連載コラム  
2011/05/16
 
Appendix. トピック発行小休止のご報告とトピック紹介文のご披露
 
石川 貴之
 
 
●しばらく充電期間を頂きます
 
 自主研究会「都市のバリューを考える会」を立ち上げ、「都市の価値を紡ぐ50のトピック」と題し、NSRIのHPで毎月2回(1日・15日発行)のトピック執筆活動を始め、ちょうど2年が経ち、48号を数えるまでになりました。
 原稿執筆は、研究会メンバーが輪番で担当しましたが、月1度、終業後に編集会議を開催し、全員で内容を議論してきました。執筆担当者の考えや想いと研究会として主張すべきは何かをめぐって、侃々諤々。
 なかなか原稿が確定しないことの方が多かったのですが、議論と校正を重ねていく中で、メンバーが各々にとっての「都市の価値」を丁寧に確認し、折り重ねていくような貴重な時間と経験であったかと思います。毎回このような状況ですから、原稿が確定するのは、いつも締め切り間際でしたが、発行予定日が休日だったことを除けば一度の遅れもなく、毎月1日と15日にトピックを発行できたことは、ルーズになりがちな自主研究会活動の中にあって、小さからぬ成果の一つだと思っています。おかげ様で、読者の皆様の応援とメンバーの努力?の甲斐あって、当初1,000回/月程度だった当研究会サイトへのアクセスも、発行を重ねる毎に着実に増え、最近では3,000回/月近くにまでになり、弊社の人気サイトへと成長してくれたことも、大きな喜びです。
 さて、本題のご報告ですが、2年間続けてきたトピックの定期掲載をしばらくお休みしたいと思います。トピックのテーマを新たに探し、定期掲載を継続することも考えましたが、当初に掲げたトピックのカテゴリー毎には、網羅的に執筆しましたので、ここで定期執筆を一旦休止し、研究会なりに「都市のバリューとは」というテーマを正面から議論し、仮説的とりまとめを行うための時間を頂き、また、この紙面を借りて広く意見交換をしたいと考えました。
 まだ、明確な作業イメージは固まっておりませんが、これまでの活動成果を活かして、精力的に取り組みたいと考えております。
 
●これまでのトピック紹介文をご披露します
 
 トピックの定期発行の代替ではありませんが、これまでトピックスの発行日には、日建グループの社内ポータルサイトにある「情報ひろば」というページに、社内周知のために、トピックスの紹介文を作成し、掲載してきましたものをご披露します。
 最初は、執筆者と発行をお知らせするという単純なものでしたが、研究会サイトに興味を持ってアクセスしてもらうためのイントロにしたいという想いから、「どういう問題意識でテーマを捉えたか」とか、「何を主張したいか」ということを簡潔に紹介するように心がけました。自分でもそれとなく気づいていたのですが、メンバー曰く、「段々と中味がエスカレートしていった」ようで、こうして並べてみると、その時のホットな議論が伝わってくるような感じがします。特に内部に限った情報でもありませんので、ご紹介させて頂き、これを機にバックナンバーにアクセスされたり、改めてお気づきになった点など、ご意見頂けたりすることになれば幸いです。
 最後に、「都市のバリューを考える」活動は今後も粛々と続けて参りますので、ご指導、ご意見頂けますよう、よろしくお願いします。
 
●トピック紹介文
 
Vol.01 ミクスドユースについて考える
〜「適切な用途の複合」とはどのような状態をさすのだろうか〜
  NSRIの自主研究会として「都市のバリューを考える会」を立ち上げました。 豊かさ÷資源消費で示されるFactorの主として分子側の豊かさ・魅力について考えていきたいと思っています。活動成果は、ポータルで逐次広報する予定です。 今回のコラムニストは、NSRIの西尾主任研究員で、テーマは「ミクスドユースについて考える〜「適切な用途の複合」とはどのような状態をさすのだろうか〜」です。
   
