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7.賞賛の対象 ~評価される街づくり~

(図34)
そして、最後、締めくくりに入ってまいります。街は評価されて次につながるのだと思います。その街は、民間が開発でつくる街もそうでしょうし、自治体としても誇らしい街というものになっていきます。その街をつくるときに何が必要がということです。先ほどこだわりのお話ししましたが、それはどういうことかというと、やり遂げたいことだと思います。その街で何をやり遂げたいかということなしに、人に評価されようということはあり得ないということを申し上げております。
評価される大前提は、目指す理想を持っていること。その理想を持つには、先ほど申し上げた市民の欲求、活動する方の欲求、そういうものを知り尽くしてそしゃくできる強固な組織体制というものが必要だろうと思います。そして、その理想の達成度が評価されて、70%であっても、50%であっても、端緒をつけたから評価する。そういう評価されるまちづくりにつながっていくものだと考えています。
(図35) 
さて、最後に快適なのかどうなのかという話をするために、家にあるものを写真に撮ってきました。これはコンセントです。私はソフトバンクを使っているので、ソフトバンクの黒いコンセントです。これはiPadのコンセントです。iPhoneなんかも同じです。私は携帯電話を買いかえたとき、iPadを買ったときに、箱をあけて、ワーッといったのは、この白いコンセントが出てきたときです。何でしょうね。五感に訴えるというと大げさですが、このすてきさ、この感覚、これは快適の一部分だと思います。写真の撮りぐあいで黒いのはカッコよく映っていますが、私にとっては美的感覚からいうと、この白いのは本当にすてきな充電器ですね。人に見せてもいい充電器。私の部屋に常時飾っておいてもというか、つないでおいてもいいコンセントはどっちといわれたら白いほうです。
(図36)
もう1つ、これは皆さんニュースでごらんになっているシーンだと思います。関係者の方がいたら済みません。こういうビルが港区にできてほしくないなと切に思います。つくろうと思っている方がいたら早目にご相談ください。一言で言って、少し気持ちが悪いということです。やはり快適、五感を刺激する、さっき泣いても怒ってもいいと言いました。それは人が元気になること、釈迦に説法だと思いますが、人間は太古の昔から、「真善美」ですね。人間が求めているのは「真・真実」、「善・よいこと」、「美・美しいこと」です。うそだったり、悪いことだったり、醜悪なことを求める国民は、いまだかつて歴史の中でないわけです。「真善美」、これは古代から言われていることです。その感覚に照らしてというと、つくった方に失礼になりますが、思いっきり言ってしまいました。それで評価されるということです。
(図37)
今までの話を集約しますと、評価の尺度について、私たちは胸を張ろうじゃないかということを言いたいです。外国の尺度をまねてよいものができるのだろうか。例えば、今のソウルにできる話題性の高い超高層ビルをまねることはないでしょう。私たちが、きれいだ、美しい、日本的だ、クールだと思う日本を世界に売っていくこと、そのことは国際的な評価を東京が高めることの1断面には少なくともなると思っています。すべてではないですけれども。そういうことを続けていくことがハードの評価につながっていく、人の行動に関する知識とか多様性、発想の柔軟性があれば評価されるハードは自然とついてくるのではないかと思っております。
以上です。長くなってしまって申しわけありません。
最初に私が掲げた成果目標、皆さんとは同業ではないけれども同類であることを感じていただきたいということはどうでしょうか。私の成果目標だったのですが、少しは達成されたでしょうか。そうだとうれしいです。
今日は官民ともに都市政策を担う公共的役割を持っているということを最初のほうで申し上げました。そして、日本的なこだわりや人の心を突き動かす舞台として都市を整えるということをお話ししました。そのことこそ、これからの都市再生や、東京の国際的地位向上につながるのではないかという私なりの問題提起を劇場型都市政策といういい方でさせていただいたわけです。ご清聴に感謝するとともに、港区におきまして、皆様とともに前向きにまちづくりを進めていくということをこの場でお約束をさせていただきまして、締めくくりのあいさつとさせていただきます。最後までおつき合いいただきまして、ありがとうございました。(拍手)

 

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