より健康的な在宅勤務に向けて

2023年7月27日

安達 聡子
研究員


多様な働き方の一つとして“在宅勤務”を導入する企業が増えています。在宅勤務は通勤など移動にかかる時間を有効に使えるなど、ワークライフバランスも含めて様々なメリットがありますが、一方、「コロナ太り」など活動量が得ることに伴う健康リスクの増加が気になるところです。「在宅時と出社時でどれだけ活動量が異なるのか?」実態調査から得られた気づきをお伝えします。

■調査概要
本調査は、在宅時と出社時の活動量の違いについて、コロナ禍前の2021年6月~12月に社内調査しました。職員19名を対象として、勤務時間(9:10-18:10)に活動量計を装着(腰の付近にクリップ止め)してもらい、歩数、活動カロリー、エクササイズ(生活活動/歩行)をそれぞれ計測しました。

使用計測機器

オムロン活動量計:HJA-750C
計測内容:消費カロリー、エクササイズ、総歩数、歩行時間、強度別活動時間
記録日数:45日(10秒)
※大学、医療機関等の研究用のみで販売

調査でわかったこと

 

在宅時に活動量が低い人は多い
歩数、活動カロリー、エクササイズ(生活活動/歩行)の計測結果から、全体的に在宅時の方が、歩数(平均で67%少ない)、活動カロリー(平均で38%少ない)、エクササイズ(平均で27%少ない)の全てが在宅時は出社時より少ないことがわかりました。

在宅時に活動量が多い人がいる!
データを見ると、在宅時においても活動量が多かった職員がいることに気づきました。ヒアリングした結果、「昼休みに遠いスーパーへ買い出しに行く」、「気分転換に10~15分程度の散歩休憩」、「子供の送迎」など、生活スタイル・リズムに併せて、意識的に行動していることが分かりました。

経験の共有が行動変容につながる!
このヒアリング結果を踏まえて、在宅勤務者向けに生活アドバイス(10分程度の休憩を兼ねた散歩や、昼休み等に外に出る)を実施することにしました。アドバイスの前後でどのような行動変容が表れるかについて検証した結果、アドバイスによって、全体的に平均歩数が増加していました。このように、在宅勤務時には会社側から又は周囲の職員から意識的に行動を促すことにより、在宅時の活動量改善も期待できることがわかりました。

エビデンスから気づきを発信!

「在宅時は活動量が減るから太るかも」と思い込んでいませんか?
今回の調査で、確かに在宅時は活動量が少ない人が多いですが、見える化や生活アドバイスなどの気づきを共有することで活動量を増やす行動変容が生まれることがわかりました。
NSRIは、今後も働き方などに関するエビデンスを整理し、様々な気づきを発信していきたいと思います。