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フリーディスカッション

三沢里彩 三沢さんと寺田さん、今日は楽しいお話を長時間ありがとうございました。
まだお時間がございますので、何かご質問のある方は挙手をお願いいたします。
本澤(日建設計) お2人とも貴重なお話ありがとうございました。私、寺田さんのお声が大変好きで、ただいまの朗読も感動いたしました。映画、テレビ、舞台、ナレーターと、いろいろございますが、役者として表現するのにこれが一番好きだというのはありますでしょうか。
寺田 どれをやるときが一番好きですか、楽しいですかと聞かれることがあります。おもしろいものをやっているときはどれもおもしろいですね。舞台とか映画、テレビ、朗読。つまらないものをやるときは何をやってもつまらないね。その時々で違いますね。
本澤(日建設計) 空間で。
寺田 その空間が、お客さんと演じる側と、またスクリーンの映像の世界でも、ボーダーラインがなくて溶け合っていると一番おもしろいんじゃないでしょうかね。
本澤(日建設計) 三沢さんの三沢ANIMALSは目に表情があるという感じがします。質感に非常にこだわっている感じもありますし、また、展示するときの空間の使い方、ストーリーを感じます。三沢さんが創作する過程で一番こだわっていることは何なんでしょうか。目にかける思いなどあるんでしょうか。
三沢 こだわっていることというかいつも意識していることは、全てですね。木の選定、モチーフの選定から始まって、色づけ、どういう作品にしていくか。作品はアトリエで1つの完成は迎えるんですが、僕にとっては展覧会をやって展示して、場所との関係性、空間との関係性ができたときがまた1つの完成だと思うんです。その2回の完成を非常にいい状態で迎えたいなというのが自分の思いです。まず初めに現場の空間、そこから出ていく、それをいい感じで自分の中で意識しながら味わい尽くす。そこがうまくできれば作品はいい状態で成立するのではないかなと思います。
本澤(日建設計) 現場で三沢ワールドをつくっていくというか。
三沢 展示する期間は、制作する時間に比べてすごく短い時間なんです。膨大に制作時間がかかる。短い展覧会の時期は戦場に挑むぐらいの緊張感があるので、そこに出陣するための準備をしっかりとする、そういう気持ちがありますね。
本澤(日建設計) お2人の楽しい話をありがとうございました。
廣瀬 本日は楽しいお話をありがとうございました。三沢さんに質問があるんですが、多くの美術館を展覧会で回っていらっしゃって、空間と作品との兼ね合いや構成、そういった点などで、美術館でコメントや感想をお書きくださいということがありますが、そういうコメントの中で、この人は本当に自分の作品をよく見ていて、美術館のこの展覧会を楽しんでくれているなという印象に残ったコメントがありましたら、教えていただきたいんです。
三沢 子どものコメントで、「三沢さんは彫刻が上手だ」と褒められたことがあります。(笑)子どもに褒められたのがすごく印象に残ってうれしかったです。いろんなアンケートがありますが、子どもさんが書いたものは鋭いですね。子どものためのワークショップをやってくれとかいろいろなことを言われるんです。そこで子どもはこういうことが楽しいだろうと大人から見たものを出すんですが、子どもはそんなものは楽しまないですよ。すごく鋭いことを書きますね。「三沢さんの作品のライオンは好きだけど、ゾウは好きじゃない」。その子はライオンの作品とゾウの作品の時代の差を多分わかっていて、その時期で僕の作品の感じが変わってくるんです。彼はそれを多分察知しているんです。そういうこともあって、子どもさんは鋭いですよ。大人から思う子どもが感じていることは全然違いますね。だから、子どもさんの意見を聞いている。子どもさんのことのほうが興味がある、おもしろいと思います。
 僕は子どもの目を持っていると、大人の人が書いたりする。「三沢さんは子どもの目を持って純粋で」。そんな、子どもの目なわけないじゃないですか。一応大学も出ていますし、一応専門家の技術を持っている。大人って、そういうピントのずれたことを言うんですね。そんなわけないでしょうという感じ。子どもさんの意見のほうがすごくおもしろいです。
廣瀬 ありがとうございます。寺田農さん、いつもテレビで拝見していましたが、実はお名前を存じ上げたのはこのフォーラムがきっかけでした。先ほどの朗読にいたく感動いたしました。次回のテレビの出演予定が決まっていたら教えていただきたいんですが。
寺田 何本か撮りだめたのはあります。ドラマというのは、連続ドラマの場合はわかるんですが、特に2時間物なんか、いつ放送するのかわからないのがあります。秋口になったり、かというと、急に早まったりとか、なかなかおもしろいのが4本ぐらいありますので、またお楽しみいただければなと思います。
廣瀬 楽しみにしておりますので、ご活躍を今後とも期待しております。
三沢里彩 本日は、私がこの企画をさせていただいた一番の目的は、寺田さんの最後の朗読です。何回か聞かせていただいていますが、寺田さんの声もそうなんですが、内容に大変感動いたしました。何に対してもデッサンが基本だなとつくづく思います。私たちの仕事もそうですし、主婦の方、総務系のお仕事の方、ジャンルの全く違う方も、みんなデッサンが基本なんだなというのが、寺田さんのお言葉で胸にしみた印象がございます。それで、最後にこれをお願いしたいいたしました。
 今日は彫刻も持ち込ませていただき、こういう企画をいたしましたが、皆様に楽しく聞いていただけたのではないかなと自負しております。
長い時間でしたが、寺田さんと三沢さん、今日は本当にありがとうございました。(拍手)
(了)

            左:三沢厚彦氏  右:寺田農氏

 




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