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 第15回NSRIフォーラム
 
実効ある防災まちづくりへの指針
我々は首都圏の都市基盤整備にどう取組み、どう連携すべきか

2014年4月16日(水)
NSRIホール
講師:笠原勤氏 (国土交通省都市局都市安全課長 )
   大佛俊泰氏(東京工業大学大学院情報理工学研究科教授)
ファシリテータ:岡田亭嗣(日建設計シビル取締役施設設計部門統括)

笠原 勤(かさはら つとむ)氏
国土交通省 都市局 都市安全課長
1957年 東京都生まれ。1981年 東京工業大学工学部土木工学科卒業。
同年 建設省入省、2003年 都市・地域整備局都市計画課都市交通調査室長、2005年 富山市助役(富山ライトレール株式会社代表取締役副社長)、2008年 独立行政法人都市再生機構業務第1部次長、2011年 春日部市副市長、2013年より現職。
都市安全課は、災害に強いまちづくりを推進するために、政策の企画・立案等に取り組むとともに、地方公共団体が行う都市防災対策、東日本大震災をはじめとする災害からの復旧・復興等に対して支援を実施している。

大佛俊泰(おさらぎ としひろ)
東京工業大学 大学院情報理工学研究科 教授
1962年 三重県生まれ。1988年 東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻(博士課程中退)。1988年 東京工業大学工学部 助手、1993年 東京工業大学工学部 助教授、2007年 東京工業大学大学院情報理工学研究科 准教授、2011年より現職。
専門分野;建築計画学、都市計画学、地理情報科学、情報環境学
2010年 日本建築学会賞(論文)、2012年、2013年Association of Geographic Information Laboratories in Europe 最優秀論文賞を受賞。
大規模な時空間データベースと数理モデルを活用して、都市・地域・人間行動に潜在する法則の解明を試みてきた。近年は、首都直下大地震を想定した地域防災計画のための基礎研究として,徒歩帰宅行動や広域避難行動などに関する数値シュミュレーション分析を試みている。

東日本大震災から3年。昨年末には国土強靭化基本法が成立、首都直下地震の新被害想定も公表される等、首都圏の防災街づくりは新たな局面を迎えつつあります。
本フォーラムでは、講演者にこの分野のリーダーである笠原勤・国土交通省都市安全課長並びに大佛俊泰・東京工業大学教授を迎え、それぞれのお立場から防災街づくりの最新動向をご紹介戴きます。加えて講演に基づき、首都圏(特にターミナル駅周辺や広域避難経路)の実効ある防災街づくりのために、官・学・民(事業者・計画者)が連携して取組むべき都市基盤整備上の課題、指針について議論、共有したく思います。
(ファシリテーター 岡田亨嗣)

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井上 それでは、定刻になりましたので、第15回NSRIフォーラムを開催いたします。本日は、お忙しい中をお越しいただきまして、まことにありがとうございます。
本日のファシリテーターは、日建設計シビル取締役施設設計部門統括岡田亨嗣でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

岡田 皆様こんにちは。私はただいまご紹介いただきました岡田でございます。本日はよろしくお願いいたします。
それでは最初に、本日ご講演いただきますお2人のご紹介をいたします。皆様から左側は、笠原勤国土交通省(以下、国交省とする)都市安全課長でいらっしゃいます。
笠原 よろしくお願いいたします。
岡田 右側は、東京工業大学の大佛俊泰教授でございます。
大佛 大佛です。どうぞよろしくお願いいたします。
岡田 お2人には、年度初めのご多用な中、この講演に参加いただきまして、大変ありがとうございます。皆さんの拍手でお迎えしたいと思います。(拍手)
本日の次第ですが、私のほうからまず10分ほど本日のフォーラムの目的や、私が所属しております日建シビルの紹介をさせていただきます。その後、笠原課長、大佛教授のほうから、防災街づくりに対して、それぞれの立場から講演いただきたいと思います。
その後20分ほど会場の皆様からご質問を受ける形でディスカッションをさせていただきたいと思います。3時から始めまして2時間の内容でございます。よろしくお願いいたします。
最初にお願いでございます。今、都市防災というのは非常に注目を集めるテーマでございますし、その内容については、ある意味で誤解を受けやすいテーマでもあると思います。今日ご講演いただきますお2人から忌憚のない、あるいは言い方を変えますと、この場でしか聞けないようなお話をいただくためにも、会場でSNS等から情報発信するということについては、ご遠慮いただきたいと思います。本日のご講演内容につきましては、後ほどフォーラムの掲示板に議事録がアップされる予定でございますので、そちらをごらんいただきたいと思います。

