石川 貴之

Ishikawa Takayuki

どんな「都市」に住みたいか?

最近「2030年の都市像」なる表題の寄稿依頼を受け、現在原稿を執筆中です。
我が国では2020年のオリンピック・パラリンピックの東京開催に向けて整備される施設やインフラ、そして制度やライフスタイルなどを含めて、国民の「レガシー(遺産)」として受け継ぎ、次の時代の都市づくりに活かす取り組みが端緒に着いたところですので、この種の話は今後、いろんなところで語られていくような気がします。
さて、ここ10年ほど海外の都市の仕事に携わることも多く、否応なしに「どの街がお気に入りですか?」と聞かれることも少なくはないのですが、働くなら、住むなら、遊ぶなら等、どのような視点から街を見るかでその答えは変わってくるような気がしていたので、あまり明確な答えを持ち合わせていなかったのが正直なところです。
海外業務を始めた10年ほど前は、ちょうど都市と環境との共生が強く叫ばれた頃で、どの都市の国際競争力強化政策にも持続可能性を表す「sustainability」が大きな目標とされていました。現在も、大きな傾向は変わっていませんが「持続可能性」って言葉は包括的で、私には社会・経済・環境等、何にでも当てはまる「都合の良い言葉」のように思え、もう少し自分達が取り組む都市計画とか都市開発の方向性をわかりやすく表現する適当な言葉は何だろうって考えておりましたが、ここ3-4年は「Livability」という言葉を良く耳にするようになりました。今では、世界都市と言われる大都市もこの「Livability」ってことに本気で取り組むことで、国際競争力を高めはじめているような気がします。
まさに「住みやすさ」を表す言葉です。
かつて日本の大都市は、国際競争力の強化の方向を「働きやすさ」に求め、業務・商業機能の集積向上と多様化に基づいて都心の土地利用を描き直し、長距離通勤による郊外居住も止む無しという、ある意味「住みやすさ」を犠牲にして街づくりを進めてきたかもしれませんが、昨今、間違いなく、都市の価値評価は「住みやすさ」を基軸にすることに傾倒してきてます。
幸い、働くということについて言えば、これまで極めて重要であった「場所」という概念は、ICTの普及等により、「働く」とか、「交流する」といったことで「場所」を限定することは少なくなったので、都市のカタチは、巨大都市であっても、表面上は「働く場所」という色彩が薄れ、「住む場所」としての色彩が濃くなる中に「働く場」が仕込まれていく(埋め込まれていく?)ような都市になっていくのではないかと思っています。
そのように考えると、日本の大都市、特に東京には大いなる変貌の可能性が潜んでいるような気がして、この街の変化を楽しみにしています。
さて、どんな「都市」に住みたいか?ですが、まだまだ50歳半ばなので、仕事をしないわけにもいかないので、「飯と水がうまくて、空が広い(仕事のできる)場所」ってことになります。
具体的な場所が知りたい人はお問い合わせ下さい。

石川 貴之

プロフィール

役職
上席研究員
出身大学
九州大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了
専門分野
複合施設等の企画立案
都市開発及び再開発計画の計画立案、事業推進支援
都市ビジョン及び地域活性化の計画立案
都市デザイン、景観計画及び景観誘導方策の立案
資格
技術士(都市及び地方計画)
再開発プランナー
所属団体
日本都市計画家協会
外部役職
筑波大学 客員教授
神戸大学 客員教授
法政大学 兼任講師

主な実績

  • モスクワ市/モスクワ市拡大都市計画コンセプトマスタープラン(国際コンペ)(2012)
  • 国土交通省/環境共生型都市開発プロジェクト海外展開(中国)(2011)
  • 韓国仁川広域市/佳亭洞交差路基盤施設設計(2007)
  • 中国深セン市/国鉄深セン新駅周辺地区計画国際設計競技(第一位)(2005)
  • 中国東営市/経済開発区中心地区マスタープラン業務(2004-2005)
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