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 第10回NSRIフォーラム
『建築を使い続けることの大切さについて
                 
~近代建築の保存・再生を中心に』

2013年11月20日(水)
NSRIホール
講師:花田 佳明氏 (神戸芸術工科大学 環境・建築デザイン学科教授 )
ファシリテータ:林和久(日建設計上席理事)

花田佳明氏

花田佳明(はなだ よしあき)氏
神戸芸術工科大学環境・建築デザイン学科教授
1956年 愛媛県生まれ。1982年 東京大学大学院・工学系研究科建築学専攻修士課程修了。1982年~1992年 日建設計。1992年~1997年 神戸山手女子短期大学講師・助教授。1997年 神戸芸術工科大学芸術工学部環境デザイン学科助教授。現在 同大学デザイン学部 環境・建築デザイン学科教授、博士(工学)。
2011年 日本建築学会教育賞(教育貢献) 2012年 日本建築学会賞(業績)「戦後木造モダニズム建築としての八幡浜市立日土小学校の保存と持続的活用」 2012年 ワールド・モニュメント財団/ノール モダニズム賞
著書は、『再読/日本のモダンアーキテクチャー』(共著、彰国社、1997年) 『植田実の編集現場』(ラトルズ、2005年) 『建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム』(鹿島出版会、2011年) 等

歴史的な時間の蓄積のある建物は、現代生活の器として豊かな空間となる可能性を秘めている。
また都市景観においては、人々と地域に安らぎと潤いを与えるものとなる。
花田佳明・神戸芸工大教授より、国際的な賞を贈られた愛媛県八幡浜市立日土小学校の保存・再生の取り組みについて紹介いただき、日本やオランダの近代建築の保存・再生事例についても紹介していただく。また、日建設計の保存・再生プロジェクト事例についても言及される。      (ファシリテーター:林 和久)


目次

【1】近代建築の保存の難しさと必要性                   
【2】ドコモモ(DOCOMOMO)という活動                 
【3】オランダにおける近代建築の保存・再生事例             
【4】八幡浜市立日土小学校の保存再生                   
【5】松村正恒という建築家                        
【6】日土小学校の保存再生の位置づけ                   

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木村 大変長らくお待たせいたしました。ただいまより第10回NSRIフォーラムを開催いたします。本日は、お忙しい中、お越しくださいまして、まことにありがとうございます。
本日のファシリテーターは、日建設計上席理事・林和久でございます。よろしくお願いいたします。

 今日の案内役の林でございます。よろしくお願いします。先ほど音楽が流れておりましたが、あの音楽はロンドンを拠点に活躍しておりますドーリック弦楽四重奏団のブラームスの弦楽四重奏第一番ハ短調です。なぜここで流したかと言えば、この音楽は大阪のいずみホールというホールで収録されたのですが、このホールを設計されたのが今日の講師の花田佳明先生です。日建設計に在籍された時に設計されました。
花田先生のご略歴を簡単にご紹介申し上げます。1956年、愛媛県にお生まれになり、1982年、東京大学大学院・工学系研究科建築学専攻修士課程を修了され、その年に日建設計に就職されました。いずみホールや松江のブラバホールの設計をされ、その後、1992年から神戸山手女子短期大学助教授等を経られまして、1997年から神戸芸術工科大学芸術工学部環境デザイン学科の助教授、そして現在は、同大学の環境・建築デザイン学科の教授、工学博士でいらっしゃいます。
主な著書といたしましては、『建築家・松村正恒ともうひとつのモダニズム』という本がございます。これは先生のドクター論文を書籍化したものです。もうひとつ、非常に興味深い注目の本として、『植田実の編集現場』もございます。
2011年、日本建築学会教育賞、2012年、日本建築学会賞を受賞されました。これは今日のテーマの「戦後木造モダニズム建築としての八幡浜市立日土小学校の保存と持続的活用」という業績での受賞です。また、2012年、ニューヨークに本部があるワールド・モニュメント財団の世界的な賞、ノールモダニズム賞を、この日土小学校の保存と再生にかかわられたチームとして受賞されています。そして、ドコモモインターナショナルから今年、Architectural Heritage Conservation Awardを受けられました。
今日は、ご案内のとおり、「建築を使い続けることの大切さについて~近代建築の保存・再生を中心に」というテーマでお話しいただきます。
私はこの春、桜が満開のころに、兵庫の自宅から車を飛ばして、愛媛県八幡浜市の日土小学校に行って参りました。この小学校は、本当にすばらしい山懐の小川のせせらぎの横に建っています。季節もよかったこともあるかもしれませんが、桃源郷というのはこういうことを言うのかなと、しみじみとした感慨を持ったことを今でも鮮明に記憶しています。歴史的な蓄積を大切にされた花田先生たちの保存と再生へのクリエイティブなご努力によって、子どもたちが生き生きと生活するすばらしい学び舎になっています。
去年の12月に、日土小学校は文化庁から国の重要文化財に指定されました。戦後建築としては4番目。ほかは丹下健三さんの広島平和資料館、村野藤吾さんの広島の平和記念聖堂、ル・コルビジェの上野の西洋美術館です。それに次ぐ4番目であり、しかも、愛媛県八幡浜市という小さな町の、松村正恒というあまり知られてない、かつ戦後の木造小学校が国の重要文化財に指定されたというのは画期的なことと思っています。
前口上はこのくらいにいたしまして、花田先生にご講演をお願いします。よろしくお願いいたします。

 

 

 

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