Vol.02 都市の単位はどう決まる? 〜読み解くように都市を切り分ける〜
  今回のコラムニストはNSRIの藤田主任研究員で、テーマは「都市の単位はどう決まる?〜読み解くように都市を切り分ける〜 」です。・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.03 立地にふさわしい適切な人口密度の設定
〜高密度な都市は誰にとっての価値なのか〜
  今回のコラムニストはNSRIの辻本研究員で、テーマは「立地にふさわしい適切な人口密度の設定〜高密度な都市は誰にとっての価値なのか〜 」です。・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.04 ポテンシャルを有効に活用した機能配置
〜エキナカ・エキウエが創る駅と都市との新たな関係〜
  今回のコラムニストはNSRIの吉田主任研究員で、テーマは「ポテンシャルを有効に活用した機能配置〜エキナカ・エキウエが創る駅と都市との新たな関係〜 」です。
電車通勤者にとって今や駅は駅以上の存在になりつつあります。旧くて新しい駅の都市化。あなたにとって、駅の未来像は・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.05 気軽に利用できる公共交通 〜公共交通が充実した都市の魅力について〜
  今回のコラムニストはNSRIの辻本研究員で、テーマは「気軽に利用できる公共交通〜公共交通が充実した都市の魅力について〜 」です。
一昔前、自動車の台頭と時を一にして街なかからチンチン電車と呼ばれた市電・路面電車が姿を消していきましたが、昨今、人と地球に優しい乗り物として、その市電もLRT(Light Rail Transit :軽量軌道交通)という呼び名も新たに復活し、街の人気者になりつつあります。LRTに代表されるような公共交通は人気先行のアイドルではなく、都市に魅力と価値をもたらす実力派のようです。果たして、車社会から車共存社会への橋渡しになれるか・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.06 骨格となる空間の軸 〜都市軸は街の魅力形成に寄与するか?〜
  今回のコラムニストはNSRIの吉田主任研究員で、テーマは「骨格となる空間の軸〜都市軸は街の魅力形成に寄与するか?〜」です。
パリの歴史軸、バルセロナのランブラ通りなど、世界には数多くの「都市軸」といわれる空間があり、その街きっての目抜き通りとなっている場所であることも多いので、その空間を体感された方もきっと多いと思います。もちろん日本の都市にも「都市軸」はあり、我々プランナーも日常の業務の中で「都市軸を設定する」ことをある種盲目的にしていることがあります。本当に都市の「軸」たるにふさわしい空間になるためには、そしてこの空間が街のバリューを高めるには、どんな工夫が必要なのか・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.07 歩行者ネットワークとしての一体性 〜歩きたくなる都市空間とは?〜
  今回のコラムニストはNSRIの藤田主任研究員で、テーマは「歩行者ネットワークとしての一体性〜歩きたくなる都市空間とは?〜」です。
歩行者ネットワークを形成することそのものは、もはや疑うことのない都市計画の基本であると考えてよいでしょう。ただ、「歩けるようになる」ことと「歩きたくなる」ことはそのプラニングの奥深さにかなりの違いがありそうです。私たちは、このネットワークに何を紡ぐべきなのでしょうか・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.08 快適な自転車走行空間とそのネットワークの確保
〜古くて新しい「自転車」の問題。はたしてそこに妙案はあるのだろうか〜
  今回のコラムニストはNSRIの西尾主任研究員で、テーマは「快適な自転車走行空間とそのネットワークの確保〜古くて新しい「自転車」の問題。はたしてそこに妙案はあるのだろうか〜」です。
環境の世紀、低炭素社会の実現など、時代はエコ真っ只中。自転車空間整備には、国も大きく舵を切り始めています。ただ、一口に「自転車まちづくり」といっても、自動車以上に乗り手のニーズもマナーも千差万別。この自転車まちづくりに「快適性」の出口はあるのでしょうか・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.09 空から見渡せる場 〜空から都市を見渡したときにミエルもの〜
  今回のコラムニストはNSRIの辻本研究員で、テーマは「空から見渡せる場 〜空から都市を見渡したときにミエルもの〜」です。
都市デザイン業務の中で、ランドマークを創る(あるいは既存のものをランドマークとして意識的に活用する)ということは比較的良く用いる手法です。この狙いは、街のわかりやすさや精神的な拠り所みたいなものを創るなどが挙げられます。今回のコラムはこれを全く逆の視点から「都市の価値」を語ることを試みたものです。ランドマークから見える景色の価値、街が俯瞰できることそのものの価値など、この視点場の形成が価値をもたらすためには・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.10 緑のネットワーク 〜緑のネットワークの「思想」を考える〜
  今回のコラムニストはNSRIの西尾主任研究員で、テーマは「緑のネットワーク 〜緑のネットワークの「思想」を考える〜」です。
我々が係わる機会の多い大規模な都市開発では、積極的に「緑」をプラニングすることがもはや必然・当然に近い状況になりつつあります。街なかの緑が増えることは一市民としては大歓迎ですが、「緑」も我々と同じように生き物ですから、ただそこにあればよいというものではなく、「緑」への優しさ、「緑」にとっての心地よさといった視点をもつことが、人にとっても心地よく持続可能な都市づくりということなのでしょうか?・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.11 災害への備え 〜地域の力を活かした災害とは?〜
  今回のコラムニストはNSRIの藤田主任研究員で、テーマは「災害への備え 〜地域の力を活かした災害とは?〜」です。
近い将来予想されている首都直下型地震。災害はもちろん地震だけではなく、ゲリラ豪雨をはじめとした風水害、テロや新型インフルエンザなども含めた幅広い防災対策が注目されており、企業でのBCP(事業継続計画)、街づくりでのDCP(地域継続計画)の策定が要請される時代となっています。優れた防災性能をもつハードと高度な防災システム。平常時の安全と安心に包まれている環境の中で、つい忘れてしまいそうな人とのつながり。人が集まって住んでいるからこそ、甚大な被害になる危険をはらんでいる都会。「遠い親戚より近くの他人」をりっぱな社会システムとして継続させることを考えてみませんか?・・・詳しくはNSRIのHPまで。
   
