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(図23)
「広域ブロック毎に大きく導入可能性が異なる自然エネルギー等のポテンシャル」と書いてある。例えば、太陽光発電はどこがこれから伸びるか。首都圏で伸びるのは住宅の屋根で、パネルを載せれば増える、これは常識的にわかります。産業系、工業団地。人が住んでいるところや、人が働いているところの屋根を使うから、ここも太陽光発電は伸びるだろう。それに比べて北海道は、人が住んでいるところが少なく、産業系も少ないから太陽光発電が伸びないというんですが、先ほどの人が住まないところに太陽光発電を置くとどうなるか。北海道は別にして、中・四国もそうなんです。ここも住居は少ない。耕作放棄地もかなりあります。中国は人がいなくなりますから、耕作放棄地がと伸びます。その耕作放棄地に太陽光発電をやれば、性能の高い太陽光発電基地が中国はできます。あそこは日当たりがいい。四国も南の高知でやればいい。それに比べて北海道は風力発電なんです。九州と北海道は風力発電の可能性が大きい。ここは洋上ですけれども、陸上でもかなりある。それならば、オホーツク海の人のいないところで全面的に風力発電をする。風力発電の電気を北海道電力の地域の中で消費して、北海道電力の泊の原発基地のエネルギーは東北電力に持っていって、東北電力の女川の原発基地のエネルギーを東京に持ってくるという玉突き型にやっていけば、北海道の風力はそれなりの意味があるのではないか。ついでに、人のいない風力発電の横に非常に生育のいいエゾマツ、トドマツを植えれば、50年も経てばすばらしい山になります。
そういう人がいないところに対してどれだけのエネルギーの基地としての利用が考えられるかというのも、「『国土の長期展望』中間とりまとめ」を読み込んでいくと、出てくるんです。長期展望で人がいなくなる、産業がだめになるとかいうのではなくて、そこの中に埋もれているものを、たくまずして国土政策の川上一派が書いた。まず、75歳まで働いてもらう。地球温暖化で二毛作が可能になる。人がいなくなったところ、中国・四国に太陽光発電を持っていけ。北海道は風力でいけ。そういうことを考えると、これはまさに国土計画なんです。


5.国土の災害リスク

(図30) 
国土計画のきわまったもの。これはどこかの雑誌に僕が書いたんです。巨大地震が東日本で起きた。地震学者や土木屋が、東海・東南海が起きそうだ、首都直下も起きそうだと言っています。それをちゃんと書きました。次に危ないのは日本海なんです。これは既に秋田で起きましたね。奥尻は前科がある。津波が来た。ここも地殻構造としてヤバイ。ここの地殻構造は、地球上、世界的にいつ巨大地震が起きてもおかしくないところなんです。小笠原のほうに行くのもあります。これは危ないので避けましょう、これも避けましょう。活断層というのは調べれば調べるほど増えます。僕は地質もやっていたから、自分の経験です。この赤が多いところほどますます活断層が増えるんです。活断層の分布はまじめに地質学者が全国を調べています。有名なフォッサマグナで飛騨の山脈はもともと造山活動が激しいところですから、幾らでもここは地震が起きるんです。大阪も活断層でヤバイ。だけど、鳥取・島根は活断層がないんです。
原発基地をなくせ、なくさないということは、日本国の話だけではありません。僕はこう思うんです。これから世界中が20年か30年の間に、何百という原発をつくる。インドでも中国でもつくる。アラビアだってつくります。ミャンマーだってつくりますよ。だから、原発の問題は地球規模の問題なんです。日本の中だけの問題ではない。だから、世界から、福島原発にも来た。フランスからもイタリアからもイギリスから来た。ところが、福島原発でフランスから来た水をこす会社はインチキでしたね。すぐわかりました。無駄金使った。
原発をメンテして絶対に事故を起こさないような技術開発ができる国は世界の中でどこかという話です。ドイツは原発をやめました。ドイツの次に技術的に自信を持っている国は、僕は日本だと思うんです。フランスではないです。そういう技術者が集まって、二度と起こさないために必死の思いでつくっていけば、つくられた原発は世界のどこの国に輸出しても、中国や韓国、ロシア、フランスの原発より安全なはずです。そういう原発が増えれば、地球上の原発のリスクは下がるんです。そう思いませんか。そこがナショナリズム。最後に、国土計画はまさにナショナリズムなんです。ポピュリズムではない。まさに日本人は胸を張って世界を歩きなさい。そういう国をつくるんだから、みんなそれに貢献してくれというのがナショナリズムなんです。絶対ポピュリズムではないんです。この30年、40年の間はポピュリズムにおもねり過ぎた。その原因は自民党の長老と民主党なんです。あいつらに任せたらこういうことになった。
だから、国土計画は第三者機関が首相に勧告する。勧告を退けられたら仕方がない。そのかわり、はっきりします。ポピュリズムに陥らない国土計画を第三者機関がつくって、総理ははねたというのは明確に歴史に残ります。そういう評価がきちっとできる。そういう計画作成のあり方として国土計画を考えるということです。国土計画の必要は何かといったら、世界中の原発問題に対して、ある答えを出そうということを日本の国土計画でトライしようじゃないか。世界に先駆けて、世界中であり得ない人口急減地域の土地利用をどうするんだということを考えようじゃないか。この2つだけでも日本の国土計画が世界に対してきちっと言える存在理由があると僕は思っているんです。もう1つぐらいあるんですけれども、今は2つしか頭にない。
ちょうど5時となりましたので、これぐらいでお話を終わらせていただきます。(拍手)

 


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