわけです。
 そうすると、できるだけオフバランスでプロジェクトを進めていくということになります。要するに、バランスシートに載っからない仕組みをつくっていこうとするわけです。それがプロジェクトファイナンスというニーズが出てくるもう1つの理由であります。
 もう1つの理由は何かといいますと、ベンチャー企業であります。これから多分新しい日本の経済の中でベンチャーが必要だとなりますと、ベンチャー企業は信用がないわけであります。ただし、彼らが持っている知的所有権とか、あるいはこれから進めていこうとするプロジェクトについて、物すごく評価が高いとすれば、個人企業であっても、100億の金を集めることができるということであります。それがプロジェクトファイナンスのおもしろさということであります。
 2つの違った方面からこのプロジェクトファイナンスが求められているということがご理解いただけたと思います。
 このプロファイについて、1つだけ申し上げておきたいのは、ノンリコース、遡及をしないというのはスポンサーに対して遡及をしないということです。担保を取らないのかといったら、きちっと担保を取るわけです。1つはさっき申し上げました契約ということで縛っていきます。
 後でごらんいただきたいんですが、諸契約の概要をずっと書いておきましたので、契約で絞っていきます。このプロジェクトをきちっと遂行させて、そのキャッシュフローから返済をさせるわけですから、そのプロジェクトが真っ当に完遂されるということを保証させるためのいろんな制約を加えていくわけであります。
 もっと端的なのは、7ページに書いておりますが、口座管理システムというものを使うわけです。要するに、売り上げを押さえてしまうということであります。このプロジェクトファイナンスというのは、銀行家から見ますと、銀行にとってリスクを一番少なくしているものとお考えいただいてよろしいと思います。
 ここでいきますと、売り上げの中で、先に売り上げが上がってきますと、それは銀行の口座に毎日振り込んでいただくわけです。その中から元利均等分だけ、返済分を先に取ります。その残ったお金で原料の仕入れに当たったり、人件費に充てるということで、先に取ってしまうというのがこの仕組みであります。
 要するに、プロファイというのは何かといいますと、さっき申し上げましたように、プロジェクトのキャッシュフローで返済をさせる、で、オフバランスにする。いろんなことを申し上げましたが、一番わかりやすいのはこの口座管理システムであります。要は、金融機関にとって一番リスクの少ないやり方だとお考えいただければよろしいかと思います。
 そういうプロファイをこれから我が国で進めていくということであります。さっき申し上げましたように、そうしますと、今度は皆さんが、実際にプロジェクトをメイキングしていくときには、どういうことが必要になるかといいますと、そういうプロジェクトをメイキングしていくときには、こういったプロファイの仕組みをちゃんと理解をした上で、要するに資金はこういうふうに調達してくるんですよ、従来とは違うんですよということを認識した上で、そのためには市場でプロジェクトの格付を取得するか、もしくは市場に対して、この市場というのは金融市場です、金融市場に合理的な説明ができるようにしていくということが必要になってくるわけです。
 今までみたいに、どこかの銀行が面倒を見てくれる。要するに、メインバンクがあるとか、あるいは親会社の保証でお金を借りてくるという仕組みではなくて、そのプロジェクト自体の事業性あるいは全体のプロジェクトの魅力といったものをきちっと説明をしていくという能力が求められるということであります。したがって、プロジェクトの初動期といいますか、最初の企画の段階からでき得れば、ファイナンシャルアドバイザーというのをちゃんとつけていただくということであります。
 どうも私の商売の宣伝みたいなんですが、要は、プロフェッショナルなアドバイザーをつけてプロジェクトをメイキングしていく必要があるということであります。もちろん、契約のこともありますから、弁護士ときちっとやっていくということも必要になってきます。要するに、従来の非常にあいまいな形でプロジェクトを進めていくということは、最終的にリスクがどんどんふえていって、途中でリスクを消していくことができない。リスクだけが最後に残ってしまうということになりかねないということであります。
 そういった意味で、このプロジェクトファイナンスというのは、非常におもしろい仕組みであり、そしてこれをうまく活用することによって、従来とは違った資金調達の仕方ができるようになります。ですから、プロジェクト自体が、非常に事業性が高い、おもしろい、魅力的だというプロジェクトであれば、市場から、プロジェクトだけでも資金を調達することができるということになります。
 ただし、コーポレートファイナンスと違って何があるかというと、コストがかかります。さっきいいましたように、アドバイザーが必要になってきます。したがって、アドバイザーフィーを払わなければいけませんし、時間がかかります。シンジケーション運動をやっていきますから、審査の時間を要するようになってまいります。したがって、機動的ではありません。そこだけはご注意をいただけばと思います。



3.欧米におけるプロジェクトファイナンスの動向

 

