吉本 憲生

Yoshimoto Norio

都市の「体験」・「行動」をデザインする

国連によると現在、世界人口の半数以上が都市部に居住しており、2050年にその割合は68%に達すると言われています。また、世界的には人口が増える一方、先進国の多くで少子高齢化が進む中、ヒト・モノ・カネ・情報の観点からの都市間競争は激しくなっています。こうした状況の中、「どのような都市に住みたいか」というテーマは重要性を増していくでしょう。

このテーマに取り組む上で、都市における「行動」や「体験」がヒントになると考えています。産業の発展により、この100数十年において人類は効率的に生活や生産活動を営むことができるようになり、社会全体の「成長」が都市化の進展を支えた原動力となりました。しかし、こうした「成長社会」から「成熟社会」に移行したと言われる現在においては、モノゴトの「量」ではなく、「質」が重視されるようになっています。

このような状況においては、それぞれの場所がもつ景観・文化・歴史・施設・お店あるいは、そこに集まる人々の雰囲気やキャラクターなど、場所の独自性が重要になり、その独自性が人々が住む、働く、遊ぶ、学ぶ、そして移動するなどの行動を行う際の重要な基準になるのではないでしょうか。

すなわち、今後のまちづくりにおいては、それぞれの場所の特性を踏まえながら、そこでどんな「体験」・「行動」ができるかがポイントになります。このような体験・行動をデザインしていくために、まちの観察、データの分析、行動のプランニング、空間のあり方・使い方の検討など、まちづくりに関する様々なスキルを総動員しながら新しい体験や行動のあり方を創出していきたいと思っています。

このような考えのもと、様々な社会課題・ニーズに応えながら、これからの都市・建築の姿について検討していきます。

吉本 憲生

プロフィール

役職
主任研究員
出身大学
東京工業大学大学院博士課程修了
専門分野
都市評価・都市解析
都市計画・まちづくり
スマートシティ
交通計画・モビリティデザイン
行動デザイン
建築・都市史
資格
博士(工学)
技術士(建設部門 都市及び地方計画)
認定准都市プランナー(交通計画)
所属団体
日本建築学会
日本都市計画学会

主な出版物

  • 『都市科学事典』(2021年・春風社) 共著
  • 『日本の図書館建築』(2021年・勉誠出版) 共著
  • 『世界の建築家 解剖図鑑』(2018年・エクスナレッジ) 共著

主な論文

  • 吉本憲生・山村崇・鶴見隆太「ジオタグ付きSNSデータに含まれる「感覚語」に基づく都市空間構造の把握と指標抽出に関する研究」(2021年・日本建築学会学術講演梗概集)
  • 三好健宏・吉本憲生・桃谷英樹「自動運転・MaaSの普及を見据えた都市ビジョン エリアを活性化させる新しいモビリティコンセプト」(2020年1月・『新都市』)
  • 住田 百合耶・吉本 憲生・藤原 徹平・稲葉 来美「郊外における地域拠点としての交通結節空間の需要および効果に関する実証実験」(2017年・日本建築学会学術講演梗概集)
  • 芝塚 要公・吉本 憲生・藤原 徹平・市川 博久・坂本 啓介「アンケート調査に基づく社会参加とネットワーク・社会属性・居場所の関係についての分析」(2017年・日本建築学会学術講演梗概集)
  • 吉本 憲生・篠野志郎「御堂筋建設に伴う地域像の変容 -近代大阪の都市像形成に関する研究-」(2015年・日本建築学会計画系論文集)
  • 吉本憲生「大正・昭和初期の都市整備に伴う近代大阪としての都市像形成に関する研究」(2014年・東京工業大学博士学位論文)
  • 吉本憲生・篠野志郎・藤田康仁・服部佐智子「昭和10年前後の大阪駅周辺整備を巡る訴訟にみられる地域像の様相-近代大阪の都市像形成に関する研究-」(2013年・日本建築学会計画系論文集)

主な受賞歴

  • 日本建築学会奨励賞(2018年)
  • 「第5回ダイワハウスコンペティション」優秀賞(2009年)

社会活動

  • 日本建築学会離散的アーバニズム論特別研究委員会(2021-)
  • 日本建築学会会誌編集委員会(2018-2019)
  • 日本建築学会建築作品小委員会委員(2016-2021)
研究員の一覧へ戻る研究員の一覧へ戻る