Vol.12 廃棄物の適切な処理 〜廃棄物処理の「見える化」のススメ〜
  今回のコラムニストはNSRIの吉田主任研究員で、テーマは「廃棄物の適切な処理〜廃棄物処理の「見える化」のススメ〜」です。
今や、ゴミの分別収集は当たり前。導入当初は不徹底であれば、資源としてのリサイクルやゴミの減少も進まず、社会コストが増えるだけという最悪のシナリオも危惧されたわけですが、個人的には、成功かなと思えるほど、着実な成果を挙げているように感じます。今回のコラムは「分別」の先にある「処理」に、リサイクルからリユースへの拡がりを感じさせるトピックスです。地球環境に優しい効果的な「地産地消」のプロセスにどのようにして市民を巻き込んでいくのか?・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.13 社会背景に適合した先端的な業務機能の導入
〜業務機能の計画的・無計画・創造的を考える〜
  今回のコラムニストはNSRIの辻本研究員で、テーマは「社会背景に適合した先端的な業務機能の導入 〜業務機能の計画的・無計画・創造的を考える〜」です。
個人的には、都市計画やまちづくりという仕事は、「都市の成長」ということを前提にしていると感じています。ここでいう都市の成長には、量的な拡大はもとより、質的な進化・改革も含んでいるため、わが国が「成長から成熟へ」という時代を迎えからこそ、その重要度は増してきていると思います。また、都市の成長の道筋と枠組みを示したわが国の都市計画制度についてもその画一性を見直そうという動きもあります。都市が個性をもって創造的に成長するということの道筋を示すとはどういうことなのでしょうか?・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.14 親水空間の確保・水系ネットワークの形成 〜生きている川をつくろう〜
  今回のコラムニストはNSRIの木内研究員で、テーマは「親水空間の確保・水系ネットワークの形成〜生きている川をつくろう〜」です。
田舎育ちの私には、川はごく身近な遊び場であり、「親水」ではなく、まさに「浸水」して遊んでいました。ビショビショに濡れて帰ると母親はもちろん叱りますが、決して川で遊ぶことをやめろと言われた記憶はありません。今振り返ると、水は子どもにとっては楽しいもの。だけど本当は怖いもの。その水の怖さを遠ざけるのではなく、近くにおいて付き合って知りなさいと勇気をもって育てられたように感じます。ここ数年のウォーターフロント開発で都会でも水辺に近づくことが容易になったように思います。「水に近づく」から「水に親しむ」へとはどんなことなのでしょうか・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.15 教育施設の誘致 〜教育施設が都市の価値をもたらすのか?〜
  今回のコラムニストは石川が担当しました。テーマは「教育施設の誘致〜教育施設が都市の価値をもたらすのか?〜」です。
今回のコラムでは教育施設の代表として「大学」を取上げました。大学は、戦後のわが国の都市政策の影響を最も強く受けた施設の一つで、今は大きく都心回帰の流れにありますが、今、その大学とまちづくりの関係が都心のみならず、柏の葉などの郊外も含めて「熱い」という印象です。「大学」は、まちづくりという観点から何がコンテンツとして優れているのか・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.16 芸術を経験できる場の創出 〜芸術モデルによるまちづくりとは〜
  新年あけましておめでとうございます。今年も「都市のバリューを考える会」を宜しくお願いします。今回のコラムニストは藤田主任研究員で、テーマは「芸術を経験できる場の創出 〜芸術モデルによるまちづくりとは〜 」です。
最近では都市を楽しくする要素や仕掛けとして「アート」が用いられることはそんなに珍しいことではなくなりました。しかしながら、そんな仕掛けが増えるほど、パブリックスペースから「心地よさ」を拭い取ってしまっているなあという場面に出くわすことも多くなったようにも感じます。
今回のコラムでは、そんなアートと都市との関係について、公共空間におけるアートや文化政策を「社会包摂」という機能として捉えることで、アートが都市の価値を高めるまちづくりのモデルになりうるための提案を試みています。芸術と社会包摂の新たな結びつきとは何か?・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.17 まちの価値を高める福祉とは 〜高齢者にとっての福祉とは何だろうか〜
  今回のコラムニストは西尾主任研究員で、テーマは「まちの価値を高める福祉とは 〜高齢者にとっての福祉とは何だろうか〜」です。
少し前までは、都市を語る場面で高齢者を取り上げるときの主たるテーマは「バリアフリー」であったかと思います。今もバリアフリーは重要なテーマですが、昨今の高齢化問題は、健康な高齢者をまちの活力としてどのように社会参画を促すかとか、介護サービスのあり方という福祉政策をいかに効率的に展開すべきか等、移動容易性、サービス効率ということから求められる都市のかたちやスペック等、まちの価値を左右するキャスティングボードを握っているといっても過言でない課題となっていることにその意味の大きさを感じます。
先進国が共通で抱える高齢化問題。その中でもわが国の高齢化は少子化とあいまって爆発的なスピードで進展していること、核家族化の進展による大都市の独居老人問題などその深刻さが大きいが故に、これまでの仕組みを変えるパラダイムシフト的発想が求められていると感じます。高齢者にとって、そしてまちの価値にとって福祉とは?・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.18 生涯学習を楽しめる場 〜アフォーダブルな生涯学習機会の提供〜
  今回のコラムニストは吉田主任研究員で、テーマは「生涯学習を楽しめる場 〜アフォーダブルな生涯学習機会の提供〜」です。
生涯学習という概念は、1965年にユネスコのポールラングランが初めて提唱したlife-long educationの訳である「生涯教育」に端を発し、最近では「教育」という比較的受動的なものから「学習」という個人の主体性に重きを置いた行為や活動を示すものとなっているようです。今回のトピックは、この主体的なものとなっていることに目をつけている点がタイトルの「〜楽しめる場」という言葉に集約されているといっても過言ではありません。生涯学習に限ったことではありませんが、都市は個人が楽しめる場になっているか、楽しむ場に何が生まれようとしているのか?・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.19 鉄道駅の利用者に対するわかりやすさ
〜鉄道駅の役割を今一度考えてみよう〜
  今回のコラムニストは西尾主任研究員で、テーマは「鉄道駅の利用者に対するわかりやすさ〜鉄道駅の役割を今一度考えてみよう〜」です。
昨今、日本の新幹線の海外輸出が新聞紙上を賑わせていますが、鉄道技術もさることながら、駅を中心としたまちづくりは、特に東アジアの新興諸国においては、急速な勢いで肥大化する都市人口に対する自動車交通に頼った交通マネジメントシステムからの脱却、コンパクトシティへの道程、パッケージ化された都市開発の仕組みなど、いろんな面で技術移転・ノウハウ移転が期待されています。そんな中、日本の駅前の風景もここ数年大きく変わり始めており、私には、一般用語化した「駅ビル」が「駅街」に脱皮するより良き成長の過程で、ここでの街づくりは「駅」であることを忘れかけていた時代から街のフェイスもシェイプも「駅」であることにある種のこだわりを持つことをどう始めていくのかという段階になったのかなと思っています。鉄道駅は都市やまちづくりの中で如何にあるべきか?・・・詳しくはNSRIのHP まで!
   