 そのプロジェクトファイナンスのアメリカのケースであります。アメリカではどうなっているかというと、お手元の10ページと11ページをごらんください。アメリカの場合は、日本でいう地方債、一般債です。税金で償還をするという一般地方債については、これはすべからく住民投票の対象になっております。住民投票で決めるということであります。
 過半数もしくは3分の2以上の賛成がなければ、地方債は発行できないという仕組みをとっております。それはなぜならば、アメリカの地方税は、上限も下限も決まっておりません。アメリカで地方債を出すといったときに、税収に対して遡及をする一般債については、既に発行する段階で、その地方自治体がデフォルトしたときはどういうふうに再建をするかということが、最初の起債をするボンドの目録書の中にちゃんと再建計画が載っかっております。まず、市の職員の首を切る。あるいは不要不急の投資、列挙されています。例えば学校とか病院とか、ずっと列挙されていまして、その優先順に従って、新しい投資をさせないか、もしくは予算をカットするという再建計画つきのボンドを出すということになっております。
 昔、クリーブランドという町、大都市でありますが、ここがデフォルトしたことがございます。破産したんです。クリーブランド市が出した債券について償還ができなくなったというのがございました。そのときの債券はどういうことだったかといいますと、徹底的な歳出の削減ということでありますから、学校の窓が破れても補修ができない。あるいは警官の数を減らすということで治安が悪化するということを招きましたが、そういうことをやっていかざるを得ない。
 したがって、それを再建するためには地方税の増税ということになるわけです。連邦税、州税、地方税、それの増税ということになってまいりますので、住民の合意が必要だということになってくるわけであります。日本の場合は地方税については、上限と下限が設定されておりますから、その必要はないということでありますが、そういうことでありました。
 では、地方政府が資金を調達するときはどうするのかというと、ここに書いてありますレベニューボンドというのを出します。このレベニューボンドそのものが、ここに仕組み図が11ページに書いてありますが、これ自体がまさにプロジェクトファイナンスのスキームを使っているわけです。
 どういうことかといいますと、レベニューボンドというのは、やりますプロジェクトの上がり、そこからのキャッシュフローだけで返済をするというボンドになっているわけです。ノンリコースというのは、償還義務は事業収入だけということで、償還財源が特定されています。したがって、税収に対しては遡及をしないノンリコースという形になっているわけです。
 レベニューボンドというのがアメリカでは一般的になってきているということが11ページの表に書いてございます。事業ボンドというのは一般債、レベニューボンドというのが今申し上げたものです。州政府あるいは州設立の公社、市、郡直接、あるいは市、郡の公社といったところが発行主体ということになります。その資金使途はここに書いてあるとおりでありますが、教育とか、公共目的、医療、交通、住宅、ユーテリティーズ、それから経済開発といったところで使われておるわけであります。
 今申し上げましたように、なぜこういうことができるかといいますと、さっきいいましたように、アメリカでは既にそれぞれの自治体が格付を取得するということが一般的になっているからであります。ちなみに申し上げますと、大半の州の格付はAA以上ということになっております。80%がそういうことであります。
 もし、アメリカで地方政府が格付が取得できないということであれば、これまたきちっとでき上がっておりまして、地方債の保証する専門のファイナンス会社がございまして、手数料を払ってそこに保証してもらうということでボンドを出すことになってまりいます。ボンドが免税債という形をとっているわけです。利子収入に対して所得税、法人所得税といった、ここに書いてありますが、税金が免除されるということであります。免税債でありますから、アメリカの国債であります財務省証券も非常に有利な資産の運用ができるということであります。これを買っているのはどういうところかいいますと、ほとんどが年金ファンドであります。非常にかたい債券であって、その償還確率が非常に高いということもありまして、年金ファンドが買っている。

 

