小松 航樹

Komatsu Koki

A City "Lived with Others"

ある明け方、大きな揺れに目を覚ましました。慌ててつけたテレビで大きな地震が起きたことを知ります。目は冴え、安穏と布団に包まることは出来そうにありません。そんなときふと、本棚に読みかけの本があったことを思い出しました。
【ジュディス・バトラー「アセンブリ:行為遂行性・複数性・政治」】

多かれ少なかれ私たちは弱者である、というのが本書におけるバトラーの指摘の一つです。豊かな都市は普段それを私に意識させませんが、しかし、まさに私たちの住む都市が私たちの生活を脅かし、私たちをして弱者であると感ぜしむ瞬間がないでしょうか。それは早朝の地震かもしれませんし、スラムクリアランスやジェントリフィケーション、もしくはもっと別の出来事かもしれません。
その朝、私は大変怖い思いをしました。一人の生活者として、ある日都市に生きることの危うさを知り、恐れを感じることに責を受けはしないでしょう。しかし都市に携わる者として、まちが人々を恐れさせ、傷つけ、ともすれば生活を破壊してしまうかもしれない、その責任から逃れようとすることは許されません。だから私たちは良い都市をつくらなければならないのだと、明にそう悟りました。

"If I am to lead a good life, it will be a life lived with others."
「アセンブリ」を締めくくるこの一文に、深い共感を覚えます。良い都市というものがあるとすれば、それは誰かと共に生きられた都市ではないかと思います。カラチのスコッター地区で、パリ郊外の住宅団地で、中越地方の山村で、世界のどこでも、人々の繋がり織り成す生活は強かです。どうすれば人々が共に生きられるまちをつくれるか、日々その問を問い、研究し、実践を繰り返しています。

小松 航樹

プロフィール

役職
研究員
出身大学
北海道大学(学士)
東京大学大学院(修士)
北海道大学新渡戸カレッジ(Summa cum Laude)
Budapesti Műszaki és Gazdaságtudományi Egyetem(交換留学)
Indian Institute of Technology, Hyderabad(research internship)
Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University(research internship)
Roskilde University(internship)
専門分野
参加型まちづくり・コミュニティデザイン
国際関係・国際協力
都市経済・計量経済
情報システム・アプリケーション開発
所属団体
日本建築学会
日本都市計画学会

主な実績

  • 都市開発分野の海外展開促進に向けた調査(2022年・国土交通省)
  • 四日市市スマートシティ実行計画策定(2022年・四日市市)
  • AIデマンド交通実証実験(2023年・横浜市)
  • web3による参加型まちづくりスキームの提案(2023年・民間企業)

主な論文

  • 小松航樹「メイカ—ムーブメントと新しい都市システム:ファブ施設に見る分散型生産空間形成の萌芽」(2021年・東京大学大学院修士学位論文)
  • 小松航樹・藤田朗・ 岡崎瑠美「画像生成AIを用いた市民参加型ワークショップの開発」(2023年・日本建築学会学術講演梗概集)
  • 堤遼・小松航樹・大平達也「首都圏における都市生活者のサウナ利用実態調査:サウナ利用頻度に着目した都市内移動とサウナ施設利用実態」(2023年・日本建築学会学術講演梗概集)
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