Vol.20 一定の居住水準を確保した良質な住宅の供給
〜人々が都市を謳歌するための住まい〜
  今回のコラムニストは辻本研究員で、テーマは「一定の居住水準を確保した良質な住宅の供給〜人々が都市を謳歌するための住まい〜」です。
わが国の戦後の都市住宅政策は、多少極端な表現になりますが、居住水準という1戸の「規模」の向上を目安に展開されてきたといっても過言ではありません。昨今、特に「量」から「質」ということが叫ばれていますが、都市に住まうと考えた場合、その住宅の「質」も住宅1戸の「質」だけを問うものでは不十分なのではないでしょうか。郊外ではなく都市に住むとはどういうことか、都市住宅が将来の日本人の生活に何をもたらすのか?・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.21 人々の行為やコミュニケーションを引き出す街路空間デザイン
〜成長するアイデンティティとは?〜
  今回のコラムニストは亀井未穂さんで、テーマは「人々の行為やコミュニケーションを引き出す街路空間デザイン〜成長するアイデンティティとは?〜」です。
今に始まった話ではありませんが、都市景観を語る際、街並みとか、街路空間は常に議論のテーブルの中心的話題です。ただ、その時の街並み・街路空間は、総合設計や特定街区といった空地確保を基準とした建物の足元の様(さま)と建物のファサードが連続し、統一感のある街並みというコンテキストの比較であることが多いのですが、今回は、そうした形態の比較ではなく、まさにタイトル通り、人の介在をどう誘発するかという視点から空間のデザインの指向性を語ることを試みました。街の価値を高める街路空間とは?・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.22 歴史的環境の保全 〜何を残し伝えるべきか〜
  今回のコラムニストは木内研究員で、テーマは「歴史的環境の保全〜何を残し伝えるべきか〜」です。
平成20年に歴史まちづくり法が施行され、地域の歴史を活かしたまちづくりや歴史的街並みの保全・維持向上については大きな前進がありました。昨今、地方分権や地域主権といった流れの中では、如何に住民が地域のアイデンティティを感じることのできるまちづくりが展開できるかは、都市のバリューアップの重要な視点であり、その際、「地域の歴史」の扱いがクローズアップされるのは至極当然のことのように思います。ただ、そこで扱う「歴史」にきちんと住民が参加し、継承するような「カタチ」にすることが持続可能な都市の価値にする唯一の方法かと思います。私たちはどのように都市の歴史・街並みを読み取るべきか?・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.23 特徴的な公共交通のデザイン 〜公共交通は「見た目」が重要〜
  今回のコラムニストは吉田雄史主任研究員で、テーマは「特徴的な公共交通のデザイン〜公共交通は「見た目」が重要〜」です。
地球温暖化だけがその要因ではありませんが、最近特に公共交通や自転車といった環境に優しい乗り物が注目を集めています。一方、一度自動車の便利さを知ってしまったが故に、環境に優しいからと言われても、モーダルシフトがなかなか進展しないもの現実的課題です。こんなすてきな家に住みたい、オフィスで働きたいと思われるように建物(固定物)をデザインするように、かっこいいから乗りたいと人の気持ちに訴える「動くもの」のデザインが大切に扱われることがモーダルシフトの進展の一番の原動力ではないでしょうか?・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.24 街並みとの調和に配慮した駐車場の配置・デザイン
〜「隠す」&「見せる」のバランス〜
  今回のコラムニストは前回に引き続き、吉田雄史主任研究員で、テーマは「街並みとの調和に配慮した駐車場の配置・デザイン〜「隠す」&「見せる」のバランス〜」です。
今や、車は生活の必需品。家族旅行はもとより、週末のまとめ買い、親の介護等など、そのパーソナルな利便性故に地球温暖化といえども、そう簡単には手放せないのが実情です。また、都市計画での駐車場問題は、その属性が公共であれ、民間あれ、その配置とデザインは景観と交通渋滞の観点から昔からの懸案事項の一つかと思います。抜本的に妙案ができるまでは技術革新と意識改革(及び生活スタイルの変化)のため、もう少し時間がかかりそうですが、少しずつヒトと車の付き合い方、車の基本的スペックも変わりつつあります。ヒトが使いたくなる駐車場と、今とは別の意味で「豊かな車社会」へのプロセスとは?・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.25 駐輪場のデザイン〜駐輪場はトライバルメディア〜
  今回のコラムニストは藤田主任研究員で、テーマは「駐輪場のデザイン〜駐輪場はトライバルメディア」です。
元々、非常に手軽なフィーダー交通であることに加え、昨今の低炭素社会への取り組みの推進という政策的な側面や健康志向も加わって、今、自転車が旬である。ただ、動いている(走っている)時の軽快さ、爽快さの反面、駐輪対策という、止まっている時の積年の都市計画的課題を抱えてもいる。手軽で健康的なパーソナルな交通手段であるがゆえに、この課題を乗越えて日常生活の一部にしっかりと取り込みたいものです。駐輪場の未来は如何にあるべきか?・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.26 歩行者空間と建物の間の柔らかなエッジの形成
〜エッジの“柔らかさ”って何?〜
  今回のコラムニストは辻本研究員で、テーマは「歩行者空間と建物の間の柔らかなエッジの形成〜エッジの“柔らかさ”って何?〜」です。
最近、まちなかには総合設計等の公開空地に代表されるような歩行者空間と一体となった広場等の敷地内の半公共空間が街の魅力を高めている場面によく出くわすようになりました。今回トピックスとして取り上げた「エッジ」はこれらの空間のみではありませんが、そのキャラクターを“柔らかい”というあまり使わない言葉で語ってみることにチャレンジしています。この極めて体温を感じる言葉を使った理由とは?・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.27 こどものための遊びの空間 〜child friendlyな都市空間の創出〜
  今回のコラムニストは、亀井未穂さんと石川で共同執筆し、テーマは「こどものための遊びの空間〜child friendlyな都市空間の創出〜」です。
自分の子どもたちの遊び方を見て、「自分たちが子どもの頃は・・・」って思うことは、歳をとった証拠なのかもしれませんが、今のまちなかは昔と異なる“危険”が一杯です。頻繁に往来する車、危険運転極まりないピザ屋の宅配バイク、ニュースを聞かない日はない変質者による犯罪などなど・・・。子どもたちにとって、ある程度の“危険”や“秘密”は遊びを楽しく、創造的にするものなので、全ての危険を排除し、安全で退屈な空間の中で、子どもを遊ばせるべきではないと思います。可能であれば“許容できる危険?”や“守られている死角?”の中で、子どもが遊びを工夫し、スクスクと育つことを見守っていたいものです。大人にとっても心地よい遊び空間を計画するとは。・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.28 活用される広場とは? 〜何気なくつくられている広場について考える〜
  今回のコラムニストは西尾主任研究員で、テーマは「活用される広場とは?〜何気なくつくられている広場について考える〜」です。
今や、まちなかで、比較的大規模な開発案件で「広場」を確保しない計画は皆無かもしれません。それほど、日本の都市空間の中で形態としての広場は一般化・常套手段化しつつあります。ただ、欧米のまちなかの中にある広場とは、明らかな違いがあることは、一度欧米の街を旅した方であれば、感覚的にもお感じになったと思います。西洋の「広場空間」に対して日本の「道空間」という比較もよく耳にします。都市の成り立ち、広場と生活スタイルとの関係など様々な違いがこの感覚の源泉と思われますが、日々業務の中で多用するからこそ、このあたりで日本的広場について考えなければいけない時期に来ているのではないでしょうか。・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.29 花のある都市空間 〜花の場所がある都市、花で飾る都市〜
  今回のコラムニストは辻本研究員で、テーマは「花のある都市空間〜花の場所がある都市、花で飾る都市〜」です。
日本のまちなかでも花を見かけることは多々ある。梅雨の季節ならアジサイ。晩秋から春にかけての椿などなど。ただ「まちが花で飾られている」という感じになるのは、桜咲き誇る花見の季節くらいかなというのも実感です。欧米のまちでは、一年を通じてかどうかは定かではありませんが、常に窓際のプランターに花が植えられ、風景の一部をなしているし、花を飾ることで四季を感じているようにも思える。対して日本は、はっきりとした四季があったにも関わらず、今でこそ少なくなったが「路地園芸」という生活文化があった。個々が花を育てることで風景をつくるということを超えて、近所との「つながり」を創っていたとも思える。「花」を通して、歴史をふり返り、都市の価値や魅力を考えてもよい時期にきているのかも知れません。・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.30 多様な利用を歓待する空間 〜ピカピカのまちづくりに鬼っ子を招く〜
  今回のコラムニストは藤田主任研究員で、テーマは「多様な利用を歓待する空間〜ピカピカのまちづくりに鬼っ子を招く〜」です。
前々回のVol.28の「活用される広場とは?」の続編というわけではありませんが、今回のコラムは広場に限らず公共空間の利用者の視点や行動から捉え、空間の優れた包容力に見合う「価値」をその「場」が持つためには、我々はいかに考え、プラニング&マネジメントすべきかを考えたものです。パブリックスペースの利用について、何もかも受け入れろ!なんて、主張をするつもりは毛頭なく、野放しではない「ルール」と利用者の一定の「モラル」こそ重要だと思っていますが、あまりにルールで縛ってしまうこと(管理が楽だから?)が先行していることは、人(利用者)として当然備えるべき、モラルを育成・醸成する機会をも失ってしまっているのかもしれません。そういう意味ではルールとモラルの間の絶妙かつ高度なコミュニケーションができるような人を育てる空間が都市のバリューを高めるかもしれません。・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.31 公共施設(インフラ)の立体複合化
〜単機能インフラから多機能(マルチファンクショナル)インフラへ〜
  今回のコラムニストは吉田主任研究員で、テーマは「公共施設(インフラ)の立体複合化〜単機能インフラから多機能(マルチファンクショナル)インフラへ〜」です。
国の借金(債務残高)がGDPの約2倍に達する財政赤字を抱える中、高齢者医療や介護制度などの社会福祉のあり方と同様、高度経済成長を支えてきた道路や上下水道等の公共インフラをどのように維持・更新していくのかが、大きな社会的課題となっています。