 これと同じことがどこかであるかなというと、我々の401Kというのがこれから出てまいります。401Kという新しい年金ファンドが日本にたくさんできてまいりまして、従来と何が違ってくるかというと、そういう年金ファンドの投資先のレベニューボンドが極めて有用になってくるということであります。
 ちなみに申し上げますと、PFIをやっていくときには、イギリスの場合、アンブレラ債という債券を出します。なぜアンブレラ債かというと、それぞれのプロジェクトは小さなプロジェクトであります。ボンドを出して直接金融市場から資金を調達しようといたしますと、それぞれが金額単位が小さいとコスト的に見合わなくなってくる。したがって、幾つかのプロジェクトをかき集めてきて、ある一定金額単位にいたしまして、それをセキュリタイズして市場で調達をする。ちょうど傘にぶら下がっているようなもので、アンブレラ債という言い方をいたします。そういう形で市場が柔軟に対応できる仕組みができ上がっているということであります。
 さっき、今金融ビッグバンが行われていると申し上げました。日本の金融機関云々という話をいたしましたが、プロジェクトファイナンスとかPFIをやっていく、あるいは、後で申し上げますが、REITをやっていくといったときには、今度は金融市場が多様性を持っている必要があるわけです。いろんな金融機関があって、いろんなファイナンス会社がある。そのファイナンス会社がいろんな金融商品を縦横に運用できる仕組みが必要なわけです。
 今我々の金融市場は非常に単一的、選択肢があまりない状態であります。それが例えば401Kという新しいファンドができ上がってくる。そうすると、そのファンドが運用すべき金融商品等が必要になってくるということの裏返しになるわけですが、市場の多様性が必要になってくる。アメリカであれば、もともとが金融市場が大変多様であったということで、それがいとも簡単に対応できたということであります。
 もう1つ重要な要素がございます。アメリカの場合、資金調達のやり方にTIF、タックス・インクリメント・ファイナンスというのがございます。これは何かといいますと、今のレベニューボンドの一変形だととられえればよろしいかと思います。今全米47州で採用されています。これから先こういうプロジェクトをやっていく上で参考になるかと思います。ここでは、ペンシルベニア州のTIFのプロジェクトが書いてございます。これは後で読んでいただければよろしいと思います。
 どういう仕組みになっているかといいますと、タックスがインクリメントですから、増加していく。固定資産税の増加分を償還財源にするというプロファイを使ったボンドであります。どういうことかといいますと、一番使いやすいのは低未利用地であります。例えば、東京のベイエリアの中に工場用地がたくさんございます。アメリカの場合は、州法で少しずつ違っているんですが、ごく大ざっぱにいいますと、低未利用地の評価は、固定資産税評価が極端な言い方をしますと、ゼロという評価をいたします。そこに民間企業に入ってもらって再開発をいたします。再開発をいたしますと、当然開発効果が出てまいります。そこにホテルを建てる、ショッピングセンターをつくるということになりますと、そこでは経済価値がぐっと上がるわけですから、固定資産税評価がゼロからぐっと上がっていくわけです。
 地方自治体はそこから税金を取ることができる。その税金を市が取るのではなくて、その税金をそのままボンドの返済財源に充てるという手法です。したがって、さっきのプロファイとよく似た手法だということがご理解いただけると思います。
 低未利用地の開発をしていくときに、マネジメントをしていくときに評価を著しく低くしておく。地域、ディストリクトの中の税金について、固定資産税の増加分については、一種の徴税権をそのプロジェクトの主体に与えてあげるということであります。そうすると、その資産税の増加分については、市に納めるのではなくて、償還財源に充てていけばいいということになってくるわけです。これが今アメリカで極めてはやっている方法でございます。
 批判もないわけではありません。どちらかというと、リベラルな州では批判的、保守的な州ではこれをどんどんやっていこうという色分けができるわけでありますけれども、少なくとも今全米47州でこれが採用されているということであります。
 こういうプロファイというのは、いろんなバリエーションを持ち始めるわけです。この仕組みさえきちっと確立できれば、今度は地方自治体のマネジメントの中でこういう仕組みが、もちろんいろんな制度を変える必要がございますけれども、可能になってくるということであります。極めて合理的です。
 それぞれがそれぞれのプロジェクトとか、それぞれの事業主体のリスク、オンリスクの中でやっていけばいいということになってくるわけであります。何もかも税金で賄うということではなくて、それぞれが独立採算的にプロジェクトを進めていくことができるようになってくるということであります。
 もう1つ重要なことがあります。それは何かといいますと、多分ダウンタウン再生なんかをやっていくときにもプロファイといわれるわけであります。
 ここはクリーブランドの例を載せておきました。アメリカでは、官民パートナーシップをやっていくわけであります。さっきいいましたように、このPFIとか、これから皆さんがお進めになっていくプロジェクトの遂行に当たりましては、パートナーシップが重要な要素になってきます。
 そのパートナーシップとは何かといいますと、このクリーブランドは、一たん破綻をした、破産宣言をしたとさっき申し上げましたが、クリーブランドの再生のときには、ここにありますように、クリーブランド・トゥモローという年商が3億ドル以上の大企業のCEOが50名集まりまして、クリーブランド再生のための組織をつくりました。ピッツバーグでいきますと、ベイフランクリンという組織ができ上がります。そこに大企業が集まってきて、町の再生に自分たちの持っているノウハウとか資金、人材を提供していく仕組みをつくっていくわけですが、同時に、クリーブランドにはクリーブランド・ファンデーションというコミュニティーファンドがあったわけです。どういうファンドかといいますと、財産の規模からいきますと、7億4000万ドル、日本円にいたしますと、約800億円という資産規模のファンドを持っているわけです。
 そこの運用益から毎年3000万ドル以上を、まちづくりのためのNPO、CDCが約40ほどございますが、そこに活動資金として与えたり、あるいはさっき申し上げましたいろんな再開発をやるときの最初のお金、初動資金をこのファンデーションが提供するという形をとっているわけです。
 実はいろんな欧米の制度を日本に持ってこようとするわけです。さっきのPFIもそうですし、ダウンタウンマネジメントでTMOとかTMCを持ってきますが、それもこのコミュニティーファンドが背景にあるということであります。
 イギリスでいきますと、ノッティンガムのTCMが事例でよく紹介されますが、ノッティンガムのTCMで活動されているのも、イギリスではチャリティーといわれていますけれども、やはりコミュニティーファンドであります。こういったものがダウンタウンの再生とか都市開発といったところに大きな役割を果たしているわけです。ですから、プロファイをやると同時に、その背景にあるコミュニティーファンドをもう1つ注目する必要があるということであります。
 13ページから15ページまでコミュニティーファンドについて書いておきましたので、後でお読みいただければと思います。



4.プロジェクトファイナンスの今後の動向と課題

 問題は、これから先ということになります。さっき申し上げましたように、プロファイの仕組みを十分熟知していけば、いろんなプロジェクトをうまくメーキングしていくことができるわけであります。
 プロジェクトの質がよければ、あるいはメーキングの仕方が適切であれば、それは従来と違って、実績がないから、あるいは親会社の保証がないからといったことで融資を断わられるということはないわけであります。
 ただし、このプロジェクトファイナンスをやっていくときに、銀行サイドの能力の問題が1つ大きな要素になると思います。日本の銀行、あるいは証券会社、生保も含めて、日本の金融機関でこういうプロジェクトファイナンスをどれだけできるかという問題であります。
 さっき、ビッグバンをやりますとウィンブルドン化が進むかもしれないと申し上げました。金融の考え方は徐々に世界のスタンダードに近づいていくということでありますから、ある意味では従来とは違った説明の仕方、あるいは従来と違った感覚のファイナンスということを皆さんは勉強する必要が出てくるわけです。問題は日本の銀行サイドにこういうマインドが割と希薄だということであります。依然として担保主義であったり、あるいはコーポレートファイナンス、さっきちょっと申し上げましたが、どうしても親会社、スポンサー企業の信用を当てにするという部分がございます。
 それは例えば、劣後債とか何かを出すことによって救済することができるのでありますけれども、基本的にそのマーケット自体がまだこなれてないということであります。したがって、しばらく時間がかかるとお考えください。外資系はなれていますから、そういう形。今私がメイキングをしているプロジェクトでいきますと、アメリカの投資家を中心としたプロジェクトでありますけれども、アメリカの投資家に対してきちっと説明していくためには、日本サイドのシンジケーションの組み方と、さっきのプロファイのスキーム、ストラクチャーファイナンスといいますが、ケイマンにつくったりします、それの是非が今問われているわけであります。
 17ページと18ページに「日米の不動産共同投資商品等の比較」というのを書いておきましたので、これも後でお読みいただきたいと思います。
 要は、プロファイというスキルが手に入ったといたしますと、この次は証券化ということが必要になってくるわけであります。不動産を証券化する。今私がやっていますアメリカのディベロッパーや投資家は日本に対する投資を切望しているわけです。投資をしたい。ただし、実物資産では持たないということであります。土地として保有する気はあまりございません。彼らは大体4年ぐらいで投資回収を考えていますので、何で持ちたいかというと、証券として持ちたいということになってきます。そうすると、次に必要なことは不動産の証券化ということになってくるわけであります。
 今度はSPC法が改正されまして、アメリカ並みのREITが可能になってまいります。不動産信託をしていくということになってきます。不動産信託については、基本的にこれから皆さんも勉強していくことになると思いますが、日本でも今幾つかREITの会社ができています。この問題についていいますと、時間がかかりますので、結論だけ申し上げますと、このREITは、アメリカの状況を19ページと20ページに書いておきましたが、日本のREITが玉がないといわれています。REITの対象になる不動産のいい物件が市場になかなか出てこないということであります。

