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2.23区の望ましい将来像 ~大都市制度の中での立ち位置~

(図17)
地方自治体に関する情報を少しお話しします。皆さんも学校で習ったとおりです。広域自治体である都道府県は47、私が公務員になったころ3300あった市町村は半減して1700強、23区を加えると1742です。このうち政令指定都市は19あります。来年4月に熊本が加わる運びになっていたと思います。
大阪都構想の話がありました。11月の27日に注目の選挙がありました。あの選挙についてはいろいろな意見があります。結局、橋下さんが勝ったわけですから、勝てば官軍なんでしょう。橋下さんの気持ちを推しはかると、大阪府は866万人。大阪市がそのうち266万人、堺市が84万人。引いていくと500万人ちょっとしか大阪府知事の手元に残らない。権力闘争なのかなと思うわけです。片方で神奈川県知事だった松沢成文さんは、政党の関係もあるのか、横浜、川崎とはうまくやっていました。神奈川県の人口から横浜市と川崎市と相模原市を抜いたら幾らも残らないといったら、神奈川県の人に失礼ですけれども、そういう中で府県行政と市町村行政をうまくやっていた。
私が何を言いたいかというと、あの選挙で我々が気がつくべきことは、道州制ですね。道州制の中で行き着く自治は何なのか、道州制というのは自治なのかということだと思います。道州制というのは私は地方政府をつくることだと思います。例えばアメリカの50州、オーストラリアのニューサウスウェールズとかビクトリア州、ああいう州で厚生省も軍も持っている強固なガバメントを持って、その次の順位はフラットな組織で、なるべく統合した政令指定都市で強い市町村が市民自治をする、それが私は今回の先にある話ではないかと思っています。
(図18)
そこで、23区というのはどういうものから発したのかということをお話しさせてください。東京府というのは赤いエリアだったわけです。今東京都はこんなに長くなっていますが、ここは神奈川県だし、ここは埼玉県。東京府には15区がありました。そのころから港区はありました。芝区、麻布区、赤坂区、これはみんな今でいう港区です。ちなみに赤坂区の一番西側は今でいうと渋谷の駅のあたりまで入っていたそうです。低湿地で、渋谷区ができたときに、赤坂区長という人が、そんなの渋谷区にくれてやれといって、赤坂区の中に渋谷駅がなくなってしまったという逸話があります。当時こういうものでした。これは1878年です。
(図19)
昭和7年(1932年)になって、15区が35区になりました。市街地化が進んだということです。先ほどの郡だったところが世田谷区などになっています。大森区、蒲田区で大田区です。荏原区と品川区が品川区になった。滝野川区なんていうのもあります。千代田区、中央区のあたりは麹町区、神田区、日本橋区、京橋区と分かれています。江東区のあたりも深川区、台東区も本所区、浅草区、下谷区と分かれています。これが今統合して23区になっているわけです。
(図20)


森記念財団さんが、ちょうど10年前に6特別市の再編構想というのをお出しになったことがありました。それによると、千代田市、城東市、城南市ここに港区が入ります、渋谷市、新宿市、池袋市の6市で、各市内に行政区を持たせるというアイデアです。正直申しまして、私ども行政マンの目からすると、そのときの6市は、統合の効果、特に効率化や行政改革という面では中途半端かなというふうには思いました。現存しない法制度も使うこともあって厳しいのかなと思います。実現性が低いと受けとめた23区の職員も、私だけではなかったと思います。
少しうがった見方をすると、森記念財団さんですから、複数の市街地、6つの首都ができるから、そこに高層化のフィールドをつくろうと思われたのかなと思いました。こういう6つの首都をひねり出す6市構想。一方、平成20年9月に23区を1つの東京市に統合するという案が東京商工会議所から出されています。これは正直いって暴論ですね。800万人の市ですから。800万人の基礎自治体、800万人が窓口の市民、ちょっとないだろうと思います。自治というものがわかっておられるのかなという気がします。横浜市ですら大き過ぎると言っているわけです。
現行制度でこれをやっていくとなると、例えばこんなことはできないかなと思いました。人口のところを見ていただくと、大体250万人から300万人ぐらいでくくれる範囲ができます。老年人口も50万人から60万人ぐらい。面積も200平方キロ前後。歳出規模でいうと1兆円前後という3市が出現するわけです。昼間人口も400万人前後。
(図21)
黄色いのが何で入っているかというと、ここで線引きができるのではないかということです。それぞれ首都を持って、住宅地も持つ3市。何故これで3市にするのかというと、横浜市をちょっと切るぐらいの政令指定都市をもし東京につくれれば、効率化が図られて、議員も減るわけです。1区で大体30人を平均として、23区ですから、600~700人いるわけです。3市になれば、幾ら何だって300人ぐらいになるでしょう。もっと少ないかもしれません。そういうことで行政改革はどんどん進めなければいけないという話も、大都市、23区を知っていただくという意味で、外れるようなお話でしたけれども少しさせていただきました。これは完全な私のアイデアですから、忘れていただいて結構です。

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