国の成長戦略にも示されるように、財政出動なき経済成長を推し進めるためには、公共施設・インフラと言えども、聖域なき規制緩和により、民間の資金とノウハウを活用して、民間がビジネスとして参入しやすい環境整備と市場形成が必須となり、そのための機能的・空間的条件は、単機能から多機能化へ、立体かつ重層的空間利用にならざる得ないと感じます。ただ、この方向転換を悲観的に捉えることなく、肯定的かつ持続性のある都市づくりに向けてのチャンスと捉えて、取り組むことが重要と考えます。公共施設・インフラの多機能化とは・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.32 サイン計画等による動線の誘導〜人と都市の「会話」を生み、“安心”を与える〜
  今回のコラムニストは木内研究員で、テーマは「サイン計画等による動線の誘導〜人と都市の「会話」を生み、“安心”を与える〜」です。
現代の都市(ここでは都会といった方がよいかもしれませんが)は情報が溢れかえり、多種多様な人が出入りし、活動内容も多岐に亘っているので、個人が本人にとって的確な情報を得ることは非常に難しくなっています。かといって、都市の活気や賑わいという観点からすると「適度な情報の氾濫」というものの必要なのではないかとも思います。実は、都市の環境には、この「適度」という尺度が大事で黄金尺のような万能なものさしはないのでしょうが、このような適度な都市環境の中であるからこそ、各々が安心して暮らせるための手助けをする道具としてのサインが街の価値の良し悪しを決める一つの要因になるのではないかと思っています。私たちにとってサインとは・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.33 ユニバーサルデザインの徹底 〜使いやすいことが全てじゃない!?〜
  今回のコラムニストは西尾主任研究員で、テーマは「ユニバーサルデザインの徹底〜使いやすいことが全てじゃない!?〜」です。
人口の高齢化問題は、わが国の固有の課題ではなく、先進国共通課題ですが、日本の場合は少子化もあいまって、そのスピードがすこぶる速いということが特に課題視されています。中国など、先進国への歩みを始めたアジア諸国も、過去(現在)の少子化対策が、将来、国の成長抑制力としてボディブローのように効いてくることは容易に想定されます。こう考えると、少子化対策で世界的規模での人口爆発は抑制されるとは言え、成長著しいアジア諸国の先進国化と少子化が進展すれば、同じような成長を辿った日本がどのように超高齢社会に対応した社会インフラをRe・デザインできるかは、世界の注目の的といってもよいのではないでしょうか。
“ユニバーサルデザイン”という概念をインフラ(ハード)で追える限界を超えるためには・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.34 印象的な風景づくり 〜親しみや懐かしさを感じる風景とは〜
  今回のコラムニストは前回に引き続き、西尾主任研究員で、テーマは「印象的な風景づくり〜親しみや懐かしさを感じる風景とは〜」です。
風景は主として自然の景色に対して、景観は人工的な景色に対して用いることが多い言葉と言われ、私たちは日常業務の中では、風景という言葉よりも景観という言葉をよく用いているような気がします。言葉の定義云々はともかく、人間が作り出す景観も時を経るうちに「風景」へと深化?していくと考えれば、今私たちが創っている景観・景色も、長い歴史の中では重要な役割を果たしていると考えるべきです。人工物の寿命は数十年程度の長さですが、そこに埋め込まれた作法やきまりといったものに、親しみや懐かしさといった文化的香りが息づいているからこそ、街の景観は風景として深化するために育ち・守られていくのかもしれません。私たちが価値ある都市の風景づくりに埋め込まなければならないこととは・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.35 壁面緑化、見える屋上緑化 〜壁面と屋上を使って都市に活力を与えよう〜
  今回のコラムニストは筧研究員で、テーマは「壁面緑化、見える屋上緑化〜壁面と屋上を使って都市に活力を与えよう〜」です。
都市の緑化は総合設計の公開空地と同様、開発のバーターとしては必須条件の感がありますが、近年の地球温暖化対応や低炭素都市づくりの潮流の中、ややもすると、CO2固定化としての意味合いが強調されることを危惧しているのは私だけではないと思います。
確かに人も近づけない屋上緑化や壁面緑化にコストをかけて緑化環境を創り上げることに、どれほどの意味があるかは議論の分かれるところであり、経済性のみを捉えれば、都市は目一杯開発をし、その利益を中山間地域の環境保全に投資することの方が、効率的なのかもしれません。ただ、都市が緑の囲まれることの精神的・心理的な効用(都市の価値)の他、地球は人間だけのものではないことを考えると、都市と地方は人間の経済活動としての区分であり、他の生態系にとっては迷惑な話なのかもしれません。都市が高密度に空間利用されると地面の何十倍もの面積を持つ壁面が生まれます。この膨大な空間?に何かpublicな機能?を付加できないでしょうか。
都市開発も高密度利用の中にミティゲーション的視点をきちんと計画の機軸に据えて展開することにチャレンジすることを求められる時代になるかもしれません。・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.36 通りに対する表情に配慮した街並みデザイン 〜メッセージの見える街並み〜
  今回のコラムニストは吉田主任研究員で、テーマは「通りに対する表情に配慮した街並みデザイン〜メッセージの見える街並み〜」です。
「街並み」という話題に触れる時、「統一感がある」とか、「調和している」いうことを皆さんが共通の理解や暗黙の了解としているように感じているのは私だけかもしれませんが、そういう意味では日本の街並み(特に大都市)では何が統一感なのかとか、何が何と調和しているのかを明確に説明し得ないまま今日に至っているという状況なのかもしれません。特に大都市では街並みを形作る担い手と利用者は必ずしも同一ではなく、その形態や意匠を含めた街並みを公共財・社会財として捉えた時の価値観の共有や継承は本当に難しくなってきているのだと思います。ただ、だからこそ、幅広いステイクホルダーのコミュニケーションの中にこそ、統一感や調和といった街並みに価値を与えるキーワードが大いに語られるべきだと思います。・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.37 建築形態のコントロール(前編) 〜デザインされる空間」から考える〜
  今回のコラムニストは藤田主任研究員で、テーマは「建築形態のコントロール(前編)〜デザインされる空間」から考える〜」です。 都市のバリューを考える会のコラムもここ数回は「街並み」に関することが続きます。 今回のコラムは前編・後編に分け、藤田さんにご担当頂きました。
「美しい国・日本」とは、数代前の首相が高らかに謳ったキャッチフレーズです。この「美しい国」には、立ち居振る舞いも含めて、文化的意味でのいろんな日本の良さが含まれていると思いますが、こと見た目の美しさという点では、山紫水明の風土はもちろんのこと、街並みの美しさも全世界に向けて明確なメッセージとして発信したいものです。
ただ、そのためにどんな取組みをしているかと問われると、少し心もとない感が否めないのが正直な気持ちです。少なからず、街並みの形成に携わる私たちがどのようなスタンスでこの課題に対処すべきか・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.38 建築形態のコントロール(後編) 〜経験される空間」から考える〜
  今回のコラムニストは前号に引き続き、藤田主任研究員で、テーマは「建築形態のコントロール(後編)〜経験される空間」から考える〜」です。
前編が都市空間デザインの「メッセージ」の発信側(建築家や都市設計家等)の主体性の視点、今回の後編はその「メッセージ」の受信側(利用者等)の受動性の視点から発信者である我々都市に関わる者たちが何を考えるべきかを記述し、試論を展開して頂きました。
「メッセージ」と言うからには、発信者と受信者で良好なコミュニケーション・会話が成立することが前提であり、そうでなければ一方的な主張を言い合うだけで、そこには、愛情も経験も産まれません。
非常に高度なコミュニケーションなのかもしれませんが、都市のメッセージャーである私たちとしては、会話の成立する明確な「メッセージ」をかたちに込めたいものです。「(利用者に)経験される空間」にいかなるメッセージを込めるべきか・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.39 屋外広告物によるまちづくり 〜屋外広告物による「プラス」の景観づくり〜
  今回のコラムニストは西尾主任研究員で、テーマは「屋外広告物によるまちづくり〜屋外広告物による「プラス」の景観づくり〜」です。
ここ数回、街並みや景観をトピックスのテーマとして掲載していますが、今回は、屋外広告物に焦点を当てました。我々の仕事仲間に「屋外広告物」の話題を振ると大多数の人は「規制」の話し、そのまた大部分の方は、「縮小や排除に向けてのコントロール」の方向の話に終始します。
大筋間違いではないと思いますが、屋外広告物も扱いようによっては、街の価値になりうる存在とするべき行動をそろそろ始める時期にきているのかもしれません。ここで大事なのが「扱い方によっては」という部分です。
ニューヨークのブロードウェイは行き過ぎで、デザインされているとは言いがたいのですが、あの地区の屋外広告物も大きくは「規制」されています。ただしビルのある範囲には、広告物をつけなければならないという「規制」(日本語では誘導というのかもしれません)です。それが証拠に、リーマンブラザーズの本社ビルも本社ビルでありながら、低層部には電飾広告が飾られていました。「悪いもの」を排除するより、「良いもの」を誘導することが難しいのですが、デザインのレベルを上げるとはこういうことかもしれません。
屋外広告物の未来は明るいのでしょうか?・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.40 異なる世界を内包する街の魅力 〜「異界」の存在を許容できる街〜
  今回のコラムニストは吉田主任研究員で、テーマは「異なる世界を内包する街の魅力〜「異界」の存在を許容できる街〜」です。
「異界」については厳密な定義が難しいところですが、“自分たちが日常的に囲まれている街の雰囲気と「ちょっと違うな?」って感じる場所”を広く捉えて、そのような場所が、街全体の魅力を高めているのではないか?って仮説で論を展開して頂きました。
論の展開としては、一見、このような場所を積極的に位置づけようというスタンスにも見えますが(全くその気持ちがないわけではありませんが)、位置づけを高めるというより、存在が「見えない(見えなくしようとしている)」ことにプランニング的な課題があることに力点があります。
このような存在を「見せること」を自然に、かつ人間(性)に直接訴えることで街の魅力を高めるプラニングスキル・・・。テーマは違いますが、スクラップ&ビルド型開発への反省も課題の所在としては、同じような原点を持っているかとも思っています。
難しいテーマですが、皆さんも一緒に考えてみませんか。・・・詳しくはNSRIのHPまで!
   
