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1.井形慶子自己紹介とともに、なぜイギリスという国に魅力を感じるのか

2日本人とイギリス人の住まいに対する価値観の違い。なぜ古家は壊されるのか? イギリス人はどんな家に価値を感じるのか?など。

3. 井形慶子が、住みたい町、No1の吉祥寺に500万円の老朽物件を購入し、300万円でフルリフォーム。ロンドン風フラット完成。

5. イギリスで売り家になっている魅力的な家。(借地権999年の古城、
湖が見えるコッツウォルズの古城)

7. 家づくりとは、住まいに命を吹き込む作業

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私は、ご紹介にあずかりましたように、長く日本とイギリスを行き来しておりまして、19歳の時からですから、もうかれこれ90回以上、英国の方に行っております。その中でいろいろと感じたことを、今日は私が撮りおろしました英国及び日本の珍しい写真なんかも織りまぜてお伝えしていきます。
私の講演は、耳で聞いて、目で見て、心で何かを感じ取ってお帰りいただくということをテーマとしておりますので、これから1時間半の間、場内を映画館のように暗くさせていただきます。

 

1.井形慶子自己紹介とともに、なぜイギリスという国に魅力を感じるのか。

(図1)
今日は、『なぜ「イギリスの家は古くて豊かで 日本の家は便利で貧しい」のか』というタイトルのお話をさせていただきたいと思うんですが、最初に谷さんにご紹介いただきましたけれども、改めまして、ここで、私がどういう仕事を普段しているのかということを駆け足で知っていただきたいと思います。これは後のお話につながっていくと思いますけれども、私は月刊「ミスター・パートナー」という、創刊21年目の英国生活情報誌の編集長をしております。生活者の視点から、イギリスのいろいろな暮らしを伝えておりますが、この雑誌の編集長及び作家をやる中で、いろいろな方々とインタビューでお目にかかっております。
(図2)
例えば、『高慢と偏見』という映画は、英国では大変人気ですね。最近では『ブリジット・ジョーンズの日記』という映画に主演されましたコリン・ファースさんです。それから姜尚中さんですとか、政治家の方々ですね。皆様もよくご存じの方々と、「政治と暮らし」というテーマでお話をさせていただきました。政策は一切聞かず、お小遣いは誰から、幾らもらっているか、服はどこで買うのかとか、そういうことを聞きつつ、この政治家の方が一体何をベースに立っていらっていらっしゃるのか、それを探る対談でしたが、大変好評を博しまして、ラジオでもたびたびオンエアされました。
(図3)
岡田克也さんが困惑気味で写っています。このシリーズというのは政治家の方々のプライベートな結婚生活にまでかなり突っ込んで聞いていくんですね。鳩山さんが、ちょっと余談になりますが、ご自身のご結婚を略奪愛というふうな形でベラベラとお話されまして、それを岡田さんが聞いていた。秘書の方々を全部部屋から出して、カメラマンと私と3人だけで対談をしたということでした。私は、彼がおまんじゅう1個も受け取らない人だというのは聞いておりましたが、ただ、手ぶらでお話を伺いに行くのもなんだなと思っていました。その時、岡田さんは、カエルが大好きで、カエルの置き物を集めるのが趣味だと伺っていました。スタッフに、小指の先ほどのカエルの置き物を売っているお店が吉祥寺にあると聞いたので、それを依頼したつもりだったのが、何を間違えたか、蚊取り線香が入るくらいの大きなカエルを買ってきました。「私は贈り物は一切受け取らないんです」と固辞されているところなんですが、「カエル1個受け取っても、別に賄賂と思われませんから」と私が説得している、その場面でございます。なかなかダンディーな方でございました。
(図4)
石原慎太郎さんとは、東京の新宿の都庁を中心に、裏と表で余りにも街並みがひどいというお話をしておりましたところ、ちょっと機嫌が悪くなりましてね。本のお話になると、すごいイギリスがお好きらしくて、話が弾んだことを覚えております。
(図5)
今、国土交通大臣になられました馬淵澄夫さんです。この方とはいろいろなお話をさせていただきました。同世代ということもあって、共感する部分が多い方です。
さて、こういういろんな方々とお話をする中で、私の視点というのはいつも同じなんですが、価値観なんですね。この人たちを動かしている価値観、価値というのが一体どこから来るのかというのを絶えずずっと探っていくわけです。そういうことをもとにして、いつも本を書いております。
(図6)
最近出しました本は、イギリスのいろいろな整理術、収納を書き加えたフォトエッセーと、それから今日発売の『日本人の背中』、そして昨年出版して大変話題となりました、吉祥寺で500万円の老朽物件を買ってリフォームしたというノンフィクションですね。その他、たくさんの本を書かせていただいております。
そういう中で、私は、先程のような著名な方もそうですが、恐らく皆様方のどなたかが顧客とされていたり、ターゲットとしてお考えであられたりというような読者の方々にも多くお目にかかってお話を重ねてきました。ここから家のお話になります。私は実はイギリスに90回以上行っていると言いましたが、「イギリス以外の、趣味は何ですか」と聞かれますと、すかさず答えるのが「家を見ることです」というくらい、無類の家好きなんです。


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