 

 オールドエコノミーからニューエコノミーと冒頭申し上げました。なぜ、これを冒頭に説明する必要があったかといいますと、オールドエコノミーからニューエコノミーに移っていくときに、昔からある企業、オールドエコノミーに属しているような、どことは申しませんが、そういった企業は大手町とか丸の内に本社をお持ちになっているわけです。本当の意味でのリストラをやっていこうとすると、大手町に本社を持つとか、丸の内に本社を持つ必然性がない企業はたくさん残っているわけであります。そういった企業はだんだん入れかわっていくということになってくるわけです。
 最近少しずつ出てきますが、ベンチャー系の企業、情報系とかコンテツ系といわれている企業が丸の内に出てくる。逆に、昔からそこにいた企業がよそに出ていくということが行われるようになってくるわけです。
 そのときに、入れかえが行われていく、その中で持っている土地とか建物を証券化する動きが出てまいります。そのとき初めて、日本版のREITが出てくるということであります。ちょっと時間がかかりますが、日本版のREITは、使いようによっては大変おもしろいプロジェクトのメイキングの仕方ということになってまいります。
 アメリカの例をご参考にしていただきたいんですが、アメリカですと、ミルス・コーポレーション、サイモン、ウェストフィールド、チェルシーといったところが、主要な商業REIT、ショッピングセンターとかモールを中心として展開しているREITの会社でありますし、アメリカの場合はアップREITといいまして、REITの会社がREITを買収していく、M&Aして大きくしていくことが可能であります。当然ながら市場に上場いたします。
 その下がホテルのREITであります。アメリカの主要なホテルの大半はREITの所有になっているとお考えいただければよろしいかと思います。これを見ていただきますとわかりますように、ビジネスチャンスはたくさんあるわけであります。こういう仕組みさえ、市場との間でうまくトレードオフができれば、これ自体は不動産の市場と金融市場をドッキングさせているわけです。
 不動産を証券化するということはどういうことかといいますと、不動産の市場と金融市場のそれぞれが融合する、コラボレートするというところで初めてこのビジネスが成り立つわけであります。したがいまして、ちょっと時間がかかりますが、このREITがこれから先重要な要素になってくるということであります。
 プロファイというのは、単なるファイナンスの一類型だったわけですけれども、これをずっと進化させていくことによって、新しいビジネスを展開していくことができるようになってくるわけであります。そういった意味で、今申し上げましたような、アメリカ型みたいなものをひとつ研究していくのも、1つの手かなと思うわけであります。
 幾つかの例の1つですが、21ページにあります三菱地所の汐留のマンション分譲事業であります。これは不動産特定共同事業という事業手法を使うわけですが、ケイマンのSPCを使いまして、通常、マンションは建てて、分譲までは物すごく時間がかかるわけです。建てて売りに出すまでの資金の負担は、ここでいけば三菱地所が負担せざるを得ないわけですけれども、これを証券化いたしまして、直接市場から、開発初期の段階で資金を調達することができるということであります。
 要するに、小口化いたしまして、多数の投資家に先に売ってしまうということで、この事業をやることができるわけです。これはプロジェクトファイナンスの一やり方ですが、コーポレートファイナンスの限界を超えるという意味ではこういう手法が有用だという1つの例でございます。
 その次のページは、ジャスコのケースであります。ジャスコのショッピングセンターの事業であります。これはSPC法を使います。SPC法を使いました資金調達なんですが、東北と北海道、中部地区の5店舗の開設資金をやはりこのSPCを使って証券化してお金を集めてくるという手法でございます。これもプロファイということになってくるわけです。
 今事例で申し上げましたように、こういう仕組みを考え出していく、あるいは最初の事業のプランニングをしていく、企画をしていくときに、最初にこういうスキーム図を描けるかどうかというところが勝負になってくるとお考えください。
 ただし、誤解があってはいけないのは、事業採算性をとっていくというのは、単にスキルだけでできるわけではございません。当初のプランニングをするときの、特にイニシャルコストをいかに安くするかという努力が必要であることはいうまでもございません。
 よくありますのは、こういうスキームを使えば、あるいはインセンティブを与えれば、市場性ができる、市場性が増してくるというお考えの方が多々あるんですが、プロジェクト自体の基本原則は変わらないということであります。それがこれから先のプロファイを考えていくときの重要なポイントになってくるということであります。事業の性格自体は絶対変わらない、昔も今も変わらないということであります。いかにコストを安く上げるか、全体のランニングコストをどれだけ安く上げるか、メンテナンスフリーにできるかどうかという設計の妙といったものが重要になってくるわけであります。



