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(図10)

そういう中で、特定都市再生緊急整備地域の指定の動きが今あります。これが港区です。オレンジ色。緑が緑地のところです。浜松町の竹芝側、有楽町・日比谷方面と臨海を結ぶ全体をもって東京都心臨海地域という特定緊急整備地域に衣がえしようと今しています。まだ決定にはなっていませんが、パブリックコメント中です。
もう1つ、新規にというのが品川・田町です。今日は東京都の方もいらっしゃるかもしれませんが、東京都と私どもが応酬をして、こういうところに落ちつきました。アヒルの水かきというか、見えないところで港区も頑張っておりますが、こういうエリアでどれぐらいのプロジェクトが今予定されているか。青が整備が終わったところです。六本木ヒルズ。赤がこれからというところです。見事に特定緊急整備地域のエリアにプロジェクトが集中しております。水再生センターもこのあたりです。これは品川のインターシティですから、青で既に終わった形になっています。これ以外にもこれから続々とプロジェクトが動いていくことでしょう。
(図11) 
こういった動きを都市政策の中でそしゃくをしてお互いの立場でいいものをつくっていかなければいけない。先ほど都市政策の定義めいたものをお話ししましたが、公共の責任で課題を抽出して解決策を見出していく。この役割をともにやっていきたいというのが私の今日の思いの大きなものの1つでございます。
対立概念だった公民といっている時代からそうだと思いますが、官民といっている今も対立概念だということは変わらないと思います。その垣根を越えて世界に冠たる大都市・東京の都市政策をともにというあたりを担っていきたいという気持ちは非常に強いのですが、その際に少しご注意いただきたいことが1つあります。
先ほど構造改革特区やネーミングライツという規則や制度が私は嫌いですという話をしました。都市政策をともに担うというのは、ともに社会的な課題を解決するということですが、社会的課題を解決する上で事業者サイドから生じがちな誤解というのがあります。例えば、大きな容積を求めることを目的化してしまうがために、規制緩和の特別地区の指定を受けようという気持ちは非常によくわかるわけです。それが商売をやっている皆さんの目標の大きなところを占めるわけです。ただ、そのために提起される、いってみればちょっとずれているような、的外れのような、その地域のことが本当にわかっていらっしゃるのかなと思われるような解決策の提案が少し多いかなと思うことがあります。もう少し私どものところに情報をとって入ってくれれば一緒に考えられるのになという意味です。
構造改革特区の時の例を1つ話します。これはどちらも港区内です。風俗営業は、深夜0時で終わりです。六本木の街で、構造改革特区のことを黒服の方が勉強してきたわけです。私、当時企画課長でした。「時間延長をしたいんです。構造改革特区の申請をさせてください。規制緩和ですから」、と言ってきました。深夜営業の規制緩和です。数年前です。私はその黒服の方に申し上げたんです。六本木の街を飲んで歩かれたら大体ご存じだと思いますが、夜通し大騒ぎです。ちょっと悲しむべき街になってしまいました。朝、7時、8時の登校時間に酔っぱらいが街にまだたくさんいいます。小学生、中学生が登校してくると、お店から出て、声をかけるんです。これは六本木の街の麻布警察署の生活安全の大きな課題に今なっています。私はその話を知っていたものですから、企画課の会議室にその黒服の方を呼びまして、「わかりました。黒服の方、皆さん何人ぐらいいらっしゃるんでしょうか」「ある瞬間でいえば20人とか何人かいます」「それなら、考えてもいいから、その方たちを駅から学校まで10メートル置きに立たせて子どもたちを守ってもらえます?」という話をしましたら、もう二度と来なかった。これは的外れの例です。実現したい気持ちはわかります。勉強したら構造改革特区という規制緩和の制度があって、うまくすればそれに乗れるかなと思った気持ちもわかります。しかし、幾ら何でも社会的役割は果たしてねというシーンでした。
もう1つ、これは自治体なんです。ですから、明確にいうことは憚られるわけですが、大学の認証というのがあります。学校教育法で大学として認証されるのは日本はなかなか規制が厳しい。大学なのに何でグラウンドが必要なんだろうかなどいろいろあります。文部科学省が、大学の基準をつくっているわけです。それがすべて正しいとは、私も規則が嫌いだけから、言いません。
ある専門学校が港区にも企画書を持ってきました。資格取得で有名な専門学校です。それなりに力がありまして、専門学校としては悪い学校ではない。でも、学校教育法のらち外です。私が支援してあげたいなと思うのは、大学並みの教育をやっても、学校教育法上の規則、政令に合わないんです、助けてくださいというのであれば、助けたと思うんです。でも、彼らは資格を取る専門学校のまま、大学の皮だけ欲しがったわけです。それはやりとりで明らかでした。黒服の方を呼んだのと同じ部屋に、その専門学校の営業の方と専門学校の学長を呼んで、話をしました。私は「ところで一般教養というのはどうなさるんですか」と聞きました。専門学校は資格取得だから、単科なんです。「私の経験からすると、私は法学部でしたが、いろいろな違う学問をやったことで人間の幅が広がるような気がしました。それはどうなさるんですか」。

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