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1.東京都心の低炭素化

2.床面積増加に伴うCO2排出量の推計

3.低炭素化目標の設定

4.低炭素化の進展イメージ

5.多様な面的対応による低炭素化

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(図37)
昭和61年の整備計画には、「エネルギー源は防災上の関係も考慮し、街区単位程度に集約し、効率的利用を図る」となっています。ところが、街区単位というと、霞が関は結構大きい。例えば警視庁のところは、国交省と自治省と警視庁です。それから、面白いのは、昔の道路公団の建物がありますが、あそこに熱エネルギー供給センターをつくって特許庁が供給している。これが街区単位です。次の街区単位はこれをやるのではないかと思う。街区単位に集約して効率的運用。
今、3つ霞が関にはエネルギーセンターがあります。これは熱エネルギー供給源です。一番地域冷暖房的なのは厚生省の講堂の下に熱エネルギーセンターがあって、何とか通りを越えて、通産省の資源エネルギー庁と本館と将来は郵政省のほうに持っていこう。それから、農林省の一部にももっていく。これは完璧な地域冷暖房です。
具体的には地域冷暖房の一部分をやっているのですが、街区が大きいから、これも地域冷暖房といっていいかもしれません。丸の内の3街区ぐらいになります。3街区ぐらいの道路を渡った導管を入れれば地域冷暖房。こういう状況で熱供給をやっているんです。
(図41)
霞が関の床面積は一体どうなるか。1990年というのは、鳩山さんがいった1990年対比2020年25%がありますが、その原点としてとっています。その時の霞が関の総床面積112万平米。2009年の実績が143万平米。これが2020年にどうなるか。あと10年先ですが、霞が関の法的容積率は500%ですから、全部消化すると161万平米になります。実際に細かく調べましたが、近々に財務省を建て替えます。近々と言っても10年ぐらい先です。財務省を建て替えると容積を全部使ってしまいます。つまり、161万平米になる。1990年の112万平米から50万平米ぐらい増える。こういう状況を想定しながら低炭素化がどうなるかを考えていこうということです。
(図43)
霞が関の周りの帝国ホテルや日比谷公園、日本生命、そういう場所まで広げて調べると、太陽光をはじめ12種類ぐらいの再生可能エネルギーがある。下水の処理水なんか芝浦浄水場から持ってきたりできるということです。
(図47)
清掃工場排熱。これは晴海にある中央清掃工場から、尾島先生が大好きな地域導管をボーンと入れて、ここの日比谷地域も一緒にして、大・丸・有の有楽町も一緒にして、最終的に霞が関に熱供給をしようというものです。これはすごいです。蒸気管を持っていく。
(図55)
未利用エネルギーがどれくらいあるのかと調べました。日比谷や内幸町、有楽町に入れます。そうすると、太陽光が年間3300メガワット、太陽熱が2万9500ギガジュール、バイオマスは1万トン。恐るべきことに、清掃工場排熱を持ってくるとすごいんです。190万ギガジュール。これは桁が違う。こういうことが可能です。
(図56)
日比谷から有楽町も含めたこの地域でCO2換算でどれくらい削減できるかというと、太陽光で1250トンCO2。これは霞が関対象建物の屋根面積10万平米の15%、発電効率16%。これは今かなりやっています。おまけに太陽熱がある。太陽熱も、霞が関建物の屋根面積の15%で、太陽光と足すと30%です。発電の効率40%で、非常にいい。これを入れる。バイオマス、これは役に立たない。でも、2200トンある。油は470トン。バイオマス木質1080トン。清掃工場はすごいです、2万6000トン。下水処理水80トン。こういうのがこれからの計算で所与値として出るんです。
(図57)
電力排出係数は、先程のように、0.38でずっと来ていましたが、0.32になって、最近は0.30まで来ました。これが28になるだろうということです。
(図58)
先ほどと同じように、BAUで、いろいろな条件を入れて、床面積が1990年基準で1120平米だったのが2030年に500%、1610平米になった時に、電力排出係数は0.38から0.304にする。CO2原単位は、供給側は下がります。これを踏まえて排出量を考えていくと、この段階では、0.38が0.304になったので、排出係数が1990年の100に対して108になる。ピークは排出量指数、113の2009年です。2000年でCO2排出量が9万6768トン。これは何もしない場合です。1990年、8万6000トンだった。ただ電力排出係数が0.304になっただけで、2020年のBusiness As Usual では、9万2000トンに減るんです。9万2000トンに減ったとしても、供給側が削減しただけでは、1990年比8%増。それなら、どうするか。単体で今度は頑張ろうということになります。
(図59)
目標値を置きました。1990年比、2020年で25%削減しよう。これは鳩山公約です。1990年から持っていって、2020年目標の時には25%削減するんだけれども、実は2020年に、電気がよくなっただけで建物の方は何も変えてなければ9万2000トンある。9万2000トンから単体と面的な都市計画整備で減らすと31%減らさなければいけない。大変だ。25%ではなくて、31%減らすためにはどうしたらいいかという次の作業です。
(図61)
単体対策メニューをやりました。これをどうするか。説明は抜きます。
(図63)単体対策によるCO2削減効果は28%いくんです。これは非常に重要なデータで、28%のうち照明がすごい。LEDにかえるだけで、28%を100とすると100のうち36%が照明です。それから、熱源の高効率化。これは身近なことをいうと、ヒートポンプを思ってください。空調機です。空調機の性能が機械的によくなって36%。これで72%いきます。それから、搬送動力削減。空調機はモーターで風を送っているんです。この搬送動力もモーターの性能を上げたり、スピードを緩くすると14%。二重窓は意外ときかないんです。Low-eガラス7%。これは非常にちゃんとした作業をしている。
(図64)とにかく28%は引く。31%引かなければいけないんだから、単体削減で28%引いたけど、あと3%足りない。どうするんだ。面的対策だ。


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