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(図15)
僕が具体的に描いた図面です。「山手線内の安全市街地化」。これが防火地域。新防火地域は外側に今提案されている。不良密集市街地で一番大火になりやすいところに新防火地域を入れています。山手線の中は全部防火地域にしてもいいし、新防火地域を要所要所にかけてもいい。ここの中は全部防火地域にしなさい。そうすると、木造家屋がなくなります。災害時の大火の危険度が大幅に低下します。安全地域を世界に向かって宣言します。海外からの居住者の災害危険の不安を大きく低減させることが実際にできます。目黒区や危ないところに住んでいる外人さんは、今住んでいるところよりも文京区のほうが安全です。だから、文京区に来てください。世田谷の危ないところの外人さんも、新宿区の市ヶ谷辺は安心だから来てください。文京区と新宿区と港区、この辺に、カネを持って、日本人を使う会社を経営できるような外国の人たちに新たに住んでくださいと提案することが前提なんです。
(図16)
「都心部の高容積化」。これが、不動産屋さんが一番興味のあることです。私はこういうふう考えました。面積を広げることはいいことだ。現在1000平米の敷地を持っている人が10人いた。10人が勝手に1000平米で6階か7階のオフィスビルをつくるよりも、10人が相談して1万平米の1つの建築敷地にして建物を建てる。そこの容積が仮に700%だとしたら、1000%にします。その1000%に面積比要件で1.5倍まで上げて、なおかつ防災性能と省エネルギー性能とデザイン性能の要件を全部具備していたら、それぞれの項目に1割ずつ性能を上げる。規模性能で1.5倍、防災性能1.1×省エネルギー性能1.1、それにデザイン性能、これは基本的に隣棟間隔ですが1.1、1.5×1.1の3乗=1.966で約2倍です。1000%のところは2000%になる。僕は2000%を超えてもいいと思っているんです。
大阪の駅前の阪神の再開発で大阪市は2000%をやっています。東京は表向きですが、大・丸・有で1600%しか上げない。これは不思議なんです。率直にいうと、1300%を1600%にするという理屈は何もありません。
敷地規模係数最大1.5、防災1.1。1000平米は基準法上700%だったら700%しかあげないけど、1万平米にしたら1000%にする。それに防災で1.1×1.1×1.1を掛けると2000%いくよ、こういうことをやろう。割合単純なんです。ブラックボックスをつくらない。誰が見ても理解できる。ただし、これで決めるわけではない。
(図17)
グラウンドゼロ。例の飛行機が突っ込んだワールド・トレード・センターの建て替えで、4000%をニューヨークはあげています。今つくっているワン・ワールド・トレード・センターには4500%あげている。エンパイア・ステートは前から3300%。東京の都心部をニューヨーク化する。道路率が40%以上のところは都心化でいいのではないか。こういうのがあるんです。それなのに何で東京だけ、きちっと東京駅の前だけ高くして、あとはグラッと下がるようにしてコントロールしなければいけないのか。むしろ少し離れていても、ここだけは絶対いいものをつくるという地主組合、再開発組合の意欲を高く評価したら、そこは500%であっても、1200~1300%にしてもいいんです。もっともらしく丸の内だけが1000%で、カテナリーでずっと容積が下がっていくなんていう絵姿を考えていたのは、第2次大戦の前なんです。そういうことをやめましょう。
(図18)
これは相当苦労した図面です。赤いところは容積率2000%プロジェクト。2000%を超えても構わない。僕は7という数字が好きなので、2030年までに2000%が7本ぐらいあったらいいなということで、僕の専門的恣意性でつくりました。
1つは、日本ビルの再開発です。もう1つ、後ろに今、郵政の空き地があるので、何とかしなければならない。あそこを2000%にしてもいい。こちらは三井さんに敬意を表して、東洋レーヨンのうしろに1つ。僕は八重洲が大好きです。大・丸・有というのは昔の武家地です。それに比べて八重洲は町人街だから面白い。けんかし放題、相当よくないものも入っています。町人街としての味がある。僕はどちらかというと町人街のほうが好きなものですから、東京建物をそそのかして、「2000%でやってみろ」と言いたいと思っています。それぞれ理屈があるんです。これで4本。それから、環2は森ビル。森ビル、起死回生でこれぐらいつくってもらう。これで5本。
あと2本は新宿。新宿の一番の大事なところは西口の駅前広場です。あそこは安田生命さんと小田急さんが頑張っていて動かないんです。変な会議に行って、変なこと言ったら、すぐ役人に取り上げられてマイナス点になるため、どちらもじっと黙っていて、我々がつくっているメンバーの中にも入らない。それなら、新宿駅西口1000%指定、2000%を2本やるので、つき合わないかというとどうなるか。そうすればここが動くと思うんです。問題は、2000%の容積で具体的に超高層の建物を2本つくるのにはどうすればいいか。都市計画がそれで知恵を出すんです。これだけは小田急も安田生命も考えがつかない都市計画の専門性というのがあるんです。新宿が頑張ると7本。こういう姿があってもいいのではないかということです。
(図19)
これはディテールですが、赤坂御用地の前に積水ハウスの建物のあるゲーテ・インスティトゥートがあるところです。ここのところは、調べてみると、400%、300%。部分的に200%の第一種住居です。第一種住居と第一種の中高層住専があって、少し近隣商業が入っている。これは日影で再開発ができないんです。ここも全部目をつぶって500%の商業にしてしまう。現場を歩くと500%にしてマンションでもつくってくれないかなと思うようなところです。500%の商業にするということは、普通の役人には考えられない。やれば、ここは物すごく元気になります。ここはいつも中途半端に扱われて、質の悪い小さい建物ができたりするところです。
(図20)
附置義務駐車場。土地から建築費込みで1台1000万円から2000万円かかりますが、あいているんです。こういうものはやめてくれ。これをつくらなければならないというので、新宿東口の川瀬ビルのオーナーが来て、僕にぼやいていました。新宿東口の紀伊国屋や新宿御苑の小さい建物はもうオンボロで建て替えなければいけない。建て替えるなら附置義務駐車場をつくらないといけない。附置義務駐車場をつけると、新宿通りの表に駐車場の入り口をつくるから商売ができない。こんなことは人殺しもいいところだ。そういう話です。話としては役人的調整というので、東口でつくる附置義務駐車場を西口のガラガラにあいているセンタービルや三井ビルの駐車場に転用して、そこを東口の附置義務駐車場としてそろばん勘定を合わせるというけれども、役人がそろばん勘定を合わせて、本当にそれを使えるか。使わないですよ。何でもそろばん勘定を合わせて役人として理屈を通すというのに、僕はほとほとくたびれています。人生80年の最後のご宣言です。

        
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