5.補論

 きょうお話ししましたように、今プロジェクトファイナンスということが世間にいわれていて、これは何か新しいことができそうだなということは、きょう申し上げましたように、これをやることによって我々の選択肢がたくさんふえていくことになってまいります。
 それから、PFIをやっていく、あるいはSPC法で証券化をやっていく、あるいはこれから先地方の自治体のプロジェクトマネジメントをやっていくといったときには、このプロジェクトファイナンスという手法が大変役に立つということは、きょうご理解いただけたのではないかと思います。
 ただし、幾つか問題点がありまして、1つは、プロフェッショナルがいないということであります。私みたいな者がシンクタンクでやっておりますけれども、コンサルフィーをしっかり払うという癖をつけていただきたいということです。(笑)情報はただだ、ただほど高いものはないわけでありまして、きちっとした会計事務所あるいは税理事務所、弁護士というところときちっとやっていただく。そして、アドバイザー契約をやっていく。こういう話をすると、具体的な事例をというふうによくいわれるんですが、具体的な事例を申し上げられないんです。それは守秘義務がかかっております。
 私も幾つか手がけたことがありますが、非常に複雑なストラクチャーをつくっていきます。ケイマンに2つも3つもSPCをつくったりいたしまして、税のさやを取ったりするスキームを描き出していきますけれども、そのノウハウは私の頭の中にあるだけでございまして、それを公にいたしますと、あしたから飯の食いっぱぐれになるということで、これは絶対申し上げられません。
 重要なことは、プロがいないということ。今はプロを養成することが必要な時期でもございます。
 それから、今申し上げましたように、フィービジネスというところで新しい展開が出てまいります。私も端くれですけれども、ゼネコンとか設計事務所、会計事務所、弁護士事務所、あるいは金融機関もそうですし、シンクタンクもそうですが、新しいフィービジネスに展開をしていただく。これはPFIもそうだったと思いますが、PFIにするか否か。バリュー・フォー・マネーをどういうふうに捻出をするかどうかということについては、アウトソーシングをするのが通り相場だと思いますけれども、そういうことをフィーとしてきちっと適正に対価を払っていくことが必要になると思います。
 3点目には、金融機関の対応の仕方であります。これはまだ時間がかかります。いきなり銀行に行って、これをプロファイでやってくださいといっても、そう簡単にはいきません。そのためにはキーになる銀行を中心にいたしたシンジケーションの組み方をある程度習熟をする必要が出てきます。これはどちらかといえば、金融サイドの問題になってきます。
 4点目は、冒頭申し上げましたように、財政改革をやっていくプロセスの中でこういう問題が発生してくるということであります。さっき地方債の問題をお話しいたしました。それから、今度は逆にいうと、いろんな地方でやるプロジェクト、ダウンタウン再生とか、低未利用地の利用といったところでは、従来と同じような公的資金、補助金とか何かを当てにするのではなくて、プロジェクトの事業採算性で資金調達をしていくという独立採算的な手法が問われるようになってくるということであります。
 第三セクター問題についてもまだ総括をされておりませんけれども、従来の民活方式ではない新しいタイプの民活をやっていく必要があるということであります。
 それから、クリーブランドの例で申し上げましたように、パートナーシップという考え方が必要になってくるということであります。パートナーシップというのは、基本的にはイコールパートナーで契約に基づいたアングロサクソン的な契約社会に移行ということです。
 さっきのPFIもそうですが、こんな分厚いPFI契約が必要だと申し上げましたが、契約の概念を我々はしっかり確認する必要がある。プロファイをやるときもそうなんですが、リスクをどうやって消していくかというと、契約で消していくわけです。契約について、従来と同じような、日本の契約書でいきますと、最後に何か事が起こったら甲乙協議の上という一文を入れてすべて終わりにしていますけれども、そうではなくて、なぜこんなに分厚くなるかというと、項目ごとに1つ1つ消していくということが必要になってくる。どっちに責任所在があり、どっちが経済的な負担をするかという取り決めを事細かにやっていくことが必要になってくるわけです。
 そういったものがもろもろでき上がってくるとすれば、あとは市場に対してきちっと説明できる能力を身につけていくということであります。格付をするということは、例えば日本の国債は、今投資ではなくて投機といわれているわけです。日本の国債を買うことは投機だとアメリカの格付機関はそういう格付をしているわけです。そのときに宮沢大蔵大臣が、「あちらさんが勝手におやりになったことで」というふうにうそぶいておりましたが、それは全くの間違いでありまして、どんな格付をされたとしても、格付機関に対してきちっと説明をするということが必要になってくるわけです。アカウンタビリティーというのは別に行政だけが求められているわけではなくて、民間企業もそのアカウンタビリティーが必要だということであります。
 そういったことを積み重ねていくことによって、市場が健全にでき上がっていく。それを取り巻いている関係者がきちっとビジネスがやっていけるということになってくるわけであります。
 制度としていろんなものを導入をしてまいりましたが、まだ日本の中でそれがこなされているというわけではないわけです。そういうわけにはまいりません。やっぱり時間が必要であります。そういった意味で、あと何年か、5年もしくは10年ぐらいかけると、こういったきょう私が話したことがごく当たり前のこととして、皆さんが、そんなことあったのというぐらいに、ごく普通にマーケットの中で活動ができるということであろうと思います。
 そういった意味で、あまり時間がございませんが、アメリカの都市づくり、イギリスの都市づくり、ドイツの都市づくり、例えばPFIについていいますと、フランスのコンセッションというのが我々にとっては1つ大きな参考になります。それから、ドイツのファンドブリーフ債というのは、極めて日本によく似た仕組みでありますし、さっき申し上げましたコミュニティーファンドみたいなものをそれぞれ地方でつくっていくということも有用ではないかと思っております。
 よくよく考えてみますと、私どもは、PFIもそうですし、SPCもそうだし、NPO法もそうだし、あるいは中心市街地活性化法もそうなんですけれども、似て非なるものを一生懸命つくっているわけであります。そこの背景にあるもの、例えばさっきのコミュニティーファンドみたいなものはある程度目をつぶって、ある制度だけをこっちに持ってきて、日本でそれを運用しようとするわけです。
 ところが、さっきいいましたように、SPCを使った証券化というのは、REITという仕組みがなきゃいけない。REITがあったとしても、今度はアップREITという仕組みがなきゃいけない。REITが市場に上場したときに、今度は資本市場が活性化していなきゃいけない。いろんなものが関連してくるわけですけれども、それが1つ1つ単体でとっていっても、まだ未成熟なままというのが今日の日本の現状であろうと思うわけです。そういった意味で、もうちょっとだけ時間がかかる。時間をかけて我々がそれなりの努力をしていけば、いずれきちっとしたものができ上がってくるのではないかと考えております。
 あと、質疑応答の時間ということでありますので、私の話はこの辺で終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)



