井上 それでは、定刻になりましたので、第15回NSRIフォーラムを開催いたします。本日は、お忙しい中をお越しいただきまして、まことにありがとうございます。
本日のファシリテーターは、日建設計シビル取締役施設設計部門統括岡田亨嗣でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
岡田 皆様こんにちは。私はただいまご紹介いただきました岡田でございます。本日はよろしくお願いいたします。
それでは最初に、本日ご講演いただきますお2人のご紹介をいたします。皆様から左側は、笠原勤国土交通省(以下、国交省とする)都市安全課長でいらっしゃいます。
笠原 よろしくお願いいたします。
岡田 右側は、東京工業大学の大佛俊泰教授でございます。
大佛 大佛です。どうぞよろしくお願いいたします。
岡田 お2人には、年度初めのご多用な中、この講演に参加いただきまして、大変ありがとうございます。皆さんの拍手でお迎えしたいと思います。(拍手)
本日の次第ですが、私のほうからまず10分ほど本日のフォーラムの目的や、私が所属しております日建シビルの紹介をさせていただきます。その後、笠原課長、大佛教授のほうから、防災街づくりに対して、それぞれの立場から講演いただきたいと思います。
その後20分ほど会場の皆様からご質問を受ける形でディスカッションをさせていただきたいと思います。3時から始めまして2時間の内容でございます。よろしくお願いいたします。
最初にお願いでございます。今、都市防災というのは非常に注目を集めるテーマでございますし、その内容については、ある意味で誤解を受けやすいテーマでもあると思います。今日ご講演いただきますお2人から忌憚のない、あるいは言い方を変えますと、この場でしか聞けないようなお話をいただくためにも、会場でSNS等から情報発信するということについては、ご遠慮いただきたいと思います。本日のご講演内容につきましては、後ほどフォーラムの掲示板に議事録がアップされる予定でございますので、そちらをごらんいただきたいと思います。
続きまして、本フォーラムの主眼、目的、について簡単にご説明いたします。ここに書いてございますように、東日本大震災から3年を迎え、昨年末には国土強靭化基本法が成立いたしまして、この3月末には、この後笠原課長からのご説明の中にも出てまいりますけれども、首都直下地震緊急対策推進基本計画(案)といったものも出てきているということで、防災計画そのものも、これまでの緊急対処的な段階から抜本的な局面に入ってきているといえます。
そこで、今日は、国の防災行政の立場、大学で防災に対しての学問的な立場で研究を進めていらっしゃるそれぞれの立場から、防災街づくりに関して最新の取り組みとか課題といった点について、まず話題提供をいただきたいと思います。その後、先ほど申し上げましたディスカッションでございます。テーマそのものは非常に広範でございますが、本日は、できれば首都圏、特にターミナル駅とか、広域の避難経路といったものを対象にして、都市基盤整備上の課題あるいは整備の方針、特に我々が、官・学・民の連携の中でどういったことに取り組んだり、ものを考えていかなければいけないかというあたりについて、議論をしたいと思います。
(図1)
次に、ちょっと手前みそながら、私どもの日建設計シビルという会社をご紹介させていただきます。
日建設計シビルは、その名前のとおり、日建グループの中にございまして、土木設計を担っている会社でございます。2001年に分社、独立いたしまして、ことしで14年目でございます。日建設計という大きな建築の組織の中に、私どものような土木の組織がいるということも珍しゅうございますが、逆に、それでありますからこそ、今日テーマにしておりますような都市防災といったものを、都市、建築、土木といった広い領域で語ることもできるし、ご提案もできると考えております。
(図2)
私どもがどんな仕事をしてきているかということは、後ろにパネルを用意しておりますし、お手元のリーフレットにも同じものを用意してございます。私どもが得意とする領域の1つは、ここに示しておりますような地下街でございます。
(図3)
これは日本の地下街の累積延べ床面積を時系列で示したものです。1980年以降、日本の地下街は、川崎のアゼリアから始まっていろいろございますが、それの約90%を私どもが関係させていただいているわけでございます。シビルは地下に関する業務分野に非常に強い会社だということがまず言えます。
(図4)
同じく駅前広場も、私どもの得意な分野の1つでございます。1980年以降、日本の新幹線駅あるいは地方中心都市のターミナル駅を担当させていただいております。
この2つをつなぎ合わせて考えていただくとわかりますけれども、駅前広場、地下街というのは、都市防災、防災街づくり計画と非常に密接に関係しておりまして、私どもも、防災に関しての関心を常に持って設計業務に当たっているということが言えます。
(図5)
これは、私どもが日建設計と共同して防災関連の業務をどういう形で進めているかということを示しております。通常の耐震設計とか耐震改修といった業務はもちろん、東北における面整備に対する設計にも取り組んでおりますし、地下街、地下空間の安全調査、いわゆる都市安全確保計画、大規模ターミナルの避難、誘導にかかわる計画に対しても、担当させていただいております。本日ここで防災をテーマに掲げるということは、私どもの仕事をレビューし、これからどうするかということも当然絡みますけれども、この機会をうまく活かして、参加者の皆様にとっても、防災そのものをレビューしながら、次にこの問題をどういうふうに捉えていくかという場にもしていただきたいと思って企画したということでございます。
前置きが長くなりましたけれども、最初の講演者でございます笠原課長をご紹介いたします。
(図6)
笠原課長は、国の街づくり防災計画のリーダー、かなめでいらっしゃいます。長く都市行政、交通行政にかかわっておられまして、この分野のまさにエキスパートであります。今日は、最近の国の新しい施策、基本計画の内容についてはもちろん、それを具体化していくためにはどういう点が課題なのかということについても、やや踏み込んだ形でお話をいただければ大変ありがたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 |