Ando Akira
都市交通政策(モビリティ)を基軸としたまちづくりに関する研究を行っています。
ご存じの通り、都市とモビリティには、密接な関係があります。過去の経済効率社会の都市では、土地利用の純化にあわせて、離れた居住地と、従業地である都心を繋ぐため、大量輸送機関の整備が進められました。
最近、都市には、経済効率だけでなく「交流機会の創出」や「健康増進」等、貨幣価値で計測することが難しい新たな価値創出が求められています。
私たち「まちづくりや都市政策に携わる者」の究極の目標は、そこに暮らす人々の「幸福」の向上であることは間違いありません。
私は、以前、「幸福」に関する研究を行っていましたが、幸福とお金には、ある限界を超えると相関関係がなく、「自律的な暮らし」こそが重要であることが指摘されています。また、私が行った研究では、幸福は「現在」だけでなく「未来」への信頼が重要であることもわかりました。(参考:安藤章,国土・都市政策における「幸福」指標の適用可能性に関する実証研究,都市計画論文集,No.49-3,2014(第49回日本都市計画学会学術研究論文発表会))
そこに暮らす人々の「多様なライフスタイルと価値観」を捉え、市民一人ひとりが自律できるモビリティ社会を考えること、そして、それは将来世代に着実に継承できるものであること(具体的には事業性や性能面から)、これこそがこれからの都市のモビリティを考えるうえで大切なことだと思います。