Vol.41 新たな公共インフラとしての自転車の可能性
〜自転車で都市のかたちを変えよう〜
  今回のコラムニストは筧研究員で、テーマは「新たな公共インフラとしての自転車の可能性〜自転車で都市のかたちを変えよう〜」です。
自転車と言えば、歩道を我がもの顔で走るちょっと怖い存在であったり、誘導ブロックにもお構いなしの違法駐輪であったりなど、ある意味「都市の問題児」として取り上げられることが多い存在ですが、我々にとっては、気軽で便利な乗り物であり、最も「足」に近い身近な存在と言ってよいでしょう。
こんな自転車が低炭素社会への関心の高まりとともに、注目を集めていますが、今回は、低炭素な乗り物という側面よりは、都市をコンパクトにするという計画誘導の側面支援的機能の可能性に着目して試論を展開して頂きました。
都市のコンパクト化は低炭素社会への切り札ですが、都市機能を集約化するといっても、徒歩とマストラでカバーしようとすれば、いろんな局面で相当なハレーションが発生することは明らかです。適正な密度で快適な都市の集約化を進めるためには、徒歩とマストラの間を補う「公共交通機関でありながら、パーソナルな移動を支えるもの」の登場が必要な気がしており、そこにこそ、自転車の「使わせ方」「普及のさせ方」を変革して対応すべきと考えます。
「都市の問題児」を更生させる方法とは・・・・・詳しくはNSRIのHPまで。
   