フリーディスカッション

谷口(司会)
 どうもありがとうございました。野口さんには、あまり細かいところに入らずに、総括的にお話をとお願いしたものですから、お話しにくかった面があるかもしれませんが、大変わかりやすくお話しいただいて、どうもありがとうございました。
 きょうお集まりの方の中には、今のお話のことについては勉強されている方もいらっしゃると思います。そういうこともいろいろ踏まえながら、ご質疑なりご意見がありましたら、ご発言いただきたいと思います。

角家
  建設会社OBです。きょうはどうもいろいろありがとうございました。特にプロジェクトファイナンスの動向の中で、講師はREITについて重点的にお話しになったように思いますが、今までの日本で、モーゲージとか、不動産の証券化といろいろありました。先生の資料を見ますと、信託化が主な内容、例えば、18ページの中ほどにありますが、このREITについて、プロジェクトファイナンスの中の位置づけ、今まで不動産の証券化、モーゲージに日本では関係がありましたが、特にREITはどこがどのように違って、どういう長所があり、どういう短所があるのか、今後の日本ではこれが根づいていくのかどうか、その辺のREITについてよろしくお願いいたします。

野口
 まずREITについてですが、今まで日本でやってきた不動産信託の手法については、大変制約があったわけです。
 1つは、SPCをつくっていくときに、もともとこれは不良債権の処理のためということで発案されたわけでありますから、これを不動産の証券化に運用していこうとしますと、制約がたくさんあったということであります。一番大きなのは、届け出とSPCの認可の間には物すごく時間がかかったということであります。市場の動向を見て、このタイミングでやろうというときに、届け出をして許認可を得るのに1カ月も2カ月もかかるということでは、機敏に市場に対応できないということもございました。
 これは、日本の場合はまだちょっと難しいんですが、REIT自体が大きくしていく、要するに、中にある不動産をどんどん入れかえをしていくということがまだ基本的にはそうフリークエントにできる状況にはないということであります。したがいまして、従来よりもREITしやすくなったけれども、アメリカ並にREITが今後でかくなっていくかというと、それはまだ若干の疑義があるということであります。
 それから、アメリカの例で申し上げましたように、この背景にあるのはやっぱりアメリカのバブルと考えてよろしいかと思います。最初のアメリカのREITのもとになったやつは、個人が持っているビルだったわけです。日本でもよくありますけれども、1棟だけビルを持っているオーナーがたくさんいるわけです。そういうオーナーたちのビルを買い集めていくという手法をとったんですね。それは証券化をして、オーナーたちに証券で渡して、上場された市場性のある証券を持って、オーナたちは次の投資に回していくという循環をつくることができたので、この市場が急速に拡大したということがいえるかと思います。
 日本の場合も、いわゆるビルのオーナーはたくさんいるわけです。それをどういうふうにマーケットの中に取り組んでいくことができるかどうかというのは、初動期のマーケットメイクのポイントじゃないかなと考えています。
 あとは、さっき申し上げましたように、いい物件が大量にこの世界に出てくるということが必要であろう。したがって、大手町とか丸の内にある優良物件が証券化されるという形で市場に出回るということがこのマーケットメイクには必要なことではないかという気がいたします。
 あとは、税制上の問題が若干ございますけれども、それはいずれ変わっていくのではないかなと考えております。

赤松(藤沢地区市民会議運営委員)
 きょうのご講演の中でも、人の育成ですとか、プロフェッショナリティーというご指摘があったわけでございますけれども、特に地域のそういったプロジェクトファイナンスとか、PFIの問題も含めて、REITの活用とか、そういった問題を考えたときに、当然外部の人にフィーを払ってかかってもらうということが欠かせないことではあると思いますけれども、それにしても、特に中心市街地の問題ですとか、そういった取り組みをするときには、地域にも、行政体にもある程度のプロフェッショナリティーとか、そういったものが求められて、さまざまなノウハウを持ったスピンアウトした人とか、プレーヤーが存在することが欠かせない。かつ、当然のことだと思いますけれども、彼らがアセットマネジメントのノウハウ、特にキャッシュフロー型の意識を持っていることは必要なんだろうと思いますけれども、そういったオープンシステムの前提となる状況、リスク提供できる状況の前提となる状況をつくるにはかなり時間がかかるように思うんです。徴税権のやりとりの話もありましたが、条件とめどというのをどんなふうにお考えになっているか、教えていただきたいと思います。

野口
 まず、人の養成には物すごい時間がかかるということはおっしゃるとおりでございますが、今銀行も随分リストラをやるわけです。そのスキルを持った方も世の中に大変存在しているわけです。端的にいうと、そういう人たちを地域社会でどんどん取り入れていく。例えば、ゼネコンにお勤めになっていた方、あるいは銀行にお勤めになっていた方をそういう形でリクルートしていくということが1つの条件ではないか。
 もう1つは、実は午前中は、東大の工学部の方で話をしてきましたが、アメリカの場合、イギリスもそうですが、基本的にはシングルループではなくて、ダブルループの形になっていて、大半が、学位を2つ持っているという形で市場で活躍されている方がたくさんいらっしゃるわけです。単一のスキルだけではこういう新しい複雑なマーケットでは対応できないわけでありますから、人材を育成するとすれば、建設会社にいた方が金融の勉強をしていく。あるいは金融をおやりになった方が、こういう新しいまちづくりとか、マーチャンダイジングとか、商業系の勉強をされていくということが必要になってくるんじゃないかなという気がいたします。
 ちょっと時間がかかりますが、それが普通なんだよと変わっていけば、ちょっとだけ希望が出てくるんじゃないかなという気がしています。
 あとは、さっき申し上げましたように、そういった活動に対して適正なフィーを払うということが必要だろうということです。今、例えばゼネコンのサービスであったり、銀行の情報サービスであったりして、ただでやってしまうということが余りにも多過ぎる。お金をかけなければマーケットはでき上がっていかないと考えています。

