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(図2)
これは当たり前なんです。僕は80歳ですが、70歳ぐらいから隠居というのはあり得ない。70歳過ぎてもみんな月10万円ぐらい稼がないと日本はつぶれてしまうよということをこの表は物語っています。これは大事だなということで、これを取り上げてスタートの話にします。
僕は75歳まで現役で働いてくれと言っています。60歳で会社をやめて65歳までは嘱託扱いで会社の組織でいろいろ面倒を見てもらう。その次に、5年刻みで70、75といくわけです。仮に一般の人が60歳で年収800万円もらっていたとします。65歳まで300万円下げて、500万円。その後、65歳で退職して退職金と年金でやっていく。それでは、うまくいかないよということをこの表は言っています。65歳から70歳までは300万円、70歳から75歳までは200万円は働こうと。70歳から75歳の200万円というのはざっくり言うと、月給15万円です。月給15万円というのは、その辺のパートのお兄さんたちが一生懸命働いて、時間給大体800円だとすると手取り15万円です。元気なお兄さん、お姉さんが働くほどは働かないけれど、15万の3分の2の10万ぐらいは皆さん働いてくださいということになります。その働き方はどういうものか。これは後の話にします。
(図3) 
「老年従属指数(高齢人口を生産年齢人口で割ったもの)をみると、1970年代頃(昭和40年代)までは一貫して0.1程度で推移してきたが、以後2050年頃までの間に0.8程度に上昇する」。1970年(昭和45年)ぐらいまで0.1で来た。2010年は0.3です。そのまま行くと、2050年には0.8になるんです。これは生産年齢人口を65歳までとして、その上を高齢人口とした場合です。
役人も考えていまして、75歳以上の人口と15歳から74歳までの人口の比を見ると、74歳までを生産年齢人口にして、75歳以上を高齢者にすると、およそその半分程度、0.4です。15歳から74歳まで、働け働けといって働くとします。そうすると0.4。それでも今の0.3より高いんです。とにかく74歳まで働くのは将来必要なんだよということを暗示しているわけです。80歳以上の人口にすると、0.3で、今ぐらいです。
70歳ぐらいで、時間が余って料理教室に通うよりも、床屋のおやじさんに転職して、年寄り同士で1人の頭を1000円ぐらいで刈るという職人になる。あるいはふすま張りだってこれから結構需要が出ます。ふすま張りは結構難しいんです。あれは意外と年寄りに向いている。中小企業の工務店の下請をして、ふすま一丁上がりで2万円、そういうことで仕事をしてくれないと0.8になってしまいます。0.8ということは、65歳以下の生産年齢人口1人が65歳以上の0.8を支えるわけです。これはあり得ない話です。
80歳以上の高齢人口にしますと、2010年で0.1です。僕は80歳ですが、80歳までは無理です。75歳まではいけます。僕は、ここで声を大きくして、65歳から10年間働きましょう、料理教室に行くのをやめて、ふすま張りや床屋になるほうがちゃんと国民に貢献しますよと言いたい。もっと言いますと、営業なんていうのは若者より年寄りが絶対向いています。いろいろなタイプの営業があります。営業なんていうのは将来ほとんど65歳以上の人にやってもらう。そういうマーケットのつくり方があっていいのではないかと思います。
もう1つここに落とし穴があります。75歳まで働くとか80歳まで働くとなると、4分の3以上はご婦人です。亭主は早く死にますから。ご婦人の働き方をどうしたらいいかということが大変大事になってきます。
僕は随分前に話したと思いますが、保育所の若い保育士が赤ん坊たちの面倒を見るのを見て非常に不思議に思った。昔、保育園がなかった時はおばあさんが面倒を見ていました。昭和10年代です。おばあさんが全部孫の面倒を見て、嫁さんは働きに出る、または内職をやる。それでちゃんと育っているんです。だから、国家資格の試験を通って保育士になった若いお姉さんだけに子どもを預けていいのか。むしろ試験ではなくて、それこそ60歳以上または65歳以上の元気な若いおばあさんを保育所にドーンと入れて、若い保育士と若いおばあさんが1対1ぐらいで保育所の子どもたちの面倒を見るほうがずっと安定感があるだろう。そんな話をしていました。していたら、こういう表が出てきたので、俺の言ったことを若い役人もそろそろ考え始めたなという感じです。職業をどうするかということもありますが、年寄りが今後どうなるかという話です。
(図4)
東京の20年後の人口を見ましょう。総人口は、2010年で、我々の推計では23区900万人。2030年で約980万人。20年間で約80万人(8.6%)増加するということです。問題は77.8万人の内訳なんです。
(図5)
77万人のうち外国人が一体どのくらい増えるのか。約20万人増えるんです。
(図6)
それから、生産年齢人口、33万人。
(図7)
20万人と33万人の残りが年寄りです。老齢人口の65歳以上が41万人です。41万人と外国人に20万人を足したら、生産年齢人口を完全に上回ります。東京23区で、年寄りが180万人から220万人、41万人(25%)増える。これをほっといていいのということです。東京の町の中を散歩したりするのもいいんですが、同じ歩くのでも、宅配便の配達をするのと、ただ散歩するのでは価値が違いますね。宅配便を自転車で配ると、1時間多分1000円ぐらいになるんでしょうが、散歩はゼロです。
年寄りがとにかく仕事をしない限りは、23区で老年人口(65歳以上)が40万人増えるだけです。これを一体どういうふうにするのかという話です。

 

        
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