続きまして、本フォーラムの主眼、目的、について簡単にご説明いたします。ここに書いてございますように、東日本大震災から3年を迎え、昨年末には国土強靭化基本法が成立いたしまして、この3月末には、この後笠原課長からのご説明の中にも出てまいりますけれども、首都直下地震緊急対策推進基本計画(案)といったものも出てきているということで、防災計画そのものも、これまでの緊急対処的な段階から抜本的な局面に入ってきているといえます。
そこで、今日は、国の防災行政の立場、大学で防災に対しての学問的な立場で研究を進めていらっしゃるそれぞれの立場から、防災街づくりに関して最新の取り組みとか課題といった点について、まず話題提供をいただきたいと思います。その後、先ほど申し上げましたディスカッションでございます。テーマそのものは非常に広範でございますが、本日は、できれば首都圏、特にターミナル駅とか、広域の避難経路といったものを対象にして、都市基盤整備上の課題あるいは整備の方針、特に我々が、官・学・民の連携の中でどういったことに取り組んだり、ものを考えていかなければいけないかというあたりについて、議論をしたいと思います。
(図1)
次に、ちょっと手前みそながら、私どもの日建設計シビルという会社をご紹介させていただきます。
日建設計シビルは、その名前のとおり、日建グループの中にございまして、土木設計を担っている会社でございます。2001年に分社、独立いたしまして、ことしで14年目でございます。日建設計という大きな建築の組織の中に、私どものような土木の組織がいるということも珍しゅうございますが、逆に、それでありますからこそ、今日テーマにしておりますような都市防災といったものを、都市、建築、土木といった広い領域で語ることもできるし、ご提案もできると考えております。
(図2)
私どもがどんな仕事をしてきているかということは、後ろにパネルを用意しておりますし、お手元のリーフレットにも同じものを用意してございます。私どもが得意とする領域の1つは、ここに示しておりますような地下街でございます。
(図3)
これは日本の地下街の累積延べ床面積を時系列で示したものです。1980年以降、日本の地下街は、川崎のアゼリアから始まっていろいろございますが、それの約90%を私どもが関係させていただいているわけでございます。シビルは地下に関する業務分野に非常に強い会社だということがまず言えます。
(図4)
同じく駅前広場も、私どもの得意な分野の1つでございます。1980年以降、日本の新幹線駅あるいは地方中心都市のターミナル駅を担当させていただいております。
この2つをつなぎ合わせて考えていただくとわかりますけれども、駅前広場、地下街というのは、都市防災、防災街づくり計画と非常に密接に関係しておりまして、私どもも、防災に関しての関心を常に持って設計業務に当たっているということが言えます。
(図5)
これは、私どもが日建設計と共同して防災関連の業務をどういう形で進めているかということを示しております。通常の耐震設計とか耐震改修といった業務はもちろん、東北における面整備に対する設計にも取り組んでおりますし、地下街、地下空間の安全調査、いわゆる都市安全確保計画、大規模ターミナルの避難、誘導にかかわる計画に対しても、担当させていただいております。本日ここで防災をテーマに掲げるということは、私どもの仕事をレビューし、これからどうするかということも当然絡みますけれども、この機会をうまく活かして、参加者の皆様にとっても、防災そのものをレビューしながら、次にこの問題をどういうふうに捉えていくかという場にもしていただきたいと思って企画したということでございます。
前置きが長くなりましたけれども、最初の講演者でございます笠原課長をご紹介いたします。
(図6)
笠原課長は、国の街づくり防災計画のリーダー、かなめでいらっしゃいます。長く都市行政、交通行政にかかわっておられまして、この分野のまさにエキスパートであります。今日は、最近の国の新しい施策、基本計画の内容についてはもちろん、それを具体化していくためにはどういう点が課題なのかということについても、やや踏み込んだ形でお話をいただければ大変ありがたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

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