長塚(長塚法律事務所)
 土地について、評価が絶えず安定してないというか、景気の変動が激しいときはかなり問題があると思うんです。それと同時に、証券の流通というものと、税金との関係はどういうふうにするか、その辺ちょっとはっきりした方がいいんじゃないかと思いますが。

野口
 まず、土地の評価でありますけれども、土地の評価システムは変わらざるを得なくなります。これは不動産鑑定のやり方が変わってくる。例えば、こういうふうにお考えいただければよろしいんですが、オフィスビルがあって、その80%をA社がテナントで入っている。残りの20%が小口のテナントが入っているといたします。このA社が1部上場企業であったとします。その1部上場企業の格付がトリプルAだったら問題ないんです。ところが、この会社の格付が低いということになると、そのビルは80%をその企業が占めているわけですから、ある日突然この企業が出ていった。あるいは倒産をしたというリスクが発生する。従来ですと、大型のテナント、1社か2社、大口のテナントでビルを占めるということが評価になっていたわけです。逆に今度は1つのビルを幾つかの大口のテナントで占められるということは、それがいなくなったときにはリスクが発生するという評価の仕方に、ひょっとしたら変わっていくということであります。
 それから、もう1つ重要な要素で、我々がまだきちっとやってない部分は、土壌汚染の問題です。低未利用地をやっていくときに土壌汚染がなされているという土地についての評価は、さっきアメリカの低未利用地の話をいたしましたが、倉庫の跡地とか、工場の跡地の評価がゼロと申し上げたのは、実は土壌汚染との絡みがございます。仮に、土壌が汚染されているとすれば、その上には物が建たないわけでありますから、場合によっては評価は本当にゼロということになってまいります。
 そういうところが1つのルールとして定着していくということが、こういう開発をしていくときに重要な要素になってくるかと思います。ですから、不動産の評価の仕方は、ビルの場合も土地の場合も、少し変わっていかざるを得ないだろうという気がいたします。
 それから、証券の流通の問題ですが、これはさっき申し上げましたように、例えば我々の資産、60%が銀行預金になっているわけです。1300兆円といわれております、民間が持っているのは1200兆円ぐらいです。これがほとんど銀行預金になっています。それもほとんどが円建ての銀行預金です。そういった意味では、世界の銀行預金の大半は日本人が持っているといっても過言ではないわけです。
 そういった意味で、資産の運用の仕方が、例えば1000万円以上になりますと、ファンドマネージャーに委託をするということがこれから一般的になってきます。ただ、そういうマネジメントをする資格制度の問題とか、あるいはそれに手数料を払って運用してもらうという習慣がまだないわけです。それはどうしてかというと、我々の資産の運用の選択肢がまだ非常に限られているわけです。だけど、さっき申し上げましたように、市場が多様性を持ち始めるということになりますと、我々自身が金融商品を正確に理解できないということになってまいりますから、そのときは手数料を払って、そういうマネージャーに委託をしてしまうということが習慣化されていくということになってきます。
 あと、税金の問題ですが、これはいかんともしがたい。これは大蔵省、今度は財務省になりますが、要は、さっきのREITとは何かといったら、税金を払わないということです。非課税にするときに妙味があるわけです。なぜREITなのかというと、税の繰り延べをある意味では半永久的に認めるということです。証券化していって、SPCをつくってやっていくわけですから、そういった意味では税を払わないで済む。税引き後で考える必要はないというところに妙味があるわけです。
 ただし、昔レバレッジド・リースをやったときの経験があるんですが、レバレッジド・リースをやったときに、あれは、法定耐用年数と実際の耐用年数の差をとって、それを使ってリースの妙味を出すという手法だったんですが、これですら大蔵省はだめだといったわけです。脱税行為だといったわけです。ですから、その辺の税の運用と、実際のマーケットの動きといいますか、マーケットを育てるということの間にある種のマネジメントがなければできないんじゃないかという気がしているわけです。
 ですから、REIT、REITといっていますけれども、それが本当にきちっとしたマーケットができ上がって、適正に運用されていれば問題ないと思いますが、中にはマネーロンダリングに使う人も出てくるでしょうし、好ましからざる人たちが、このREITの市場を悪用する人が出てくるでしょう。そうしたときに、我々がどう反応するかということは重要な要素になってくると思います。
 ですから、レバレッジド・リースのときには、クロスボーダーで航空機の第三国へのリースをやっているときに、たまたまそれをおやりになっていた方がラスベガスで大損をこいて問題になったために、国会で取り上げられて、レバレッジド・リースについて制限が加わったということがありました。
 実はレバレッジドリースというのは、国際金融市場の中ではごく普通に行われていたものです。ところが、日本だけがそれを閉ざしたということで、金融市場の中では大変大きな問題になったことがあるんです。そういった意味では、国税当局もある種の国際のスタンダードとはどこにあるのかということが、逆に必要になってくると思います。
 ここだけの話ですが、マスコミがもう少し勉強していただきたい、こういうことであります。

