Yoshimoto Norio
国連によると現在、世界人口の半数以上が都市部に居住しており、2050年にその割合は68%に達すると言われています。また、世界的には人口が増える一方、先進国の多くで少子高齢化が進む中、ヒト・モノ・カネ・情報の観点からの都市間競争は激しくなっています。こうした状況の中、「どのような都市に住みたいか」というテーマは重要性を増していくでしょう。
このテーマに取り組む上で、都市における「行動」や「体験」がヒントになると考えています。産業の発展により、この100数十年において人類は効率的に生活や生産活動を営むことができるようになり、社会全体の「成長」が都市化の進展を支えた原動力となりました。しかし、こうした「成長社会」から「成熟社会」に移行したと言われる現在においては、モノゴトの「量」ではなく、「質」が重視されるようになっています。
このような状況においては、それぞれの場所がもつ景観・文化・歴史・施設・お店あるいは、そこに集まる人々の雰囲気やキャラクターなど、場所の独自性が重要になり、その独自性が人々が住む、働く、遊ぶ、学ぶ、そして移動するなどの行動を行う際の重要な基準になるのではないでしょうか。
すなわち、今後のまちづくりにおいては、それぞれの場所の特性を踏まえながら、そこでどんな「体験」・「行動」ができるかがポイントになります。このような体験・行動をデザインしていくために、まちの観察、データの分析、行動のプランニング、空間のあり方・使い方の検討など、まちづくりに関する様々なスキルを総動員しながら新しい体験や行動のあり方を創出していきたいと思っています。
このような考えのもと、様々な社会課題・ニーズに応えながら、これからの都市・建築の姿について検討していきます。