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(図60)
これはカフェです。待機電力ゼロカフェをNRELでつくっている。実はバリスタマシンがすごくエネルギーを食うんだそうです。夜の間暖めておかないと朝なかなか立ち上がりが難しいというので、これを消すための努力が大変だったそうです。カフェもこういうものをつくっています。
(図61)
日本でも省エネ法の一次エネルギー消費表示が始まって、究極はゼロにすることですが、そのためには、延長線上に我々の努力があると思います。
従来の省エネと違うのは、専門家には同じかもしれませんが、きちんとした室内環境や生産性を保ちながら、どうやってゼロに近づけていくかということです。そして、それはビル単体だけではなくて、コミュニティーとつながるようなときが来るのではないかと思っております。
1時間になりましたので、終わりにしたいと思います。(拍手)

 

省エネルギー建築からネット・ゼロ・エネルギー建築へ
日建グループの取り組み

丹羽 わかりやすくフレッシュなお話、ありがとうございました。
田辺先生に対する質疑は後でたっぷり時間をとっていますので、その前に私のほうから日建グループの取り組みと、ZEBの定義の検討小委員会をやっておりますので、そこで何をやっているかをご紹介させていただきます。
(図62)
日建グループは今年で113年になりますが、環境親和型建築という脈々としたDNAのようなものがございます。113年の間の日建グループの作品を並べたものです。サステナビリティーに関する世界的な動きの最初は1962年のレイチェル・カールソンの「沈黙の春」のあたりからスタートしているのかなと思います。今日いらっしゃる方の活躍されてきたところでいいますと、省エネ法、オイルショックから持続可能なサステナビリティーデベロップメント、92年の地球環境サミット、COP3、最近ですと洞爺湖サミット2008年、省エネルギーというよりもエネルギー自立の必要性に迫られた東日本大震災、こういった世の中の取り組みがありました。少しずつ名前は変わってきていますけれども、我々はこういうデザイントレンドを持っているのかなと思います。
1900年代後半から自然エネルギー利用ということでいろいろと考慮してきました。オイルショックあたりから省エネルギー建築、パッシブデザイン、90年代あたりからエコロジカル建築やグリーン建築、2000年くらいから環境親和型建築、サステナブル建築という言い方をし、最近ですと、低炭素建築という呼び方をしてきています。それをゼロ・ネット・エネルギー建築へというのが今日のフォーラムの1つのメッセージと考えております。
(図63)
環境親和型建築というのを言い出したのは1990年くらいです。日建設計で「FACT」というパンフレットを出していますが、1992年に「環境親和」」というテーマで出しております。その後、それに関する同じようなパンフレットや本を出版していますが、「環境親和2006まちから建築へ」というのが最新のものになっています。
(図64)
環境への取り組みの根底にあるのは、日本の家屋のエネルギー自立、つまり、エネルギーを使わずに暮らす工夫が原点にあると思います。これは京町屋の写真です。先ほどの田辺先生の話と矛盾するところもあるかもしれませんが、室内環境の変化を享受する、遊ぶというところがあったかと思います。徹底的に負荷を制御して抑制し、それから自然エネルギーを使っている。エネルギーとは直接関係ないんですが、自然の素材の畳や木でつくっているところが日本の京町屋の特徴かと思います。この町屋は恐らくゼロにはなっていないと思いますが、電気を使うのは照明くらいです。これが日本の1つのZEBのお手本なのかなと思います。
(図65)
60年代、80年代、自然採光や自然換気に日建設計が取り組んだ代表的な建物です。60年代はファサード、日射の遮蔽などを工夫していました。新宿NSビルは、超高層で自然換気にした初めての例ではないかと思います。
(図66)
90年代、私が25年くらい前に取り組んでいたものです。このときのテーマは「化石エネルギーに依存しない冷房システム」。冷凍サイクルを使 わないで冷房ができないか。パッシブ手法を取り入れて、最後は地下水で処理をする。ZEBの原点みたいなことを20年くらい前にやったことがあるということでございます。
(図67)
これは2002年、IGESという建物です。サステナブル建築の代表作のように言われています。自然換気、自然採光、地熱利用のパッシブデザインと、太陽光発電、太陽熱利用、風力発電のアクティブデザインをうまく融合させた建物です。
(図68)
その後、環境親和型建築と称して幾つか建物が設計されてきています。代表的なものを挙げています。
(図69)
 環境親和型建築のCO2排出量がどうだったかを数年前に調べました。都心型と郊外型があります。用途が違ったり、気候条件が違っていたり、単純に比較するのは危険ですが、東京都の平均に対して比較しました。平均で40%くらい削減している。このころの低炭素建築は40%削減くらいのところがトップランナーだったのかなと思います。

 

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