伊藤(リョーワ)
 2つあります。1つは、先生は、リスクの問題で、契約書はこれだけ厚いとなると、弁護士さんの立場が非常に大切になってくる。日本においては、東京近辺はそういう弁護士さんが多いと伺っていますが、地方に行くとなかなかいらっしゃらない。この辺の養成に時間がかかるという問題。そうすると、外国の弁護士が日本に来られておやりになるのかということの質問が1つ。
 あと1つは、日本で今幾つかPFIが進行中でございますが、漏れ伺うところによりますと、いわゆるSPCの方がリスクのための弁護士費用を負担しているように私は感じているんです。この辺のところは外国ではどういうような案分で、金融の方と、行政側といいますか、そういう方と、SPCの割合といいますか、この辺がどうなっているのかということをご質問したいんですが。

野口
 まず、後半の方の弁護士費用とか、もろもろの費用ですが、これはどちらかといえば、SPCが負担する。プロジェクトカンパニーが負担をするというのが基本原則です。ただしケース・バイ・ケースで違っている。ですから、スタンダードがつくれないということであります。
 それから、前半の方の弁護士ですが、地方に行きますと、一番若い弁護士が40幾つというところがたくさんあるわけでありまして、若手の弁護士がいないということもあって、なかなか難しいんでありますが、かといって、日本弁護士会が外国の弁護士資格を持っている人を入れるという話もあまり聞いておりませんので、ここは多分市場にゆだねるしかないのかなという気がいたします。
 ただ、今ロースクールの問題ですとか、弁護士を大量に養成しようという動きが一方にありますので、逆にいえば、これからはそういう若い弁護士が大量にふえて、その人たちが東京で食えないですから、地方におりていくということはあり得るかなという気はしておりますけれども、この問題はちょっとわかりません。

谷口
 先ほどちょっと触れられましたコミュニティーファンド、きょうコメントの中にもちょっとありますので、そこを少しご紹介いただくのと、それの、日本でのこれからの可能性とか、条件、その辺も含めて少しお話しいただきたいと思います。

野口
 コミュニティーファンドとはどういうものかといいますと、大半が遺贈です。こういうふうにお考えいただければよろしいんですが、今全米で370ぐらいのコミュニティーファンドがあります。例えば私が死ぬといったときに、遺言で、私の出身が熊本市でありますから、熊本市に私の財産を寄附をするということになるわけですが、そのときに私はたかだか100万円しか寄贈できない。100万円を受け取った自治体は困るわけです。コミュニティーファンドって、どうなっているかというと、全部小口というわけじゃないんですが、小口の、ただしそれは遺言で資金の使途について指示をしているわけです。例えば、私の場合ですと、福祉に使ってほしい。そういったもろもろの小口のたくさんの寄附を1つのファンドの中にまとめ込んでいくというのがコミュニティーファンドの考え方だとお考えください。
 なぜ、そうしているかというと、100万円だとか200万円の小口の寄附をそれぞれ単独で運用するということは事実上不可能なわけであります。それを大きなコミュニティーファンドというくくりの中に入れてしまいますと、金額がでかくなりますから、それだけ運用もしやすくなりますし、運用のコストも安くなるということで、こういう仕組みをとっているわけです。
 プライベートファンドとコミュニティーファンドという分け方をしまして、ゲッティーとかカーネギーメロンとかいう財団は、これはプライベート財団です。もちろんそこから出てくるお金もありますけれども、もろもろのやつを集めていったのがコミュニティーファンドだとお考えいただけばよろしいです。
 これは基本的に各都市で大なり小なりファンドがございまして、さっき申し上げましたように、いろんなプロジェクトだとか、NPOの活動に支援をしているといいます。日本でNPO法ができたんですが、向こうでなぜNPOというのがあんなに活動できるんだろうと調べていたときに、このコミュニティーファンドに行き当たったわけです。
 さっきクリーブランドの場合ではCDCといわれているBIDとかCIDといわれているようなまちづくりの組織がありますけれども、そういったところの活動資金は、そういったコミュニティーファンドから助成金が出されているということであります。
 日本の場合は、税務上、例えばこういうことが今問題になってきているわけです。ここ10年間ぐらいの上場した企業を調べていきますと、6割ぐらいが地方の企業なんです。東京とか大阪の企業は4割ぐらいです。大半が地方で創業して大きくなっていって上場を果たしたという企業なんです。たまたま私の知っている企業がございまして、その企業は今の会長のときに上場を果たした。そのオーナー社長であります会長は創業者利得を得るわけです。自分の持っている株が評価されるわけですから、大変な資産家になります。ところが、彼が亡くなると、その未亡人は、何十億という相続税を払うわけです。その企業は地方で創業したわけで、地方の経営資源を使って大きくなった会社であります。ところが、相続税は全部国税で国へ行ってしまう。これを何とか地方に残せないものか。
 調べてみますと、イギリスで選択納税制というのがあるわけです。イギリスの場合は、亡くなりますと、相続税が発生します。これは日本と一緒です。その相続税については、イギリスも国税ですから、相続税として国に納めるか、もしくは相続税相当分を地元のファンドに寄附をするかという選択ができる仕組みになっているわけです。
 さっき申し上げましたように、地方が何かをやりたいと思ったときに、資金的な裏づけが、今の仕組みでいきますと、ほとんどが補助金とか国の信用を当てにする仕組みになっているわけです。それをみずからの資金で賄っていく仕組みがどうしても必要になってくるだろうということで、このコミュニティーファンドというものをぜひやってみたいし、皆さんもぜひ考えていただきたいと思っているわけです。
 声を大にして、地方からいっていくべきでありますし、地方で財をなしたわけですから、その財は地方に還元されるべきだ。国に持っていかれますと、その地方にはおりてくるわけではないということであります。

谷口
 ありがとうございました。
 きょうは野口さんから、プロジェクトファイナンスについて幅広いお話を頂きました。
 このフォーラムは今年はこれで終わりです。来年からはいよいよ新しい世紀に入りますが、これからもよしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。(拍手)


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