2016年11月30日
我が国においては、急速に進行する少子高齢化とそれに伴う人口減少によって、中長期的な経済成長の停滞や都市の衰退をはじめとして様々な社会的課題に直面しようとしています。そのような中、IoT(Internet of Things)・ビッグデータ・AI(人工知能)等の新たなICT(情報通信技術)が注目を集めており、まちづくりと関連性の高い公共分野(防災、防犯、医療、教育、交通等)においても、その活用が期待されています。
本稿では、防災および防犯の先進的な取組事例を取り上げつつ、安全・安心なまちづくりを一例として今後のICTの展開可能性について紹介します。
出典)熊本地震における公衆無線LANの無料開放について(報告書) 2016年9月、無線LANビジネス推進連絡会)
出典)平成25年度 住生活総合調査(速報集計)結果をもとにグラフ作成(国土交通省住宅局)
これらへの対応として、伊丹市では、安全・安心見守りカメラとあわせ、ビーコン受信器を整備し、小型のビーコン発信器を持った子どもや認知症高齢者の徘徊等の位置情報を、保護者のスマートフォン等に通知するサービス(まちなかミマモルメ)を実施しており、類似の取組は、他の地方公共団体でも展開され始めています。
※伊丹市の利用対象者は、小中学校の児童・生徒、認知症高齢者で徘徊の恐れがある方、障がい者に限定
これまで、見守りカメラやビーコン受信器は、電柱等に固定式の機器として取り付けられてきましたが、伊丹市では、これに加えて、カメラやビーコン受信器がない箇所でも、見守りボランティア用アプリをインストールしたボランティアのスマートフォンが受信器となり市民全体での見守りの実現に向けて取り組んでいます。
昨今のICTの深化により、今後の新たな取組として、市民(見守りボランティア)のスマートフォンのみならず、公共車両(公用車やごみ収集車、バス等)のクルマやバイク等にも受信器を搭載することで、新たな社会インフラ(動体インフラ)として活用し、見守りサービスの充実・向上、さらには交通事故抑止を図ることが期待されます。また、これらの収集データは、ビッグデータとして、まちづくり分野への活用も期待されるところです。
位置情報通知サービス「まちなかミマモルメ」 出典)伊丹市ホームページ