Vol.42 『新しい』公共を支えるまちづくり主体の組織化
〜「何となくの公共性」からの脱却〜
  今回のコラムニストは西尾主任研究員で、テーマは「『新しい』公共を支えるまちづくり主体の組織化〜「何となくの公共性」からの脱却〜」です。
都市計画の分野では数年前から「マネジメント」の類が今後のまちづくりのキーワードとして注目されています。すなわち、成長期の良質なストックやインフラを「創ること」から、成熟期での創ったストックを「利用する・お守りする」に主目的が移行しているという理解もできます。
このマネジメントを語る時、切っても切れないのが「新しい公共」とか「新たな公」とかいう「新しい」まちづくり主体の問題です。
単に行政でないということを「新しい」と読んでいいのか?何が「新しい」のか?・・・様々な疑問が沸く中で、「公共性」を伝家の宝刀にすることなく、私たちなりに「新しい」を見つけることが今、極めて重要だと感じ、今回のトピックで試論展開して頂きました。それぞれにとっての「新しい」があっていいと思いますが、「新しい」が目に見える、実感できるものであることがMustだと思います。・・・・詳しくはNSRIのHPまで。
   
Vol.43 揺るぎない『地域ブランド』を作ろう 〜安易な地域理解を超えて〜
  今回のコラムニストは藤田主任研究員で、テーマは「揺るぎない『地域ブランド』を作ろう〜安易な地域理解を超えて〜」です。
ブランディングとかブランドという言葉も今では日常的によく聞く言葉となりましたが、簡単にいうと「ブランド」は同じカテゴリーの中で他と区別するためのものであると捉えることができるのではないかと思います。
他と区別する時にとるブランド発信者側手段としては、「個性を際立たせる」とか、「+αの付加価値を与える」等、様々な手段があるかと思いますが、いずれの手段においても「ターゲット(対象者)」を決めて戦略を練ることが一般的(絶対的?)かと思います(極まれにマルチターゲットなんてものもあるかもしれませんが・・・)。
こうしたブランディング手法に倣って地域活性化の街づくりの中でブランド戦略を練る機会も多くなりましたが、商業開発は別として、なかなか「街づくり」というのはターゲット設定が難しいこと(通常の街は多世代で構成されている、様々なバックボーンを有した人々の集まりで街は構成されている)等の課題もあるようです。
地域が活性化するために、ブランド戦略は必要ですが、包装紙のように表面をきれいに覆えば、人は寄ってくるというわけにはいきません。地域ブランド構築のためには私たちが考えなくてはいけないものとは・・・・詳しくはNSRIのHPまで
   
Vol.44 ロードプライシング等による交通需要管理
〜道路空間の新たな可能性を見出す〜
  今回のコラムニストは筧研究員で、テーマは「ロードプライシング等による交通需要管理〜道路空間の新たな可能性を見出す〜」です。
コンパクトシティ(集約型都市構造)や公共交通主導のまちづくりといったこれからの主要テーマとなりそうな都市政策の中で自動車をどのように扱うかが重要と思われます。この「車の扱い」について、ロードプライシング等は都市のかたちの再構築をスムーズに移行させる有効な武器のひとつになるのではないかと感じています。ただ、交通需要を管理するという側面だけをクローズアップするのではなく、需要管理の先にあるものは何か、この武器を活かして都市の魅力を如何に高めるかというゴールを設定することなくしては、このツールを使うことの市民的合意形成も困難だと思います。どのように交通需要を管理し、このツールを如何に活かすか・・・詳しくはNSRIのHPまで
   
