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(図13)
次は「社会基盤」。④「羽田空港第六滑走路の整備」です。ビジネスジェットを5番目の滑走路以外のところにつくることを提案しよう。航空局のエンジニアが、この案は前からあり、潰すかもしれないが、載せることに反対しない。でも覚悟しろと言うので、後で案を2つ出します。外国人が気楽に来られるというのは、羽田空港の容量強化とクルーザーの受け入れ強化です。
それから、「どこでも簡単に行き来できる街」。地下鉄網の乗り換え施設がひどいんです。地下鉄の入り口、階段のところのことです。ひどいのは幅1間半ぐらいのビルをちょっと借りて、そこに階段だけつくって道路から地下鉄に行く入り口をつくるけど、そこに何もない。大江戸線の大門の入り口は典型ですね。丸ノ内線でも南阿佐ヶ谷の地下鉄の入り口はひどい。地下鉄の入り口は行儀作法が大事なんです。パリに行きますと、アールヌーボーの20世紀初頭の地下鉄の入り口がしゃれたデザインで、公園の中のしかるべきところにちゃんとあって、そこまで歩いて、これが地下鉄の入り口だなとわかるようになっているんです。ところが、東京の地下鉄はまさに即物的で、あれは先進国東京のやるべきことではない。地下鉄の入り口には必ずキヨスクとちょっとしたたまりがあって、階段がある。そういうスペースで全部整理する。おまけにエレベーターもそこに持ってくれば便利かもしれません。そうすると地下鉄の乗り換えはずっと楽になります。大江戸線との乗り換えではエレベーターのつけ直しが一番必要です。やることがたくさんあるんです。
⑤は「リニア新幹線」。④と⑤は土木工事です。①と②と③はカネを使わない。土木的おカネは使ってないんです。防災と防犯。山手線の中を防火地域として指定するのが①。②「都心部の高容積化」。この地域については、かくかくしかじかの基準に合致した建物は2000%を十分認めてやるという話です。③の国際居住区もそうです。カネを使うといったら、せいぜい防犯灯を余分につくる、交番を増やすぐらいです。思い切って基準を緩めて、役人が絶対できないよというものを突破しなければいけない。
⑤はカネを使うんです。特にリニア新幹線は、名古屋まではナンセンスです。大阪まで絶対一緒につくらなければいけない。JR東海が名古屋までのカネしかないと言ったら、名古屋から大阪は国がつくって、それを後で100年ぐらいの年賦でJR東海が買えばいいんです。それが、東京と大阪、名古屋が世界のどこの都市にも負けない国際的に通用するレベルに情報性能と金融の性能と、部分的には製造業の性能、研究性能を上げるために一番重要なことなんです。カネ勘定の話ではない。リニア新幹線は大阪まで。結果として品川の留置線の再開発は起きるでしょう。
(図14)
⑥の再開発化というのはちょっとこそばゆい話です。⑦は再開発です。⑥の江戸城天守閣を復元するという話は前からあります。そういうことを言っているNPOもあります。賛成する皆さんもいます。物すごく大事なことなんですが、片方で、不思議なことに江戸城の天守閣の土台石のところは史跡名勝天然記念物で、さわってはいけない、あるいは、精神的イデオローグとして、江戸幕藩体制は庶民を苦しめ抜いた、士農工商という農民の搾取のもとに江戸城の天守閣はできたんだのだからこんなものをつくらせるのはとんでもない、そういうことを言う人もいるんです。これは理屈ですから仕方がない。もっと重要なのは、あそこは天皇陛下の土地だと言うんです。これには困りました。天皇陛下の土地ですが、調べてみると、天皇陛下の土地でも、ここのところは皆さんでお使いくださいという場所はあるんです。どうもそこの土地らしいんです。最後はやはり、美智子さんに「済みません、貸してください」と僕が言わなければいけないかもしれない。(笑)前に会っていますからね。「あなた、どなた。前のことを思い出した」と言ってくれるといい。
外人さんとの国際的会話で、その都市を代表する品物を1つ持ってこいといったとき、パリは凱旋門。ナポレオンそのもの、シャンゼリゼをつくり上げた象徴として凱旋門をつくった。ニューヨークはちょっとひねっていますが、自由の女神というのがあります。フランスがあの女神像を大きくして送ってくれたんです。セーヌ川に小さいものがあります。ニューヨークは自由の女神で、エンパイア・ステート・ビルではない。一種の国民的統一性みたいなものが感じられるわけです。ロンドンはビッグベンだと僕は思うんです。あれは民主主義象徴の議事堂の横にあります。ロンドンキャッスルではない。
