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図34)
次にロンドンです。非常に大きな産業革命を支えた技術がロンドンで生まれました。一遍にロンドンがヨーロッパ大陸から離れて拠点になったわけです。このときもテクノロジーが世界を動かした。
(図35)
次にボストンです。ボストンは、ヨーロッパが経済不況や食料がとれないという時期が続いたときに、それを離脱するためにアメリカに移住をしたわけです。人が動き始めると同時に、蒸気機関をベースにして、車が開発されました。車に合ったメカニズムの都市あるいはシステムを東海岸を中心につくり始めました。それでここに対しての投資が動き始めたわけです。
(図36)
次にニューヨーク。電力がこの動きを支えました。ヨーロッパで徐々に生まれていった市場という概念がニューヨークで花開いたわけです。同時に、社会主義の動きがありましたので、社会主義と対峙するために非常に強靱な拠点を資本主義社会はつくらなければいけなかった。そのためニューヨークに安定した都市、安定した市場、安定した投資、そういうものができる秩序を求めたわけです。だんだん都市が大きくなってきました。
(図37)
ITの技術に、我々はたくさん恩恵を受けていますが、世界の都市を動かす技術力になりました。技術と同時に知的な集団、それを支える知の集団というものが世界中からアメリカの西海岸に集積してきています。
ここで初めてクリエイティブクラスの人たちの移動が地域を動かしていくような力になるということがわかり始めたわけです。
その後どうするのか、今虎視たんたんと考えているわけです。アメリカが停滞し始めました。次の経済地図をどうつくるのかというのが世界中の興味なわけです。EUもちょっとまずくなってきています。ロシアは、インフラが非常に老朽化していますので、ロシアが世界を席巻していくような拠点にはどうもならないだろう。
そうすると、今考えられる有力候補は、インドを含めた東アジアなんです。ここに対しての非常に大きな動きがたくさんあるというのは皆さん十分おわかりだろうと思います。
そうすると、次の中心都市はどこにすべきなのか。今物すごいチャレンジをアジアの中でやっています。シンガポールしかり、マレーシアしかり、中国は当然そうです。韓国もそうです。
それでは、日本はどうするのか。東京だけでいいのか。ここに我々が考えなければいけない1つの大きな課題があるだろうと思います。

(図38)
次の中心的なリージョンを支える技術あるいはそれを体現する中心都市はどこか。今考えられる最も可能性の高い11カ国というのはここです。次に候補としてあるのが、次の20カ国です。
(図39)
いずれにしても、アジアがかなりの可能性を示しているのはおわかりだろうと思います。
(図40)
国の間の戦い、マーケットの連中がどうしようかと。公にもプライベートにもここがいろいろな意味で席巻しているわけです。
(図41)
それでは、日本に近い東アジアを見てみると、国土戦略をどう考えているだろうか。日本の場合は、国土形成を四全総で全国をきちんと考えていくというのをやめ、国土形成計画という形になりました。これは3・11以前の話です。日本を幾つかのブロックに分けて、地域主権、地域分権ということを前提にしながらブロックごとで考えなさいということです。国はどうするかはいわないことにした。
(図42) 
ところが、お隣の韓国を見てみますと、韓国は一たん国が破綻しました。その後、いいか悪いかという議論が一方でありますけれども、国土均衡発展計画というのをつくりました。経済発展計画を前提にしながら、韓国人は律儀にきちんとつくるのが好きなので、比較的遅れている東海岸に戦略的な1つの国土軸をつくる。それから、既に存在している西海岸にもつくります。これを拡大します。それから、前の大統領の出身地がこっちでしたので、開発がおくれているところと開発が進んでいるところをつなぐ、しかもアジアに開かれた可能性を持つ開発軸をつくりますというのを決めました。
それに伴って、10の広域圏をつくりました。そしてその10個とは格を変えて、ソウルを世界都市として彼らは位置づけたわけです。それを支える仁川は国際戦略拠点という位置づけをしました。仁川以外に世宗。世宗というのは実は遷都をしよう、ソウルをここに移そうと思って失敗して、今、大学と研究所を集積するところになっています。その他、釜山や、南のほうの海洋の拠点、そういうところに国際的な戦略拠点をつくるというふうにしているわけです。世界を見渡そうとする時の動きが日本と違うのをまずわかっていただければと思います。
(図43)
一方、中国はこれまでは大きな3つの経済圏で引っ張っていこうと考えていました。北のほうの渤海と長江と南の珠江。ところが、それに経済特区に近いことをやっている地域経済区というのを5つつくりました。それが北朝鮮のエリアに近いところ。今までの3つのところを補完するような形です。今、東海岸の都市が大きく変わっているのは、こういう国家戦略によるわけです。さらに加えて、今、地域の判断で試験的にいろんなことをやっていいですよということで、つくり始めています。
(図44)
僕が知っているだけでこれだけあります。それ以外にも多分あると思います。ここに対して物すごい投資をしている。経済成長率が上がっているのはここに対しての投資の結果なわけです。
(図45) 


それを今1つの地図で眺めてみると、こういうことです。
日本はそれぞれの地域で考えなさい。国にお金が余りないけれど

 

 

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