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1.東京都心の低炭素化

2.床面積増加に伴うCO2排出量の推計

3.低炭素化目標の設定

4.低炭素化の進展イメージ

5.多様な面的対応による低炭素化

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(図6) 
それをもとにして、どういうところで人口が増えるか、これもバージョンアップしてみました。前にお示ししたと思いますが、バージョンアップしたものを申し上げます。23区全体で955万人。2005年対比で、25年間で1.13倍になります。一番増えるのが都心の3区(千代田、中央、港)で1.8倍になります。それから、臨海区、これは江東、品川、大田、江戸川です。ここが1.17倍。これが2番目です。それから3番目が、新宿、文京、台東、目黒、渋谷、豊島。これを山手線区といって、そこが1.13倍。そのあと、中間区、墨田、中野、北、荒川。これが1.1倍。そして、おなじみの住宅の世田谷、杉並、板橋、練馬、足立、葛飾。これが1.04倍、こういうふうに増え方が違うんです。
外周区の1.04倍に対して、都心は1.84倍ですから、この人口の増え方の格差は相当違ってくるわけです。
今日は、都心3区について、低炭素の話をしようと思います。
(図7)
都心3区の人口の推移をずっと追っていきます。先ほどは東京都23区の話をしましたが、これは都心3区の将来推計です。表のマルが実績値です。正確にいうと、2010年の国勢調査のデータがまだ出てないんですけど、住民登録や外国人登録をずっと追っていきますと、僕たちの想定した線に沿ってずっと上がってきています。
それに対して、社人研という厚生省の人口問題研究所は、推計値を直すと思います。1年ごとに直していくはずなんですけれども、2030年には38万3千人しか都心3区の人口はいないといっていますが、僕たちの想定だと61人万ぐらいです。そのうち外国人が5.4万人、9%ぐらいに増える。非常に大きい増え方です。
こういうことが実勢でございます。
(図8)
これは「都心3区の将来予測」です。2030年の人口が、2005年対比で、都心3区で1.78倍です。従業者が1.05倍。床面積が1.3倍になります。住宅が1.36倍で、事務所その他、倉庫や工場や商業が、1.28倍。土地には、課税と非課税があります。課税というのは宅地です。非課税は学校や宗教法人、区や都、国の土地です。非課税も全部合わせた土地がどれくらい容積を使っているかということですが、2030年は2005年の1.28倍ぐらいになるだろう、こういうことが大体わかってきました。
都心3区では、床面積が1.3倍に増えます。特に住宅は1.36倍になるんですが、人口は1.8倍なんですね。だから、床の増え方より人口の増え方のほうが大きいんです。
(図9)
以上、整理しました。区別に分けますと、床面積が千代田区は1.23倍に増えます。その中で非住宅、これは事務所、丸ビルみたいなものと、マンション街を区別していますが、全体の床面積は1.23倍になります。中央区が1.26倍です。中央区は、千代田区より少し住宅の比率が増えてきます。港区にいくと、1.38倍。
3区を考えると、港区の住宅と事務所の伸び方がこの2区に比べて非常に大きい。量も大きいし、伸び率も大きい。3区の平均値は1.3倍です。港区は1.38倍。港区がこれから大きく変わるという結果が我々の想定から出てくるのではないかということです。
(図10)
 これを前提にして、これからが低炭素の話が出てきます。今いったように、都心3区は床面積が1.3倍に増えますが、CO2排出量が1.29倍と下がっていきます。どういうことかというと、2005年のCO2排出原単位は住宅が1平米約30キロなんです。オフィスは3倍です。30対90です。2005年の非住宅と住宅の比率よりも、1.3倍になった時の住宅と非住宅の比率は住宅(マンション)がちょっと増えてくるんです。床面積は1.3倍になっているけれども、住宅の量が増えると排出量が非常に少ない住宅が増えていくわけです。ですから、1.29倍、1.3倍より下回る。大して下回ってないですが、こういう数字が出てまいります。
(図11)
 ここからが実はみそです。どこの研究所も区役所も都庁もつくっていない数字だと思います。都心3区の町丁目別の建物用地面積を全部調べました。その中で、先程の住宅は30キロ、非住宅は90キロぐらい炭酸ガスを出すという話を町丁目別の住宅、非住宅の建物用地に当てはめ、市町村別の排出量を試算しました。

先ほどの将来の推計値で、市街地で約1.3倍ぐらいに床面積が増えてきますから、容積が増えれば、当然そこで排出量が増えます。それを踏まえて2030年で排出量を推計しました。一番多いのが年間で1ヘクタール当たり1万トンから1万5000トン出す。これは丸の内です。丸の内の皇居に面したところでは、2005年には9000トンから1万トンぐらいでした。それから汐留と、これは多分日本橋のところです。三越や三井不動産のビルがあるところ。こういうところが町丁目別では一番多い。
2030年になると全体的に排出量が増えています。床面積が増えるわけですから、当然ですね。これの特徴は、ここに環状2号がずっと入ってきている。今つくられています。これは赤坂、六本木です。ここが六本木ヒルズの三角です。ここは多分三井さんのミッドタウンでしょう。ミッドタウンから一連の大街区、アメリカ大使館や泉ガーデンというガラスの建物のあたりです。ここに最近新しくオフィスビルが相当建ってきました。ここのところは、2005年に比べるとずっと赤くなっています。
事務所建築や集合住宅がうんとつくられるだろうというところです。環状2号の回りはその両側にオフィスやマンションがつくられるだろうということで排出量が増えています。聖路加のところは港の再開発があと20年の間に絶対に進むから、相当事務所が集積するだろう。そういうことをずっと突き合わせていきますと、こういうことになります。
(図12)
先ほどは建物用地当たりのCO2排出量でしたので、1万トンや1万5000トンでした。これは建物床面積当たりです。1平米に1年間にCO2がどれぐらい出るか。先ほどはトンでしたが、30キロや90キロ。キロになります。


 

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