ソウルも1つあると僕は思うんです。立派な政府の建物。ところが、東京はない。皇居があると言いましたがが、あれはボイドされた。禅の心理になって、じっと考えなければ東京の象徴性が浮かんでこない。普通のコーカシアンやムスリムの人たちは即物的ですから、わからない。東京は「江戸城」。これでようやくお互いが同じ土俵で握手できるんです。東京の江戸城とロンドンのビッグベンとパリの凱旋門とニューヨークの自由の女神。
江戸という言葉は戦えるエキゾティシズムの最高です。北斎からあらゆる絵描きは江戸を根城にして書いていました。京都のほうはつまらないんです。浮世絵ではなく、狩野などのつまらない絵です。江戸という言葉をここでバンと打ち出す。そのためには江戸城の天守閣を復元しよう。東京でのオリンピックが決まったら、オリンピックの前につくってしまえ。勘定してあるんです。江戸城の天守閣だけなら500億円でできる。木造です。大阪城も名古屋城もコンクリートで、嫌です。木造にする。ところが、江戸城を木造でつくるときの柱をヒノキの無節でつくろうとすると、今の日本の山の中にはないんです。無節の柾目はない。そうかといって台湾トウヒを持ってきたら国辱物です。仕方がない。節ありでも強度は変わらないんです。江戸城の柱は尺5寸や2尺(60センチ)角です。途中でつなぎますが、これが6層ずっと上がっていくんです。2尺角で無節というのはないです。だから節ありでいい。そのかわり木造に徹する。木造だとこれは基準法を変えなければいけない。今度の政治特区の中は総理大臣を含む3人で決めればいいというんだから、それで決めてもらいましょう。
建物の木材は厚くすると燃えません。1寸の板厚のものに火をつけて燃やしますと、大体2分5厘ぐらいまでは焦げて黒くなりますが、それ以上、中は燃えない。木とはそういうものなんです。エキゾティシズムの最高峰であり、国際共通のメンバー、仲間内になる。ビッグベンの鐘を守るやつと握手してきたとか、江戸城の天守閣の一番上の何かの職人がいるとか、そういうことは面白い。そういうことをぜひやりたい。これは僕の好みなんです。
①、②、③、④、⑤までは、僕の好みというより、世の中で皆さんが言っていることを僕が味つけして、7つを選びました。ほかにもいろいろ言いたいことはありますが、特に7つだけ挙げたということです。⑥は僕の好みで入れました。
⑦は相当時間がかかるんです。カジノをやりましょうよ。カジノは世界共通の約束事です。カジノがあるかないかということで、多分、中国系の華僑の金持ちが東京を理解する度合いが違ってくるでしょう。
僕は先ほどからコーカシアンの金持ちと言っていましたが、日本にとって一番重要なのは、コーカシアンの金持ちより中国の金持ちなんです。東京はどれぐらい安全で安心だという思いを抱かせながら、華僑特有の大家族主義の第2別邸みたいなのを東京につくってもらって、そこでいろいろなカネを動かしていくということを本当にやらないと、日本は潰れると思います。中国の金持ちを引き入れる。話は単純なんです。
中国もすごい勢いで高齢社会に入ります。しかし、タイムラグが30年あるんです。韓国とは20年。みんながいいかげんな仕事の仕組みをしていますと、中国より30年も前に日本は年寄りでぶっ潰れます。韓国と中国はそこの状況にいくのに20年~30年ありますから、日本は競争力をなくした分、徹底的にそこで自分の富を増やします。だから、その間、日本がこれから2030年までに力をなくすまでに、中国のカネの力と、ユダヤでもどこでもいいので、カネの力を徹底的に東京に集めて、東京は世界でニューヨークと肩を並べる金融資本の牙城になるということをしないと、日本の前途はありません。
情報産業があるというでしょう。情報産業の決定的な問題は日本語なんです。情報というのは英語帝国主義です。どんなことをしても日本は勝てない。製造業があるじゃないか。製造業も負けています。技術開発力があるじゃないか。これも情報産業の技術開発力と、日本の地道な工学系機械の技術開発力は全然違うんです。世界で大きいカネを動かすのはソフトのコンピューター系の情報開発力です。日本人の一品生産主義的な情報開発力はほんのわずかのカネしか呼んでこない。はっきりわかっているわけです。
そういう状況に置かれていて、なおかつ日本の皆様がそれなりの顔をしているというのは、よほど昭和40年~50年にどこかに隠しカネを隠しているからです。どこかにあるんです。それは証券会社か、農協の銀行がどこかわかりませんが、税逃れのカネ。だからゆっくりされているんですが、10年ぐらいでもうじき底をつくはずです。

 


        
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