Vol.45 良質な街のメンテナンス 〜メンテナンスへのモチベーションの上がる街〜
  3月11日午後2時46分に起こった未曾有の災害「東日本大震災」。
東京でも震度5強の強い揺れを感じ、その後も余震が続く中、テレビから流れてくる信じられない映像に自然の力の恐怖を感じつつ、被災された方々に比べると自分たちが今すごく幸せなところに生きていられるありがたさを感じずにはいられませんでした。
関東地区では計画停電により、公共交通機関の運行もままならず、出勤・帰宅困難者も多数出ており、通常のラッシュ時より混雑している路線もありますが、そんな中でも、整列乗車をして乗り込む高いモラル、被災地のことを心配し、一致団結する清らかな国民性を垣間見るにつけ、日本に生まれてよかったと思う次第です。
まだ、被災者の安否確認も十分できていない状況ではありますが、これから復旧、そして復興へと長い道のりが始まる中で、自分たちなりに、できることを見つけてこの難局を乗り切っていきましょう。
今回のコラムニストは吉田雄史主任研究員で、テーマは「良質な街のメンテナンス〜メンテナンスへのモチベーションの上がる街〜」です。
街のバリューを高めるためには、ハードにつけ、ソフトにつけ、それなりのメンテナンスやマネジメントが必要です。ボランティアに頼るというのも一つの手ではありますが、個人に負担強いた上で成立しているメンテナンスは、とても長続きするものではなく、また力強い活動にもなりにくいものなので、それなりの財源と人手が必要不可欠と考えます。街のメンテナンスに限らず、自分たちの活動が目に見えるかたちで、価値化されることがこうした活動のモチベーションの基本です。
モチベーションの上がるメンテナンスとは。また、メンテナンスのモチベーションが上がる街とは・・・・詳しくはNSRIのHPまで
   
Vol.46 (号外)東日本大震災から私たちが考えるべきこと
〜人とインフラで築く「自給」「融通」「自立」〜
  大震災から半月あまりが経過し、激甚被災地ではまだまだ多くの人が苦しんでおり、過去に例をみない災害からの復旧・復興は間違いなく長期戦の様相を呈していますが、今日は、新しい顔ぶれを迎えての年度変わり。なかなか春を迎えるという気分にはなれないかもしれませんが、思い切って気分を切り替えるにはもしかすると良いタイミングかもしれません。
今回のコラムニストは私が担当し、テーマは「東日本大震災から私たちが考えるべきこと〜人とインフラで築く「自給」「融通」「自立」〜」です。
テーマとしては当然ながら、当初予定していたものではなく、震災後ずっと考えていた個人的思いもあって、研究会サイトという「公」の場を、少々わがままを言わせてもらって、号外として書かせていただきました。一見、今の状況に対して悲観的ニュアンスで受け取られる文面かもしれませんが、気持ちは真逆であり、全くといっていいほど、被災なんてしていない自分がそうした心情になったからこそ、日本があるいは日本の都市が、より強くなるために我々、都市に関わる者はこの経験から次の世代につなげるべきものを確実に見つけ出し、かたちにしていく責務があります。それは都市の「かたち」だけではなく、我々の生き方や生活スタイルという「かたち」に対しても同じ位重要なことのような気がしています。・・・・詳しくはNSRIのHPまで
   
Vol.47 市民が参加し、誇れる街をつくる仕組み
〜都市の持続性を高める「まちづくりの力」とは〜
  大震災から1ヶ月あまりが経過した。東京では桜も散り始めた。今年の春は心なしかいつもと違う粛々とした春のような気がした。
今回のコラムニストは筧研究員で、テーマは「市民が参加し、誇れる街をつくる仕組み〜都市の持続性を高める「まちづくりの力」とは〜」です。
市民参加は今やまちづくりに取って欠くことのできないプロセスになってきています。ただ、手続き論としての市民参加や、用意された舞台の上で踊ると言っては表現が不適切かもしれませんが、まだまだ、市民の自発的なまちづくりへの参加というものが大勢を占めるには時間もかかりそうです。
建物でも、ユーザーニーズから遠いところで立派なものを作り、いくら賞賛されようと、それはユーザーにとって、微塵の価値もないものであり、大事に使われることはないでしょう。都市の同じであり、市民は街の利用者です。多様な価値観が並存する中で、全てに満足することは無理だとしても、彼らの意見をまちづくりのどういうフェーズで、どういう仕組みで組み入れていくかということが非常に大事であり、こうした取組みこそが、街が愛され、持続するための必須条件になります。
私たちは街づくりのプロであるからこそ、そういたシチュエーションを用意し、街づくりに「魂を入れる」ことを忘れてはいけないと思います。街づくりは創って終わりではなく、育てていくものであり、その「力」をつくることもプランナーの大事な仕事です。・・・・詳しくはNSRIのHPまで
   
Vol.48 まちづくり主体の財源確保 〜まちとともに成長する組織へ〜
  今回のコラムニストは西尾主任研究員で、テーマは「まちづくり主体の財源確保〜まちとともに成長する組織へ〜」です。
このところタウンマネジメントを対象としたトピックスを取り扱ってきましたが、今回は、その基盤ともいえる財源問題に切り込んで頂きました。
皆さんは、まちづくり組織なんて儲かるわけがないとか、まちづくり主体が儲けようと思うこと自体がそもそも間違いなんて、ハナから決めつけていませんか?確かに儲かることは難しいかもしれませんが、ならば収支が合わないようなまちづくり活動をなぜやっているのだろうとか、実施する意味があるのだろうかと考えたことはないでしょうか。今回の仮説は、行政でもない民間企業でもないまちづくり組織は今後も重要としつつも、財政出動に依存できない状況の中、持続性のあるまちづくりのためには、まちづくり組織の財源上の収支を合わさなくてはいけない。そのため、意味がある活動や事業でかならずスポンサーをつけなければいけないってところがスタートになっています。収支が合うということはその活動や事業に対して、@受益者(スポンサー)いる。A受益者は活動(内容)に満足している(だからこそ見合う対価を払っている)B主体がスポンサーと向き合っている(ニーズを把握している)って視点に立っています。まちとともに組織が成長するとは・・・・詳しくはNSRIのHPまで。
 
 
 さて、約2年間にわたって活動してきた「都市のバリューを考える会」はこの号を持って、トピックスの連続掲載を一旦お休みします。
 少しお時間を頂いて、これまでのトピックスを振り返るとともに、私たちなりの「都市のバリューとは?」っていうテーマに対する答えを考えたいと思います。どうもありがとうございました。
 
 
   
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