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第40回NSRI都市・環境フォーラム
時代は激変

2011年4月20日(水)
NSRIホール
講師:北山 孝雄 氏(プロデューサー、北山創造研究所 代表)


街も激変する時代に即した変化が必要であり、建築基準法などの法律も併せて変えてゆく必要があります。
街は人を元気にする源であり、メディアであるという考えのもと、『一人の人で、一つの物で、一軒の店で街は変わる』というスローガンで進められた数々の事例を挙げながら、街づくりと日本の活性化について必要なものは何か、北山なりの考えをお話します。

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 大変長らくお待たせいたしました。ただいまから第40回都市・環境フォーラムを開催させていただきます。本日はお忙しいところお越しくださいまして、まことにありがとうございます。
皆様、3月11日の東日本大震災、ご被害のほうはございませんでしたでしょうか。被災された皆様には心からお見舞いを申し上げます。
本日のご案内役は、私、広報室の谷礼子でございます。よろしくお願い申し上げます。
さて、本日のフォーラムは、ご案内のとおり、北山創造研究所代表でいらっしゃる北山孝雄先生にお話をいただきます。本日は、『時代は激変』と題してご講演をいただきます。
北山先生は、皆様よくご存じのとおり、建築家の安藤忠雄先生の双子の弟さんでいらっしゃいます。「まちは人々を元気にする源である」という視点を大切にされ、日本全国を舞台に多くの魅力的なまちづくりに取り組んでいらっしゃいます。
本日は、事例を交えながら、まちづくりについて、魅力のあるお話をたくさん聞かせていただけるものと思っております。
それでは、早速、先生にご講演をいただきたいと存じます。皆様、大きな拍手で先生をお迎えください。(拍手)

北山 こんにちは。北山でございます。司会の谷さんが、先生とおっしゃっていましたが、余り、先生業ではないんですね。先ほどご紹介いただきましたように、双子の兄が安藤なものですから、今日も、朝早くから電話がかかってまいりました。「たまには世の中のために、働いたらどうか」と僕にいうんです。僕は、世の中というより、自分と自分の周りの仲間のために働くのがいいなと思ってやっているものですから、「あんたが一生懸命世の中のために働けばいいんじゃないの」と言いました。震災後、安藤からは、何度も電話がかかってきて、「何か手伝え」というんですけれども、今までもずっと自分と自分の周りだけを見てきたものですから、小さなことからいろんなことが広がっていくのではないかということで、今日もお話をさせていただきたいなと思います。
私は、大阪弁が全然抜けないんですけど、46年間東京で暮らしております。46年間ずっと同じ会社をやっておりますが、そのうち約23年間は浜野安宏さんの下で副社長をやってきました。ある時突然、浜野さんが「おまえに会社をやるから、人も皆引き受けろ」というので、後を引き受けました。そして、約20年になります。名前も北山創造研究所と変えました。
(図1)
 私は大阪で生まれて、大阪で育ちました。一生懸命勉強した記憶は全くないんです。勉強しても余りできなかったんだろうと思います。初めはグラフィックデザインをやっておりました。二十のころは、今から考えたら一番お金を持っていたかなというぐらい稼いでおりました。初任給が2万円ぐらいのときに毎月50万円ぐらいグラフィックデザインで、余り働かずに稼いでいました。グラフィックデザインを25歳までやっていましたが、このままやっていくと、毎日のように徹夜をしなければいけないということで、何か別の仕事はないのかなと考え始めました。
 浜野さんとも相談をして、店づくりをやったらどうか。そして、店をつくるのであれば、その中の商品の計画をしたらどうかということでやってまいりました。店をつくり、商品をオーガナイズしているうちに、建物全体もやっぱり考えたほうがいいのではないかと考えつきました。建物をやっていますと、周辺の広場や建物につながっている道も考えないといけないなとなってきましたが、全て、自分の暮らしの中から考えてやってまいりました。それが25歳ぐらいのときです。
自分たちが働く場所、自分たちが住まう場所、自分たちの遊ぶ場所、つまり自分の日常から、こんなものは要らないというものがたくさんあるものです。それを常に提案し続けてきました。今も私どもの社員で若い人が20人ぐらいいますが、「イヌがえさを待っているみたいに待っているな。前に向かって、自分がこうしたいというものを提案し続けろ」と常にいい続けています。
今日ここへ来るときに、この建物の前に歩道橋がありますが、「何でこんなところに汚い歩道橋があるんだろう。何で日建さんがあの歩道橋をとらないんだろうか」と思いました。「不愉快だな、登るか」といって、うちのスタッフと2人で登ってきました。日常の暮らしの中で「何で」ということがたくさんあるんですね。もったいないなということもあります。


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