No.88 シリーズ "NSRIは何をしている会社?" 第1回

2014年06月30日

VIEW NSRIの組織体制と取り組み

本年1月より組織体制が再編され、以下の5つのグループ制となりました。

  • ZEB(低炭素建築) グループ
  • スマートシティ グループ
  • モビリティデザイン グループ
  • エネルギーマネジメント グループ
  • 都市開発 グループ

VIEWでは、今号から各グループの取り組み・サービスについてシリーズで紹介していきます。
第1回は、エネルギーマネジメントグループの取り組み・サービスの紹介です。

エネルギーマネジメントグループのご紹介 Vol.1 

近年、ゲリラ豪雨などの異常気象が目立つようになり、北海道でマンボウが獲れるなど生態系の異変がおきるほど地球温暖化の影響が身近で感じられるほど深刻化しています。地球温暖化の要因は、建物のエネルギー消費に拠る部分が大きいとされています。また、東日本大震災時のエネルギー供給の制約から、我々の暮らしがエネルギーで支えられていることを改めて強く認識するようになりました。生活の快適性を維持した上で、省エネルギーを徹底するエネルギー需要側と、低炭素なエネルギーを作り出すエネルギー供給側双方の工夫を行うことが重要です。エネルギーマネジメントは、エネルギー費が高騰する中では企業にとって「守り」となり、CSRが重視される中では環境性能を高める「攻め」にもなります。

エネルギーマネジメントグループでは、日建グループのLCD(Life Cycle Design)の中で、お客さまの建物のライフサイクルに亘って、省エネルギー性能を含む環境目標の実現をサポートしております(図-1参照)。主なサービスは、コミッショニング、省エネ診断、法規制対応などのコンサルティングです。特に、Intelligent BEMSを活用した先進的なエネルギーマネジメントは、豊富な設計経験と精度の高いエネルギーシミュレーションを保有するNSRIならではのサービスです。今回は、当グループのコンサルティングサービスの中から、トップレベル事業所認定申請支援、ライフサイクルエネルギーマネジメント、建物総合環境性能評価申請支援に関するサービス内容を紹介します。


図-1 当グループが提供する建物のライフサイクルに亘るエネルギーマネジメントサービスイメージ

ートップレベル事業所認定申請支援業務ー

東京都では、温室効果ガスの排出量を2020年までに2000年比マイナス25%とすることを目標とした様々な取組みのひとつに、大規模事業所を対象にした温室効果ガス排出総量の削減義務があります。建物用途により第一計画期間に5年間平均で基準年比8%または6%、第二計画期間に17%または15%の削減義務を課すという大変厳しい内容となっています。


図-2 東京都の大規模事業所を対象にした温室効果ガス排出総量の削減義務 (出典:東京都環境局)

一方で、省エネへの取組みの程度が高い事業所をトップレベル事業所として認定し、削減義務率を規制値の1/2または3/4に緩和する制度があります。この制度を活用することで、建物オーナーは実際の建物管理の質向上と省エネ化を図ることができるとともに、社会的評価を得ることも可能です。トップレベル事業所の認定を受けるためには建物の計画段階から竣工後運用段階に至るまで、規定された要件をクリアするとともに膨大な根拠資料を準備する必要があります。NSRIでは、お客さまの作業を大きく軽減し、確実に認定を受けていただくよう計画段階から運用段階までサポートします。


図-3 申請書の例

ーライフサイクルエネルギーマネジメントー

建物のエネルギー性能を適正な状態に維持するためには、計画段階から運用段階まで継続的にエネルギーマネジメントを行うことが有効です。具体的には、計画段階でエネルギー性能の目標値を定め、設計段階で性能評価に必要となる計測計量計画を具体化し、運用段階で実績データを分析して、目標値の達成状況を確認するとともに適宜改善提案を行います。

東北電力本店ビルでは、竣工後10年間に亘って建物のエネルギー性能を適正な状態に維持するために、建築主・居住者・保守運転管理者・施工者・設計者による性能検証体制を構築し、継続的にエネルギーマネジメントを実施しました。電力負荷平準化を徹底するための管理目標値を定め、採用された各種方式やシステムの運転性能を定量的に分析・評価を行い、竣工以来、毎年最大電力を標準的な建物の半分となる40W/㎡以下に維持することに成功しました。この成果により第13回空気調和・衛生工学会特別賞「十年賞」を受賞しました。

晴海アイランドスクエアでは、街ぐるみのライフサイクルマネジメントを行いました。計画段階から運用段階までエネルギーを消費する建物とエネルギーを供給するDHCプラントの双方に対してエネルギーマネジメントを実践し、街区全体のCO2排出量を大幅に削減しました。この成果により第12回空気調和・衛生工学会特別賞「十年賞」を受賞しました。


図-4 消費先別の年間電力消費量・一次エネルギー消費量原単位の10年間推移

ー建物総合環境性能評価申請支援(CASBEE評価・認証申請)ー

近年、企業のCSRが重視される傾向にあり、建物の環境性能が社会的に評価される時代です。建物の環境性能は、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)やLEED等の指標を用いて定量的に評価することができます。NSRIでは、自治体版CASBEE構築支援などの指標構築の支援に加えて、多くの建物に対するCASBEE認証申請を実施しております。

CASBEEは、日本国内で広く普及しておりますが、最近は国際的にも注目されています。NSRIが低炭素コンサル及びCASBEE評価・認証申請を実施した「泰達MSD低炭素モデルビル(H2)(中国天津市)」は、CASBEEによる初の海外物件としてSランクの認証を受けました。

図-5 TEDA広場H2ビルのCASBEE評価結果(海外でのCASBEE Sランク第1号)