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(図8)
もう一回もとに戻りましょう。外国人人口、これも大変なんです。外国人人口は東京23区で、現在は35万人ですが、これが20万人約58%増えます。区別でどうなるか。新宿区は今の総人口のうち10%が外国人なんです。20年後には16%になります。23区の平均では4%から5.5%。大したことないんです。例えば杉並では、2%から2.6%。20年たっても外国人のガの字もない。ところが杉並から電車に乗って新宿に行くと、外国人16%。異郷の土地へ行くという感じかもしれません。何故かというと年寄りの外国人はいないんです。外国人はみんな若くて仕事をしています。1人の日本人の年寄りがヨタヨタ歩くのに比べれば、若い外国人はその4倍も5倍も歩くわけです。
そういうところが新宿区で16%。それから豊島区、6.8%から11%。豊島区11%といっても現在の新宿と同じぐらいだから、新宿は異様に増えます。港区は、お金のある外国人が多いので余り目立たないように暮らす。ところが、新宿区の外国人は目立ちます。16%というのは、ヨーロッパの町のベルリンでもどこでも外国人租界がありますが、あれと似たような感じになるかもしれない。港区8.6%。もう1つ、中野区というのは年寄りが多くてどうしようもない区なんです。これが4%から6.5%。急速に外国人があ増える。何を言っているかというと、中野区の隣は新宿区ですから、中央線沿線の新宿から阿佐ヶ谷ぐらいまで、駅前商店街はほとんど外国人の焼き肉屋やインド料理店になるだろうということを言っているわけです。
(図9)
次に老人です。老人はどこで増えるか。これは老人の増加率です。増加率の高いのは実は中央区と港区と江戸川区ですが、気をつけなければいけないのは、現在の老人比率が低いんです。総人口に対する比率が4%から5%。それが1.5倍になったって6%です。新宿区の10%が2倍近くになったら大変なことになる。中央区と港区の増加率は高いんですが、もともとの2010年の老人の数が低いからこういうことになっている。むしろ、老人の人口密度で考えると、2010年と2030年の比較を見ますと、どこに老人が一番集まってくるのか。これが2010年で、これが2030年です。赤が多い区、豊島区、荒川区、この辺に年寄りがたむろするんです。次に桃色。相当限定的です。杉並区、中野区、新宿区。新宿は年寄りも増えて、外国人も増えるから、すさまじいことになります。文京区は割合質のいい区です。台東も老人が増えています。北区、板橋区は、老人ベルトです。
これを見ながら、こういう人たちに実際にどういう仕事をしてもらえるのかと考えます。ここからは想像ですが、多分、荒川区や豊島区のお年寄りはすぐ仕事を見つけます。もともと中小企業で働いている人が多い。職人で手に職がある。人口の統計を見て類推できるのは、荒川区は仕事の面倒を見るための情報交換はべらぼうに高いんです。こういうところの老人はハッピーですが、問題は杉並区、中野区、板橋区です。目黒区もそろそろ杉並病、中野病になってくる。こんな形で、老人の区による住まい方が変わってきています。
(図10)
年少人口を見てみましょう。年少人口はしばらくは上がってきますが、2025年からドーンと下がります。2010年の98万人から2030年は2.7万人しか増えない。東京23区は、年少人口をこれからどうするのか、増やしていけるのか。統計的事実としては減る方向ですから、これの別な見方をすると、東京23区の活力はどういうところから持ち込んできたらいいのか。年少人口にはそれほど期待できない。
もう一度戻って、増えている人間にもっと元気に働いてもらわなければいけない。そうすると、外国人に一番働いてもらう。それから老齢人口にも働いてもらわなければいけない。こんな話が出てきます。
(図11) 
先程僕は60歳から75歳までは働きましょうと言いました。75歳から上の人たちはどう逆立ちしても世の中のお世話にならなければいけない。そういう年です。75歳からだんだん女性の比率が高くなります。75歳からの世帯がどうなるか。東京区部の75歳以上の単身世帯は、全世帯の中の予測で、2010年の24万人から、2030年に約37万人。十何万人も増える。先程の65歳以上から75歳までを生産年齢人口と勘定すると頭打ちですね。これは考えようによっては、医療保険が増えますから、社会保険に全部おんぶにだっこという人たちです。その人たちがどこに住んでいるかということです。
(図12)
これが増加率です。2010年から30年の全世帯の中で75歳以上の単身世帯の増加率がどのくらいかというと、江戸川区とか江東区は高いんです。しかし、これもトリックがあります。もともと江戸川や江東は75歳以上の単身者の比率が低いんです。低いから20年の間に、例えば2%が4%になると100%です。
(図13)
問題は75歳以上の人たちの世帯密度です。もともとの2010年の母数が高かったところがもっと高くなってきて、杉並区、中野区に75歳以上の人たちが集まってきてしまいます。75歳以上の何もしない人がそこにわだかまって住んでしまう。次は豊島区です。豊島区の75歳以上というのは何か仕事をする人たちです。それから北区。こういうところは75歳以上の人がいっぱいたむろしていくだろう。

 

       
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