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 第35回NSRI都市・環境フォーラム
 
『21世紀を考える』

2010年11月16日(火)
NSRIホール
講師:高橋潤二朗氏(慶應義塾大学名誉教授  森ビル株式会社顧問 アカデミーヒルズ顧問)


21世紀にはいって10年がすぎ去った。マスコミは、内外を問わず、もっぱら「失われた」10年あるいは20年と規定する。つまり停滞期としてとらえているが、現実に1995年以降の日本社会は、情報化という観点からみるかぎり、急速に変化している。
実際、年表をみてみると、1995年にはマイクロソフトのWindows発売が大きな話題になっているが、同時にYahoo!、Amazon.com、eBayなどが創業している。いわば、1995年は、その後急激に発展するインターネット社会とウェブビジネスの始動期であったといえよう。
Googleの創業は、これらにおくれること3年、1998年であったが、その後の発展はいちじるしく、ウェブ社会の典型的ビジネスモデルを提供し社会変化の先導役をになうことになった。最近のアップルのiPhoneとiPadは、こうした情報化の必然的産物であり、日本の社会は1970年代から始まった情報化の最終段階に入りつつあるといえよう。
現在、日本経済、社会の直面している最大の問題は、日本の政治、経済人の多くが、この現在進行形の変化を理解せず、旧式のモデルにもとづいて政策や戦略を実行していることにもとめられる。新しい酒は新しい容器―設備、インフラストラクチャー―を要求している。にもかかわらず、変わらぬ経済政策や企業戦略をうちだすことに終始しているのが、わが国の現状ではなかろうか。このような問題意識にもとづいて、21世紀社会、特に施設設計について語ってみたい。

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 大変長らくお待たせいたしました。ただいまから第35回都市・環境フォーラムを開催させていただきます。すっかり秋めいてまいりました。皆様、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。本日は、お忙しいところお越しくださいまして、まことにありがとうございます。
本日のご案内役は、広報室の谷礼子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、本日のフォーラムは、ご案内のとおり、慶應義塾大学名誉教授でいらっしゃる高橋潤二郎先生からお話をいただきます。
本日は、『21世紀がみえてきた』と題して、ご講演をいただきます。
高橋先生は、六本木にありますアカデミーヒルズの開設にご尽力をされ、理事長も務められました。現在は、アカデミーヒルズの顧問をされていらっしゃいまして、地域開発、環境情報を初めとする多くの分野でご活躍をされていらっしゃいます。
本日は、急速に進展する情報社会での物の見方、考え方について、大所高所からのお話を伺えるものと楽しみにしております。
それでは、早速、先生にご講演をいただきたいと存じます。どうぞ皆様、大きな拍手で先生をお迎えください。(拍手)
先生、よろしくお願いいたします。

高橋 私、ただいまご紹介にあずかりました慶應大学の高橋でございます。この会は、大変な歴史のある、由緒のある会でありまして、この会でご報告ができることを大変光栄に存じている次第でございます。
(図1)
21世紀に入りまして、もう10年が経ちました。10年ぐらい前に、山崎正和さんが、「二十一世紀の遠景」という本を出されましたが、我々は、上下左右、あるいは前後を見ても、21世紀の世界に生きているわけです。しかし、現実に、それでは21世紀はと尋ねられますと、中にいるとかえって見えにくい。21世紀を見るためには、22世紀と比較するか、あるいは20世紀と比較するしかない。



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