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1.東京都心の低炭素化

2.床面積増加に伴うCO2排出量の推計

3.低炭素化目標の設定

4.低炭素化の進展イメージ

5.多様な面的対応による低炭素化

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高集積というのは、官庁街です。ここは番町。僕たちが集まっているところ(NSRIホール・飯田橋)がこの辺で、この裏側に日建や大和ハウス、最近できたオフィスビルがあります。赤坂や、芝公園の向こう側、浜町のところも高集積です。昭和通りから東側、昭和通りと築地側の首都高速の間ぐらいもそうです。こういうところが高集積エリア。その外側は集積エリアです。この3段階にして、あとウォーターフロントを別扱いにしよう。土地利用の変化についてこういう分け方をしました。
(図23)
2030年の床面積は、超集積エリアは、新築フロアは6割で、ストックは40%残ります。高集積エリアは50%変わって、50%残る。集積エリアは40%変わって、60%残る。ウォーターフロントは50%変わって、50%残る。その他というのは、港区の南半分です。我々の対象としている外側ですが、そこも港区です。そこは47%変わって、53%残る。トータルすると、先ほど言ったように、2030年には総延べ床面積の50%は新築で、50%は残る、という数字になります。
(図24)
これもくだくだいいませんが、ちゃんと理屈はついている。新築フロアについての割合ですが、超集積エリアでは、40%の総延べ床面積がトップランナーでいく。40%は積極的対応でいく。中程度対応は、20%。高集積もかなり頑張ってトップランナー25%、積極的対応は40%。高集積に、少しだけど何もしないというのが5%でてきている。
集積エリア、これは人形町や神保町のような都心3区の中では比較的小さくてごちゃごちゃした地域です。そこではトップランナーが総延べ床の10%、積極的対応はここでも4割ぐらい。何とかCO2削減25%目標値でやってもらいたいと思います。中程度の対応が40%。何もしないのが1割ぐらい出てくるだろう。ウォーターフロントはこうなる。
その他のエリアはトップランナー12%、積極的対応40%、中程度対応38%、何もしないが10%になる。
結局、都心3区の25%、40%、30%、5%になる。これが、前から我々が設定していた数字です。今のはフローです。
(図25)
ストックのほうは、超集積エリアでトップランナーをやっても、改修ですから、25%削減できない。超集積エリアの総延べ床の1割はトップランナーでやるけれども、25%くらいがいいところです。高集積エリアや集積エリアは、トップランナーの改修を5%、3%ぐらいしかやらないだろう。ですから、ストックではトップランナーの比率が下がってきます。そして、消極的対応が、どんどん増えてきます。集積エリアとカッコよくいっていますが、ここは、何回もいいますけど、例えば人形町、明治座の辺、東神田、横山町、岩本町、神保町、港区でいえば浜松町の裏側のごちゃごちゃした昔の産業地です。そういうところはほとんどやらないだろう。ウォーターフロントは古い町と混在していますので、古いところは何もしないけど、新しい港地区のようなところは直す。こういうのがストックです。
(図26)
3番目の話です。超集積エリアでは新築が6割と言いました。そのうちエネルギーを面的に利用するのは、新築のうちの半分。面的利用とは、導管を道路を渡って引いたりして、例の地域冷暖房をやる。地域冷暖房を新築フローの半分の市街地については、都市計画施設としてやる。今は都市計画施設ではございませんけれども、50%はネットワークをつくる。都市計画側のCO2削減になる。高集積は50%のうちの10%、1割にこの面的エネルギーを乗っける。集積では4%。全体の4%をネットワークにする。
こういう都市計画想定値を入れますと、そういうところは10%の削減を上乗せさせられる。10%ですから、例えば、超集積エリアのストックが多いところ、そこでは25%削減だったけれども、それに面的な施設が入ると10%上乗せなので、35%削減。トップランナーの40%のところに、面的エネルギー、地域冷暖房を入れると50%になる。そういうようになるべくCO2削減の量を多くしようと努力したんです。新築フローの一定割合にエネルギーの面的利用などの効率的措置がなされて、10%削減が上乗せされるものと設定する。
(図27)
試算結果はどうなるか。いろいろなことをやったんだけれども、試算結果から、都心3区では、床面積当たりCO2排出原単位、これを40%にしようとしたんです。ところが1年間に1平米当たりCO2排出量は、2005年の77.5キログラムから、2030年、62.3にしかならない。20%しか削減していないということです。
一番変わるのは中央区です。マンション開発がどんどん進んでいますから。港区はあれだけ住宅の床も増えていくけれども、片方でストックもかなりあるので、17%しかCO2削減ができない。床面積は3割増えた。CO2排出量総トン数で5%増えるんです。しかし、床面積当たりでは20%しか削減できない。こういう話です。
今までもCO2削減どうするかというので、東京電力の専門家や大学の先生や役人がいろいろ言っていますが、あれは全部プロジェクトなんです。どこかに1000億円の金をかけてニュータウン全体を直す。そういう時にどれぐらい削減されるかということなんです。だけど、既存ストックが本当に協力してくれるのかと突き詰めていきますと、既存ストックの鉛筆ビルは壊すだけでも抵抗します。客が来なくて空き家でもそのまま残すおじいちゃん、おばあちゃんがたくさん出てきます。おまけに将来空き家率が高くなります。何もしないでほっぽり出すということがありますから、いろいろ努力をしたけれども、20%ぐらいしか、都心3区では削減できない。これも、2005年スタートで2030年のデータです。先ほどからの1990年対比2020年で25%削減と言ってますが、それを2030年に延ばして2005年原点でいけば、35%削減しろという数字になるわけです。
(図28)
町丁目別でも削減量と排出原単位の変化を見てみました。これは面白いですが、最後に1つだけやります。
(図29)
(図30)
(図31)
今までの話を整理しますと、都心の業務活動、商業活動が非常に活発な地域、中央区の全体と千代田区の全体と港区の北半分の地域を、先ほど言ったように、超集積エリアと高集積エリア、集積エリアに分けます。人形町のところは下町文化地域だと僕は言いました。そういうところと、赤坂や半蔵門を神保町を集積エリアとします。ウォーターフロントは別にして、それでどうなるかというと、超集積エリアで26%削減。高集積エリアで20%削減。一番外側の集積エリアは16%しか削減できない。ウォーターフロントが23%。ウォーターフロントは再開発が活発ですから、超集積エリアの次くらいに変わるんです。エリア全体として大体20%ぐらい削減。こういう作業をしました。

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