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1.東京都心の低炭素化

2.床面積増加に伴うCO2排出量の推計

3.低炭素化目標の設定

4.低炭素化の進展イメージ

5.多様な面的対応による低炭素化

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赤紙でも何もしなかったら、その3カ月後には、その鉛筆ビルの地主にグリーン料金をバーンとかける。グリーン料金だと電気料金が毎月7万円だったのが20万円ぐらいになる。それを払わなかったら電気停止。相当荒っぽいでしょう。電力供給停止。ガスも同じです。
そういうことをやれば、少しはきくかなということをたしか2008年に皆さんに話してあったんです。これは都市計画でも何でもありません。これは電気屋に通産省が通達をして、それが妥当かどうかを法務省や総務局がチェックするだけの話です。都市計画も何も関係ないし、国交省マターではなくなってしまうわけです。僕たちは一生懸命国交省マターで低炭素化市街地はどうしたらいいかということを言っているんですが、グリーン料金をバッとかぶして、駄目だったら供給を停止するというのは、当たり前のことですね。正当な料金払わなかったら電気停止になります。水もそうです。ガスもそうです。
供給者に供給義務はあります。しかし、需要者側がそれに応じた正当な料金を払わないんですから、供給しなくても良い。正当な料金というのはグリーン料金のことです。そういう条例か法律をつくってしまえばきく。だけど、それでは、これだけ一生懸命考えてきたことは幾ら何でもそれでいいのかという話です。それが1番目です。
それから、2008年に私は、低炭素地域制をやってくれということを言いました。今でも苦労しているんですが、最終的には新築の建物には税法上の規制はかかります。しかし、地域制では既存の建物に対する改修命令はできない。そこでCO2問題に対して地域制は決定的に無力であるということがわかります。都市計画でどうしたらいいか。僕は都市計画が専門ですから、CO2にも都市計画が貢献すべきだということでいろいろやってきましたが、うまくいかない。最終的には電気屋がとんでもないことを考えた。これが都市計画にかかわっているんです。
(図97)
これは条件です。電気屋だから常識外れで、建て替えによる増し容積700%を1400%になります。今の建築基準法の常識ではあり得ない。
説明が難しいんですが、建て替えによる増し容積率700%を1100%と考えています。1000%までは、総合設計でも一応3割までいきますから、700%で900%、これを大体1000%としましょう。上の100は何か。これは後で説明します。オフィスビルの未改修建物のCO2排出原単位は年1平米107キロになります。先ほどの我々の作業では、年1平米当たり、マンションが30キロで、事務所が90キロといいました。90キロというのは割合いい建物だと思ってください。107キロはとんでもないあちこちにあるおんぼろビル。そういうところを完璧に新設建物にすれば40%削減できる。60%残るから、64キログラムぐらい排出する。しかし、改修は25%ぐらいしか直せないから、既設改修建物は、30%削減だと75キログラムになる。
その次、容積売却単価。700%の容積率はどの辺かというと、人形町ぐらいです。人形町は800%で神保町が700%かな。東京電力の都市計画屋からいうと、考え方はいいんですが、神保町で700%を1000%まで上げるマーケットがあちこちに存在するかというと、先程の僕の怒りの説明だと、神保町では、そんなオフィス需要はないんです。どうしても欲しいというところは超集積エリアです。超集積なら、森ビルや三井不動産、三菱地所あるいは野村不動産という大規模ディベロッパーが、700%のところを1300%にしてほしいということを言っているわけです。700%を1000%で1100%にするというのはすごい話ですが、仮にそういうところで、容積売却価格を1平米50万円にして売ろうということです。これは千代田区に、お金が入ります。1万平米売ると50億円です。それぐらい容積を買ってでもビルを建てていくというのは本当に限られてきます。
もう1つ、省CO2対策改修単価は電気屋の見方から見ると1平米2万円ぐらい、1坪7万円ぐらい。例えば100坪の鉛筆ビル、25坪の4階建て、そういうのは幾らでもあります。100坪の鉛筆ビルに2万円というと700万円です。700万円は何の助けもなければ地主のおばあちゃんにはかけられる金額ではない。それを容積を売ったお金から出そうということなんです。区役所は省CO2対策改修単価2万円に、大手不動産から召し上げた1平米50万円の金を充てる。
ここが面白い。開発者から得られた基金で中小規模建物の既設改修をした後、余剰金がある場合ですが、東京が上海に迫るぐらいに外資が入って、日本の企業も元気になって、先ほどいった超集積エリアのところは、平均でいくと1000%を超えるビル群になる。その時に何が起きるかというと、熱源水ネットワークが必要になる。これはここに出てないので、話が余談になります。東京電力はヒートポンプ、ガスは燃料電池とコージェネ。これで永遠の戦いをしています。これは常識なんです。戦っているんです。折り合わない。ここはたまたま東京電力なので、ヒートポンプです。ヒートポンプで、先ほど言った面的な整備をやりたい。ヒートポンプを一番効率よく使えるのは、空気ではなくて水なんです。下水を熱源水にすると、ヒートポンプの効率が、COP7とか8までいく。空気だと5ぐらいです。物すごく効率がいいんです。
三河島の下水処理水は日本橋川に流れているんです。だから、日本橋川の水はほとんど都市河川ではなく都市下水です。できたら、日本橋川から水を取りたいけれども、日本橋川に流れているから、三河島でまだ余っている水を導管で真っすぐ大・丸・有まで持ってきて、ヒートポンプにして、それで面的整備をやれば非常に効率の良い地域冷暖房ができる。小早川グループはこれをやりたくて仕方がないんです。
電気屋は水です。水を持ってきて供給できるというとどうしても下町になる。丘へ行ってポンプアップしたら逆に電気を食って効率が悪くなる。下水処理水を自然流下で持ってくる。三河島から自然流下といったら日本橋や月島です。三河島の処理水を霞が関に上げろといったら上げるだけで大変です。新宿に持っていけといったらできない。下水処理水でこういうことができるのは中央区、千代田区の一部です。
ガス屋の方は燃料電池ですから水に関係ない。そうすると、一番やりたいのは新宿。新宿副都心です。あそこは大規模なオフィスがある。ガス屋のほうは燃料電池とコージェネだから面的な形で大規模開発のところにそういう熱源を入れて効率よくやろうとします。
この勉強会をやった時にいろいろな提案をガス屋と電気屋に出してもらった。それを比較すると、自然に「ガス屋は港区」、「電気屋は中央区」と、縄張りができそうだなという感じがしました。依然としてニコニコしながら喧嘩しています。なかなか折り合わないんです。
ですから、小早川グループの熱源水ネットワークというのはそういう思いがこもっているんです。こんなの儲かるわけない。

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