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1.井形慶子自己紹介とともに、なぜイギリスという国に魅力を感じるのか

2日本人とイギリス人の住まいに対する価値観の違い。なぜ古家は壊されるのか? イギリス人はどんな家に価値を感じるのか?など。

3. 井形慶子が、住みたい町、No1の吉祥寺に500万円の老朽物件を購入し、300万円でフルリフォーム。ロンドン風フラット完成。

5. イギリスで売り家になっている魅力的な家。(借地権999年の古城、
湖が見えるコッツウォルズの古城)

7. 家づくりとは、住まいに命を吹き込む作業



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(図22)
こちらです。イングランドとスコットランドの境にありますボーダー地方ですね、そこにある古城でございます。集合住宅ですが、16世紀に建てられたお城です。このどこが集合住宅かという話になりますが、実はこのすべてが集合住宅なんですね。
 イギリスの住宅事情をお話ししますと、先程私は、イギリスでは95%以上の人が古い古い家に住んでいると言いました。それは必ずしも住宅の形態をとってない家なんです。例えばこのような古城であったり、元警察署、元小学校、元病院、あるいは灯台、水車小屋、何でもありなんですね。
私が集合住宅と言われて飛びつきました。業者のチラシによりますと、ルーフバルコニーつきの1LDKとあります。ルーフバルコニーってどこかといいますと、ここなんですね。ルーフバルコニーつき1LDK。
このお城、実は16世紀に建てられた古城なんですけれども、戦の激しかった時代で、壁厚たるや、大変なものなんです。この中の100室以上あるお部屋を、イギリスでは各住戸に区切るんですね。2LDKだったり、1LDKだったりというふうなつくりにしまして、内廊下をつけて、各住戸の玄関をつけて、再販するわけです。現在、30世帯が住んでおられます。
このルーフバルコニーつきの1LDKの私が飛びついた家の、価格なんですが、私が何故買おうと思ったかと言いますと、自分に手が届く価格だったんですね。当時のレートで5000万円ちょっとです。所有形態なんですが、これは所有権ではなく、借地権です。借地権と申し上げておりますが、期限つきでございます。借地期間は何年かと言いましたら、999年なんです。999年ということは、10世代が住み継がれる。つまり、何かの形で所有権にできないけれども、永遠に住んでいいですよというような、そういう1LDKのフラットなんですね。
(図23)
中をもう一度ご覧いただきたいと思うんですが、これが私が買おうとしていた住戸のルーフバルコニーでございまして、各住戸の入り口というのはこのように内階段とか内廊下で結ばれております。 ルーフバルコニーは、ドラキュラの映画に出てくるような古い古い石造りのらせん階段
が中を回っていまして、そこを身をすぼめて上がっていくと、バルコニーなんですよ。
(図24)
昔のお城ですから、大砲なんかが飛んできても、爆弾が飛んできてもびくともしないようにこの壁の厚さというのがすごいんですね。業者さんからは、いまだかつてないほどの高気密高断熱住宅といわれたんですけれども、ちょっとご覧いただけますでしょうか。このくらいの壁厚がありまして、イギリス人はこういう住宅を、趣がある、素晴らしい家だというふうに絶賛して買うわけです。
私は、家族にも相談しました。余りにも舞い上がっていたもので、家族もよく事情がのみ込めないまま、いいだろうということですぐに申し込みを入れたんですけれども、そのとき既に先約が入っておりまして、泣く泣く諦めてしまいました。
その後もずっと後悔したんです。こういう素晴らしいフラットには、二度とめぐり会えないだろうなと思っておりましたところ、昨年、今日本でイギリスの中でも大人気のコッツウォルズ地方に売り物件を見に行った時、素晴らしいマンションを見つけました。カントリーハウスなんです。
(図25) これ、実は今もまだ販売中です。皆さん、イギリスに行かれましたら、集合住宅、マンションといわれても、侮ってはいけませんよ。何が出てくるかわかりませんからね。
これはコッツウォルズの元貴族が住まわれていたカントリーハウスでございます。すごいですね、この外観。カタログを見ました時に、ゲスト用の駐車場が80台使用可と書いてあったので、80人も車を運転して、ここを買っても遊びに来ないだろうななんて私、思っていたんですけれども、現地に行ってみて納得しました。
共有庭つきと書いてあったんですね。1LDKのこのカントリーハウスなんですけれども、共有庭ってどんな庭だと思いましたら、トラクターを運転した庭師が2人ばかり、庭をほじくっていまして、そのはるか向こうに湖が見えるんですね。それがすべて共有庭なんです。すごいなと思いました。
(図26)
入り口から入っていってみましょう。1LDKの住戸でございますが、なんと円高の恩恵を受けまして、現在、まだ販売されておりますけれども、販売価格が2000万円でございます。
これは共有部分の廊下、階段ですね。 (図27)
そして、イギリスの面白いところは、このような古い古いカントリーハウスですけれども、中だけは近代的にリフォームをしているということなんです。水回りもすべてきれいです。ベッドルームも新しくなっています。
(図28)
そして、先ほどの共有庭ですね。ご覧になるとわかる通り、古いカントリーハウスから一歩外に出ますと、庭が続きます。
庭の中には東屋やもありまして、ガーデンパーティ、ガーデンウェディングもお好きにやってくださいということです。これで2000万円ですよ。すごいですよね。
私は、こういうところは、今まで一生自分には縁がないかと思っておりました。毎年「井形慶子とともにイギリスの家々をめぐる旅」といういろいろな一般の住宅や売り物件をめぐるツアーをやっているんですが、その中で、来年、ここを訪ねる予定でございます。それにしてもイギリスの住宅というのはいろんなものがあるのだなと、改めて思いました。

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