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第51回NSRI都市・環境フォーラム
急ごう!原発を凌ぐゼロカーボン社会を

2012年3月21日(水)
NSRIホール
講師:中 村  勉 氏(建築家・工学院大学特別専任教授・ものつくり大学名誉教授)



建築家のわれわれを取り巻く環境は1990年代から劇的に変わりはじめ、21世紀に入って近代文明の結果としての都市を考え直さなければならない状況となった。そして昨年の3.11の大震災により、近代化の価値観が暗黙のうちに合意してきた社会システムが破たんしたことにより、放射能被災地の見えない悲劇まで起こしてしまった。今まで人頼みだった基幹エネルギーについても、私たち建築家、都市計画家一人一人が革命として考えなくてはならなくなっている。こうして2050年に焦点をあてて今後の社会観を考えてバックキャスティングをしてみると、新しい快適な社会像への道程も見えてくる。まだまだ急を要する課題が満載していて、一つ一つに解決の方法を考えていかねばならないが、問題提起をして皆さんと一緒に考えてみたい。

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 大変長らくお待たせいたしました。ただいまから第51回NSRI都市・環境フォーラムを開催させていただきます。
ようやく春めいてまいりました。今日も皆様、お忙しいところをお越しくださいまして、まことにありがとうございます。
本日のご案内役は、私、広報室の谷礼子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、本日は、ご案内のとおり、工学院大学教授でいらっしゃる中村勉先生にお越しいただきました。
本日は、『急ごう!原発を凌ぐゼロカーボン社会を』と題してご講演をいただきます。先生は、レジュメのとおり、工学院大学の先生でいらっしゃると同時に、ご自身でも設計事務所を主宰していらっしゃいます。
地域特性を生かしながら、そして環境に配慮した建築、まちづくりに長年取り組まれていらっしゃいます。そして、この東日本大震災が起こる以前から、福島県の相双地区のまちづくりにもかかわっていらっしゃいます。そうした背景もあり、現在は復興構想をご提案され、また、数々のご支援もしていらっしゃいます。
本日は、低炭素社会実現へ向けた貴重なお話を伺えるものと大変楽しみにしております。
それでは、早速、先生にご講演をいただきたいと存じます。どうぞ皆様、大きな拍手で先生をお迎えください。(拍手)
よろしくお願いいたします。

中村 皆さん、こんにちは。今日はこういう場を与えていただいて大変光栄に思っております。ありがとうございます。
今日は、今、谷さんからお話しいただいたように、特にこの3.11以降のものの考え方をお話しするということですが、私は低炭素社会の都市をどうするかということを、2008年から環境省の補助金を頂いて、東大と東工大、日大の3校と協力して議論を重ねてきました。
それが終わって、最後の発表会を3月23日にやろうとしていた時に、ちょうど大地震が起こった状態でした。結果的にはそれを学会で報告をし、それもとに今レポートをつくって発表しているという段階であります。
そういう中で、今回地震が起こり、原発の悲惨な事故が起こりましたが、私たちはいろいろ議論してきた割には、結果的にエネルギーに関して考えることを少しおろそかにしていました。実は私たちの仲間には、皆さんもご存じのエネルギーの専門家の飯田哲也さんがいます。彼ともいろいろな議論をしてきましたが、国の政策あるいは大きなエネルギー問題に関しては、ある程度彼に任せて、我々は生活者のつくるエネルギーのレベルにとどまっていたという反省をしています。

 

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