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(図38)

 

 

 

 

 

 

 

これができた理由は、もともと地区計画で最初からそういうことをしよう、それが条件で三井不動産が防衛庁のところを担当することになったわけです。開発ボーナスもいろいろもらったし、地権者ももともと区と国しかなかったわけです。あと三井不動産。そういう意味で権利関係も楽だった。
だけど、そもそも公園の緑地化はおカネをとれないんです。東京都で緑の島を東京湾につくろう、風の道のもとになる場所をつくろうといっています。いろんなケースがありますが、先ほどの鉄道事業は乗るお客さんからお金をとれる。公園については、お客さんからお金はとれない。もちろん、有料公園というのはないことはないと思います。例えば、イギリスには中に入るのにみんな近所の住んでいる人がかぎを持っている公園というのがあります。そういうのだったら、できるかもしれないけど、金をとるのは難しいですね。ここの費用対効果の定量化も難しいということであります。
先ほどの藤田さんの研究では、川崎市全体では1万トンの削減に相当する冷熱がつくれて、吸収量でも5000トンあるから、1万5000トンぐらい川崎市全体ではCO2。が削減できると言っています。だけど、これも、ほかの都市改造に寄りかかってCO2の効果を高めるプラスアルファをサプリメンタリーに何かする。アディショナルにその部分にお金を入れるという形でないと成り立たない。寄生虫みたいな発想ですが、でも、そうやればよく進むかもしれない。
(図39)
環境目的の都市改造となるとハードルは高い。経済性の問題、制度面の問題、相当あります。だけど、みんなが協力すると、大きな削減の可能性があるというのも事実だと思います。別の理由で現実に都市改造は行われています。CO2削減は全然考えてないから、副次的に扱われている。それでは、もったいない。もっと正面に据えればいいことができる可能性もあります。そういうことで、都市改造関係の法規に環境目的を入れ込んだ上で、さまざまな事業ルールをつくってほしいというのが私の希望です。例えばということでここに提案しています。
(図40) 

 

 

 

 

 

 

 

1つ言わせていただきますと、どういう範囲で削減して、計算をどうするかというのは、まだまだ確立されていない。それから、そういうことをやったら地域はよくなるのかということがわかる、みんなに開かれた環境シミュレーションモデルみたいなものがあるとすごくいいと思います。
都市改造の原資が、例えば環境税と排出量取引制度から来るという仕組みにしておかないといけないと思います。特に大事なのは、都市のCO2の削減の責任は誰が持つのかということが全然わかってない。ビルだったら、ESCOがいて頑張ってくれるけど、都市の場合はどうなのか。例えば地域エネルギーマネジメント会社みたいなものがあればいいと思う。そういうのができそうなところがないことはない。例えば、三菱地所さんがやっている大・丸・有や、日本橋などのかなり大きな開発をされた三井不動産のところ、みなとみらい、新宿だったら、大成さんとかが中心になって東京都と組んでやるなど、できないことはないと思います。ここがないと、誰に補助金を上げたらいいかわかりませんし、CO2を削減した人が誰なのかわからない。
マンションなんか、それはよくあります。今年はみんな苦労されたと思うんですが、マンションは電気をたくさん使うから15%減らしなさいと命令が来るんだけれども、分譲したマンションだと、中に住んでいる人は、ちょっとずつしか使ってない。どうしたらよいの、と疑問が生じます。例えば、共用部分、例えば壁とか窓もいじれない。削れ、削れといわれても手が出ない。管理組合の修繕積立金にはそういう目的はないということで、にっちもさっちもいかなくなる。
こういう削減のルール、誰が削減をするのかということから始まった、きちっとした制度、土台、枠組みが要るのではないかと思います。
(図41)

 

 

 

 

 

 

 

 

そういうことをやっていくとどうなるか。経済的な効果も非常に大きいと思います。ここで入れているのは産業連関分析です。例えば高断熱住宅や、次世代自動車、高効率給湯器、太陽光発電、風力発電、そういうものをもし使うことにしたらどうなるかということです。例えば住宅でいうと72兆円ぐらいの需要を生み、雇用としては20万人分を生むということなど、いろんなことが考えられます。
トータルすると、温暖化対策を一生懸命やるということで市場全体としては118兆円、345万人ぐらいの雇用ができるのではないか。ただ、逆に従来型の産業が衰退するということが考えられるので、そこは差し引きしなめればいけないと思います。このままですと、従来型の産業が衰退するだけで終わってしまうかもしれないので、それをどうするかとなると、新産業としてこういった環境産業も無視できないインパクトがあるのではないかと思います。45兆円というと政府の予算ぐらいです。118兆円というと、GDPの何分の1かになって、結構でかい。

 

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